2014年第2の報告です。
疾患名 | 報告数 |
一類感染症 | 0 |
二類感染症 | 0 |
三類感染症 | 0 |
四類感染症 | 0 |
五類感染症 | 0 |
「感染性胃腸炎」は冬場に流行する嘔吐、下痢を主症状とする代表的な感染症であり、その大半は、ノロウイルスやロタウイルス等のウイルス感染を原因とするものです。 多くの患者は、乳幼児や学童ですが、成人にも見られます。患者発生のピークは例年12月中となることが多く、特に集団発生例の原因の多くはノロウイルスによるものであると考えられています。
ノロウイルス・ロタウイルスによる感染性胃腸炎は、数時間〜数日(平均1〜2日)の潜伏期を経て、嘔吐・嘔気、腹痛・下痢、発熱等が見られます。嘔吐・下痢は1日数回から多いときは10回以上のこともあります。しかし、症状持続期間は数時間〜数日(平均1〜2日)と比較的短く、重症化して長期にわたり入院を要することは少ないです。また、発熱の頻度は高くありません。
ノロウイルスやロタウイルスなどのウイルスは、人の手などを介して、口に入って感染する可能性があります。ノロウイルスの感染経路は、ヒトからヒトへの感染(感染した人の便や吐物に触れた手指を介して口に入る場合・便や吐物が乾燥して、細かな塵として舞い上がり、体内に取り込んでしまった場合)と汚染した食品を介して起こる食中毒(感染した人が十分手を洗わず調理した食品を食べた場合・ウイルスを取り込んだ二枚貝を生または不十分な加熱処理で食べた場合)に分けられます。
乳幼児の集団生活施設である保育所や幼稚園、小児の集団生活施設である小学校等においては、接触感染や飛沫感染等により、集団発生が繰り返されてきているものと推察されます。
2013年第45週29件、第46週40件、第47週62件、第48週79件、第49週114件、第50週127件と5週連続で増加していましたが、第51週96件、第52週86件と減少しました。2014年第2週は70件(定点あたり7.78)と前週の15件(定点あたり1.67)より増加しました。
ノロウイルスには、塩素系の消毒剤が有効です。嘔吐物や下痢便の処理は、衛生的に取り扱い、汚れた場所や衣類等は、熱湯や塩素系消毒剤で消毒しましょう。特に、集団生活をされている方は、日頃からの手洗いや便の取り扱いに注意が必要です。
嘔吐・下痢などの症状があるときには、水分補給をし、症状がひどくて水分も摂れない場合は、すみやかに医療機関を受診して下さい。
<和歌山市の状況>
和歌山市内におけるインフルエンザの報告数は、2013年シーズンは、第42週1件、第45週3件、第46週2件、第47週1件、第49・50週3件、第51週6件、第52週40件ありました。2014年第2週は100件(定点あたり6.67)と前週より大幅に増加しました。発生状況の詳細はこちらへ。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスを原因とする呼吸器感染症です。1〜4日を潜伏期とし、発熱、頭痛、せき、咽頭痛、筋肉痛などの症状が出ます。嘔吐や下痢など消化器症状が見られる場合もあり、通常のかぜに比べ全身症状が強く出やすいことが特徴です。多くの患者は軽症で回復しますが、一部重症化する例も報告されています。また、二次的な細菌感染による肺炎などを呈することがあります。
インフルエンザウイルスにはA型・B型・C型があります。主にヒトで流行するのは、AH1pdm09・AH1N1・AH3N2・B型の4タイプです。
インフルエンザの予防のポイントは、手洗い、咳エチケット、ワクチンの3つであり、ワクチンは重症化の予防に効果があります。
RSウイルス感染症は、例年秋から冬にかけて乳幼児を中心に流行する呼吸器感染症です。2〜7日の潜伏期の後、RSウイルスに感染すると、発熱、咳、鼻水などかぜに似た症状を示し、乳幼児は、細気管支炎や肺炎をおこす場合があります。特に、低出生体重児、心疾患、肺疾患、免疫不全のある方は、重症化のリスクが高いといわれています。また、終生免疫は獲得されないため、どの年齢でも再感染しますが、一般的には年長児以降では重症化しません。生後1歳までに半数以上が、2歳までにほとんどすべての児がこのウイルスに初感染するといわれています。
RSウイルス感染症は、咳やくしゃみなどに含まれるウイルスを吸い込んだり(飛沫感染)、また、手や指を介して、ウイルスが口や目に接触することによって感染します(接触感染)。
予防の基本は、手洗いと咳エチケットです。子どもたちが日常触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒液等で消毒しましょう。
2013年第33・34週2件、第35週10件、第36週12件、第37週11件、第38週13件、第39週11件、第40週13件、第41週21件、第42週16件、第43週19件、第44週16件、第45週9件、第46週11件、第47週15件、第48週11件、第49週17件、第50週4件、第51週11件、第52週15件でした。2014年第1週は7件(定点あたり0.78)と前週の12件(定点あたり1.33)より減少しました。過去5年間の同じ時期としてかなり多くなっています。年齢別では2歳以下の小児が80%以上を占めています。注意が必要です。
水痘ウイルスは、発疹出現の1〜2日前から出現後4〜5日、あるいは痂皮化するまで伝染力があります。季節的には毎年12〜7月に多く、8〜11月には減少しており、罹患年齢はほとんどが9歳以下です。
水痘は、空気感染で、咽頭から水痘帯状疱疹ウイルスが空中に放出され、口腔や鼻粘膜から侵入し感染します。また、接触感染することもあります。発疹が出る数日前からすでに感染性があるため、集団生活で感染拡大する可能性が高い疾患です。
学校や保育園、幼稚園など集団生活の機会がある方は、注意して下さい。
2013年第48週11件、第49週12件、第50週26件、第51週25件、第52週23件でした。2014年第2週は18件(定点あたり2.00)で前週4件(定点あたり0.44)より減少しました。
ワクチン接種は、任意接種ですが、1歳以降での接種が勧められます。水痘のワクチン接種は、接種していても発病することがありますが、軽症で済み、接種することで重症化を防ぐ効果があります。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、春から夏、冬季の2つの時期をピークとして流行がみられます。
2013年第47・48週4件、第49週3件、第50週9件、第51週6件、第52週3件でした。2014年第2週は4件(定点あたり0.44)と前週の3件より増加しました。
本感染症は、治療が十分に行われないと劇症化したり、急性糸球体腎炎やリウマチ熱など重篤な合併症を発症したりすることがあるので、早期診断、適切な治療(抗生剤投与)が必要です。劇症型感染の発症機序は明らかでなく、有効な予防対策や拡大防止策はありません。突然の発熱、咽頭痛、筋肉痛、発疹などがある場合、早期に医療機関を受診してください。一般的には小児に多いですが、成人でも発症します。
マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマによって起こる呼吸器感染症です。幼児期から学童期によく見られます。感染経路は主に飛沫感染や接触感染といわれています。保育施設や幼稚園、学校、あるいは家庭内などの濃厚な接触で感染します。
和歌山市の患者報告数は、2014年第1・2週の報告数は0件でした。2013年第2・3週は0件、第4週は1件、第5週以降は0件でしたが、第12週2件(定点あたり0.67)、第14・15・16週1件、第27週1件、第30・33週・35・43・44週1件、第52週1件(定点あたり0.33)の報告がありました。
2012−2013年の報告患者は、10歳未満が全体の約70%を占めています。
近年、薬の効きにくいマイコプラズマの報告も見られます。マイコプラズマ感染症と診断され、治療を開始したにもかかわらず、症状の改善がない場合は、主治医に相談しましょう。
感染を広げないためのポイントは、咳エチケットと手洗いです。咳があるときはマスクを着用しましょう。
<和歌山市の状況>
和歌山市内における風疹の報告数は、2008年は、第3週(16歳)、第22週(70歳代)の計2件でした。2009年は、第17週(11歳)1件で、単抗原ワクチン接種済みの方でした。2010年、2011年と報告ありませんでした。2012年は、第16週1件(17歳:女性)、第28週1件(38歳:男性)、第32週2件(22歳:女性, 23歳:男性)、第33週1件(45 歳:男性)、第37週1件(45 歳:男性)、第38週1件(35 歳:男性)の計7件の報告がありました。2013年は、第8週より20〜40歳代の男性を中心に計189件の報告がありました。発生状況の詳細はこちらへ。
現在、風疹の報告数は、首都園と近畿地方を中心に報告があります。報告例の年齢・性別の傾向は、成人男性が中心です。女性の報告例をみると、出産年齢とされる年代が7割以上を占めているため、胎児が先天性風しん症候群という病気になる危険性が高くなるため、注意が必要です。
風しんワクチン接種に対する助成制度がスタートしました。詳細はこちらへ。
風しんを疑うような、発熱、発しん、リンパ節の腫れなどの症状がありましたら、早めに医療機関を受診してください。
年齢区分 | ||||||
0-9 | 10-19 | 20-29 | 30-39 | 40 | 計 | |
2012年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 |
2013年 | 11 | 2 | 62 | 48 | 59 | 190 |
2014年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
先天性風しん症候群とは、ワクチン未接種で風しんにかかったこともない女性が妊娠初期に風しんにかかり、風しんウイルスが胎児に感染することにより、出生児に主に先天性の心疾患、難聴、白内障等の障害を起こす病気の総称です。風しんは主に春〜初夏に流行するため、妊娠中に風しんウイルスに感染した胎児のほとんどは秋〜冬に生まれています。
和歌山市内では、1999年以降、先天性風しん症候群の報告はありません。
<和歌山市の状況>
2008年は、第10〜46週に計23件、2009年は、第16〜24週に計6件でした。
2010年、2011年、2012年は報告なく、2013年も、和歌山市内で麻しんの報告はありませんでした。
2011年に関東地方を中心に4月半ば〜5月半ばにかけて麻しん報告数が増加しました。全国の患者の報告は1歳をピークに0〜4歳の小児が最も多いですが、20〜40代の成人患者も40%占めており、子どもだけでなく成人も麻しんに注意が必要です。
<麻しんとは>
麻しんは、麻しんウイルスを原因とする感染症です。典型的には、10日前後の潜伏期を経て発症し、発熱・咳・鼻水・眼脂・結膜充血等のカタル期(2〜4日)、発疹期(3〜5日)、回復期へと続いていきます。感染期間としては、カタル期から発疹後4〜5日までとされています。
<麻しんの診断>
2015年の麻しん征圧を目指して、様々な取り組みが実施されていますが、診断精度をより高めるために、麻しん(疑い)と診断された場合、PCR検査を全例に実施しています。咽頭ぬぐい液、血液及び尿の採取にご協力ください。
<市民のみなさま・特に子育て中の保護者のみなさまへのメッセージ>
麻しんの予防には、予防接種の徹底が何より重要です。【Stop 麻しん・風しん】を参照。お子様が満1歳になりましたら、先ず麻しんワクチン(=麻しん・風しん混合ワクチン)を接種しましょう。また、就学前の1年間の2回目の接種も忘れず受けましょう。
平成20年度から5年間、中学1年生及び高校3年生相当の方も麻しん風しん混合ワクチン接種の対象となりました。対象者の方が接種できる期間は、それぞれ1年間のみです。早めに接種しましょう。
<若年成人の方へのメッセージ>
ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。現在の20歳代及び10歳代後半の若年者は、ワクチン接種率が低く、接種者でも接種から10年以上経過すると抗体価が低下している場合があります。接種歴のない方や抗体価が低い場合は、ワクチン接種が必要です。
発熱等の症状があった場合には、早期に医療機関を受診しましょう。
麻しん・風しんの予防接種は,平成18年4月1日より,次のとおりです。
第1期 満1歳〜満2歳になるまでの間に1回
第2期 満5歳〜7歳未満で,小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間に1回
いずれも,「麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)」を接種しますが,いずれか一方の既往歴がある場合等には,「麻しん単抗原ワクチン」もしくは「風しん単抗原ワクチン」を接種します。1回接種では、将来抗体価の低下が危惧されます。第2期を忘れず接種しましょう。目標は95%以上。平成23年度の接種率は第1期:99.3%・第2期:94.5%でした。
「麻しん排除計画」の一環として、平成20年4月1日から平成25年3月31日までの5年間、麻しん・風しんの予防接種 第3期・第4期が実施されています。
第3期 中学1年生で 「麻しん風しん混合ワクチン」を1回接種
第4期 高校3年生相当で 「麻しん風しん混合ワクチン」を1回接種
いずれも95%以上の接種率を目標とし、麻しん・風しんの排除を目指しています。
このことにより 平成2年4月2日以降に出生したものは、高校卒業までに麻しん・風しんワクチンの2回接種が完了することになります。
平成23年度の接種率は、第3期89.3%、第4期81.7%と、目標の95%をかなり下回っています。