2017年第9週までの報告です。
疾患名 | 報告数 |
一類感染症 | 0 |
二類感染症 | 0 |
三類感染症 | 0 |
四類感染症 | 0 |
五類感染症 | 梅毒:5件 侵襲性肺炎球菌感染症:1件 劇症型溶血性レンサ球菌感染症:1件 |
「感染性胃腸炎」は冬場に流行する嘔吐、下痢を主症状とする代表的な感染症であり、その大半は、ノロウイルスやロタウイルス等のウイルス感染を原因とするものです。 多くの患者は、乳幼児や学童ですが、成人にも見られます。患者発生のピークは例年12月中となることが多く、特に集団発生例の原因の多くはノロウイルスによるものであると考えられています。
ノロウイルス・ロタウイルスによる感染性胃腸炎は、数時間〜数日(平均1〜2日)の潜伏期を経て、嘔吐・嘔気、腹痛・下痢、発熱等が見られます。嘔吐・下痢は1日数回から多いときは10回以上のこともあります。しかし、症状持続期間は数時間〜数日(平均1〜2日)と比較的短く、重症化して長期にわたり入院を要することは少ないです。また、発熱の頻度は高くありません。
ノロウイルスやロタウイルスなどのウイルスは、人の手などを介して、口に入って感染する可能性があります。ノロウイルスの感染経路は、ヒトからヒトへの感染(感染した人の便や吐物に触れた手指を介して口に入る場合・便や吐物が乾燥して、細かな塵として舞い上がり、体内に取り込んでしまった場合)と汚染した食品を介して起こる食中毒(感染した人が十分手を洗わず調理した食品を食べた場合・ウイルスを取り込んだ二枚貝を生または不十分な加熱処理で食べた場合)に分けられます。
乳幼児の集団生活施設である保育所や幼稚園、小児の集団生活施設である小学校等においては、接触感染や飛沫感染等により、集団発生が繰り返されてきているものと推察されます。
2016年第40週38週、41週35件、42週69件、43週74件、44週70件、45週123件、46週112件、47週125件、48週163件(定点あたり18.1)でしたが、49週208件(定点あたり23.1)と警報レベルを超えました。50週273件、51週185件、52週99件、2017年1週57件、2週60件、3週69件、4週56件、5週77件、6週61件、7週50件、8週48件、9週50件(定点あたり5.56)でした。
ノロウイルスには、塩素系の消毒剤が有効です。嘔吐物や下痢便の処理は、衛生的に取り扱い、汚れた場所や衣類等は、熱湯や塩素系消毒剤で消毒しましょう。特に、集団生活をされている方は、日頃からの手洗いや便の取り扱いに注意が必要です。
<和歌山市の状況>
和歌山市内におけるインフルエンザの報告数は、2016年シーズンは、第44週2件、第45週6件、第46週9件、第47週16件、第48週26件、第49週47件、第50週55件、第51週54件、第52週64件、2017年第1週95件、第2週251件(定点あたり16.7)と注意報レベルに、第3週は532件(定点あたり35.5)と警報レベルに達しました。第4週654件、第5週590件、第6週448件、第7週352件、第8週202件と減少しています。今週は119件(定点あたり7.93)となり警報解除となりました。発生状況の詳細はこちらへ。
全国的にも患者報告数は13.55人と減少しています。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスを原因とする呼吸器感染症です。主な感染経路はくしゃみ、咳、会話等から発生する飛沫による感染症であり、他に飛沫の付着物から手を介した接触感染もある。1〜4日を潜伏期とし、発熱、頭痛、せき、咽頭痛、筋肉痛などの症状が出ます。嘔吐や下痢など消化器症状が見られる場合もあり、通常のかぜに比べ全身症状が強く出やすいことが特徴です。多くの患者は軽症で回復しますが、一部重症化する例も報告されています。また、二次的な細菌感染による肺炎などを呈することがあります。
インフルエンザウイルスにはA型・B型・C型があります。主にヒトで流行するのは、AH1pdm09・AH1N1・AH3N2・B型の4タイプです。
インフルエンザの予防のポイントは、手洗い、咳エチケット、ワクチンの3つであり、ワクチンは重症化の予防に効果があります。
流行性耳下腺炎は、ムンプスウイルスによる感染症です。一般的に「おたふく風邪」として知られ、3〜6歳の小児に多い感染症です。
潜伏期は2〜3週間程度で、突然の発熱、耳の下のはれと痛みを伴います。通常1〜2週間で軽快しますが、まれに無菌性髄膜炎、難聴、精巣炎などの合併症を起こすことがあります。
感染経路は、咳やくしゃみなどに含まれるウイルスを吸い込んだり(飛沫感染)、ウイルスがついた手で口や鼻に触れることによる感染(接触感染)です。
有効な予防方法は、予防接種です。
2016年39週2件、40週9件、41週11件、42週12件、43週10件、44週12件、45週17件、46週10件、47週20件、48週12件、49週18件(定点あたり2.00)でした。50週28件(定点あたり3.11)と注意報レベルに達し、51週は7件、52週22件、2017年1週31件、2週26件で、3週は31件(定点あたり3.44)と注意報レベルに達しました。4週は14件(定点あたり1.56)と減少しましたが、5週は30件(定点あたり3.33)と再び注意報レベルに達しました。6週は26件(定点あたり2.89)と減少しました。7週29件・8週27件・9週35件(定点あたり3.89)と注意報レベル継続中です。
全国の定点あたりの患者報告数は0.61人です。
RSウイルス感染症は、例年冬から春にかけて乳幼児を中心に流行する呼吸器感染症です。RSウイルスは飛沫および接触感染により伝播する。2〜7日の潜伏期の後、RSウイルスに感染すると、発熱、咳、鼻水などかぜに似た症状を示し、乳幼児は、細気管支炎や肺炎をおこす場合があります。特に、低出生体重児、心疾患、肺疾患、免疫不全のある方は、重症化のリスクが高いといわれています。また、終生免疫は獲得されないため、どの年齢でも再感染しますが、一般的には年長児以降では重症化しません。生後1歳までに半数以上が、2歳までにほとんどすべての児がこのウイルスに初感染するといわれています。
RSウイルス感染症は、咳やくしゃみなどに含まれるウイルスを吸い込んだり(飛沫感染)、また、手や指を介して、ウイルスが口や目に接触することによって感染します(接触感染)。
予防の基本は、手洗いと咳エチケットです。子どもたちが日常触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒液等で消毒しましょう。
2016年は第1週18件、2週10件、3週11件、4週4件、5週7件、6週5件、7週4件、9週5件、10週2件、11週0件、12週1件、13週3件、14・15週4件、16週13件、17週4件、18週7件、19週4件、20週1件、25週2件、29週2件、31週4件、32週9件、33週6件、34・35週1件、36週11件、37週12件、38週9件、39週18件、40・41・42週17件、43週29件、44週23件、45週25件、46週16件、47週28件、48週19件、49週18件、50週18件、51週25件、52週24件、2017年1週24件、2週4件、3週6件、4週7件、5週5件、6週7件、7週5件、8週4件、9週1件(定点あたり0.11)でした。年齢別では2歳以下の小児が80%以上を占めています。
伝染性紅班は、ヒトパルボウイルスB19が原因で、幼児期から学童期に多い感染症です。別称「りんご病」と呼ばれ,ほっぺがリンゴのように赤くなります。約10日の潜伏期間があり、その後、両ほっぺに鮮明な紅い発疹が現れます。続いて、体や手足に網目状の発疹が広がりますが、通常1週間程度でそれらは消失します。
妊娠中に感染した場合は、まれに胎児の異常や流産が生じることがあります。
伝染性紅班は、飛沫感染や接触感染します。特別な治療法はなく、予防は、手洗い、うがい、咳エチケットです。
2016年40週2件、41週1件、42・43・44週2件、45週3件、46週0件、47週3件、48・49週1件、50週0件、51週2件、52週0件、2017年1週0件、2週1件、3週0件、4・5週1件(定点あたり0.11)、6・7・8週0件、9週2件(定点あたり0.22)でした。
水痘ウイルスは、発疹出現の1〜2日前から出現後4〜5日、あるいは痂皮化するまで伝染力があります。季節的には毎年12〜7月に多く、8〜11月には減少しており、罹患年齢はほとんどが9歳以下です。
水痘は、空気感染で、咽頭から水痘帯状疱疹ウイルスが空中に放出され、口腔や鼻粘膜から侵入し感染します。また、接触感染することもあります。発疹が出る数日前からすでに感染性があるため、集団生活で感染拡大する可能性が高い疾患です。
学校や保育園、幼稚園など集団生活の機会がある方は、注意して下さい。
2017年1・2週10件、3週6件、4週8件、5週3件、6週5件、7週0件、8週1件、9週3件(定点あたり0.33)でした。
ワクチン接種は、平成26年10月1日から定期接種になりました。水痘のワクチン接種は、接種していても発病することがありますが、軽症で済み、接種することで重症化を防ぐ効果があります。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、春から夏、冬季の2つの時期をピークとして流行がみられます。
2016年第1週7件、2週7件、3週5件、4・5週17件、6週8件、7週2件、8週5件、9週3件、10週5件、11週8件、12週2件、13週5件、14週4件、15週3件、16週7件、17週13件、18週5件、19週13件、20週11件、21週7件、22週12件、23週13件、24週6件、25週7件、26週3件、27・28週2件、29週4件、30週6件、31週1件、32週2件、33週1件、34週4件、35週3件、36週4件、37・38週2件(定点あたり0.22)、39週0件、40週3件、41・42週1件、43週2件、44・45・46週1件、47週5件、48週1件、49週6件、50週2件、51週5件、52週3件、2017年1週0件、2週3件、3・4週5件、5週6件、6週5件、7週3件、8週1件、9週6件(定点あたり0.67)でした。
本感染症は、治療が十分に行われないと劇症化したり、急性糸球体腎炎やリウマチ熱など重篤な合併症を発症したりすることがあるので、早期診断、適切な治療(抗生剤投与)が必要です。劇症型感染の発症機序は明らかでなく、有効な予防対策や拡大防止策はありません。突然の発熱、咽頭痛、筋肉痛、発疹などがある場合、早期に医療機関を受診してください。一般的には小児に多いですが、成人でも発症します。
マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマによって起こる呼吸器感染症です。幼児期から学童期によく見られます。感染経路は主に飛沫感染や接触感染といわれています。保育施設や幼稚園、学校、あるいは家庭内などの濃厚な接触で感染します。
和歌山市の患者報告数は、2016年第1週3件、2週1件、4週1件、5・6週2件、7週1件、8週2件、12・13週1件、16週1件、21・23週1件、25・27週1件、28週2件、29週3件、30週1件、32週2件、33・34週1件、36週1件、39週2件、40・41週3件、42週1件、43・45・47週2件、48週1件、49週2件、50週5件、52週2件、2017年1週1件、2週2件、7週2件、8週1件の報告がありました。
2015−2016年の報告患者は、10歳未満が全体の約80%を占めています。
近年、薬の効きにくいマイコプラズマの報告も見られます。マイコプラズマ感染症と診断され、治療を開始したにもかかわらず、症状の改善がない場合は、主治医に相談しましょう。
感染を広げないためのポイントは、咳エチケットと手洗いです。咳があるときはマスクを着用しましょう。
<和歌山市の状況>
和歌山市内における風疹の報告数は、2008年は、第3週(16歳)、第22週(70歳代)の計2件でした。2009年は、第17週(11歳)1件で、単抗原ワクチン接種済みの方でした。2010年、2011年と報告ありませんでした。2012年は、第16週1件(17歳:女性)、第28週1件(38歳:男性)、第32週2件(22歳:女性, 23歳:男性)、第33週1件(45 歳:男性)、第37週1件(45 歳:男性)、第38週1件(35 歳:男性)の計7件の報告がありました。2013年は、第8週より20〜40歳代の男性を中心に計189件の報告がありました。2014年は、第7週1件の報告がありました。
女性の報告例をみると、出産年齢とされる年代が7割以上を占めているため、胎児が先天性風しん症候群という病気になる危険性が高くなるため、注意が必要です。
和歌山市では「先天性風しん症候群」の発生を予防し、安心して出産できるように、「風しん予防対策事業」として、風しん抗体検査費用、及び風しんの抗体が低い方に対する風しん予防接種(麻しん風しん混合ワクチン)費用を一部助成します。
平成26年度和歌山市風しん予防対策事業(風しん抗体検査費用助成)について、
詳細はこちらへ。
年齢区分 | ||||||
0-9 | 10-19 | 20-29 | 30-39 | 40 | 計 | |
2012年 | 0 | 1 | 2 | 2 | 2 | 7 |
2013年 | 11 | 2 | 62 | 48 | 59 | 190 |
2014年 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
2015年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2016年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2017年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
<和歌山市の状況>
2008年は、第10〜46週に計23件、2009年は、第16〜24週に計6件でした。
全国的に33週以降、麻しんの届出数が増加しています。和歌山市における発生状況は
こちら
<麻しんとは>
麻しんは、麻しんウイルスを原因とする感染症です。典型的には、10日前後の潜伏期を経て発症し、発熱・咳・鼻水・眼脂・結膜充血等のカタル期(2〜4日)、発疹期(3〜5日)、回復期へと続いていきます。感染期間としては、カタル期から発疹後4〜5日までとされています。
なお、患者との接触から3日以内であれば、ワクチン接種により感染を予防できる可能性があります。早期診断と接触者への迅速な対応が大切です。
<麻しんの診断>
2015年の麻しん征圧を目指して、様々な取り組みが実施されていますが、診断精度をより高めるために、麻しん(疑い)と診断された場合、PCR検査を全例に実施しています。咽頭ぬぐい液、血液及び尿の採取にご協力ください。
<市民のみなさま・特に子育て中の保護者のみなさまへのメッセージ>
麻しんの予防には、予防接種の徹底が何より重要です。お子様が満1歳になったら、先ず麻しんワクチン(=麻しん・風しん混合ワクチン)を接種しましょう。また、就学前の1年間の2回目の接種も忘れず受けましょう。
<若年成人の方へのメッセージ>
ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。現在の20歳代及び10歳代後半の若年者は、ワクチン接種率が低く、接種者でも接種から10年以上経過すると抗体価が低下している場合があります。接種歴のない方や抗体価が低い場合は、ワクチン接種が必要です。
発熱等の症状があった場合には、早期に医療機関を受診しましょう。
年齢区分 | ||||||
0 | 1-4 | 5-9 | 10-19 | 20- | 計 | |
2014年 | 0 | 6 | 8 | 5 |
4 | 23 |
2015年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2016年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
2017年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |