感染性胃腸炎
感染性胃腸炎とは
- 食品や水を介して各種のウィルスや細菌に感染し、発熱、下痢、腹痛、悪心、嘔吐などの胃腸炎の症状を来す病気です。人やペットから接触感染することもあります。
- 潜伏期間は病原体によりますが、おおよそ下記のとおりです。
病原体 | 代表的な原因食品 | 潜伏期間 |
---|---|---|
腸炎ビブリオ | 魚介類の刺身、すし類 | 10~24時間 |
サルモネラ | 卵および卵製品、洋菓子類 |
5~72時間 |
病原大腸菌 |
弁当や給食を原因とする事例の発生があるが、多くの事例では原因食品の特定が困難 | 12~72時間 |
カンピロバクター | 鶏肉、牛生レバー、殺菌不十分な井戸水 | 2~5日 |
ロタウィルス | 飲料水、食物 | 1~3日 |
ノロウィルス | カキなどの貝類 | 1~2日 |
毎年11月頃から翌年の4月にかけて、ノロウイルスの感染を原因とするおう吐・下痢症が流行します。特に保育園(所)、幼稚園、小学校などの子ども達が集団生活を送っている施設では、内部でヒトからヒトに感染し、爆発的に流行することがあります。ノロウイルス感染症は、牡蠣(かき)などの2枚貝の生食による食中毒が有名ですが、保育園(所)、幼稚園、小学校などで発生した集団感染の大半は、誰かがまずノロウイルスに感染し、施設内でヒトからヒトへ感染して拡がっていくというものでした。このヒトからヒトへの感染力はきわめて強力です。
症状
主な症状ははき気、おう吐及び下痢です。通常は便に血液は混じりません。あまり高い熱とならないことが多いです。小児ではおう吐が多く、おう吐・下痢は一日数回からひどい時には10回以上の時もあります。感染してから発病するまでの「潜伏期間」は短くて数時間~数日(平均1~2日)であり、症状の持続する期間も数時間~数日(平均1~2日)と短期間です。元々他の病気があったり、大きく体力が低下している等がなければ、重症になって長い間入院しないといけないということはまずありませんが、ごくまれにおう吐した物を喉に詰めて窒息(ちっそく)することがありますので注意してください。
治療法
特効薬はありません。症状の持続する期間は短いですから、その間に脱水にならないように、できる限り水分の補給をすること(場合によっては病院で点滴をしてもらって)が一番大切です。抗生物質は効果がありませんし、下痢の期間を遷延させることがあるので、ノロウイルス感染症に対しては通常は使用しません。その他は吐き気止めや整腸剤などの薬を使用する対症療法が一般的です。下痢が長びく場合には下痢止めの薬を投与することもありますが、最初から用いるべきではありません。
予防するには
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最も重要!!「流水・石けんによる手洗い」
- 帰宅時、食事前には、家族の方々全員が流水・石けんによる手洗いを行うようにしてください。
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調理と配膳
- 調理の前と後で流水・石けん(液体石けんが推奨されます)による手洗 いをしっかとと行いましょう。
- 貝類をその内臓を含んだままで加熱調理する際には十分に加熱して調理 し、貝類を調理したまな板や包丁はすぐに熱湯消毒しましょう。
- 食事を配膳する際にも手洗いをすることが勧められます。特に自分が下 痢や吐き気がある場合は必ず行ってください。
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おう吐物・下痢便の処理
- ノロウイルス感染症の場合、おう吐物や下痢便には、ノロウイルスが 大量に含まれています。そしてわずかな量のウイルスが体の中に入っただけで、容易に感染します。 放っておくと感染が広がりますので、早く処理する必要があります。
- 処理後は、塩素系の消毒剤(商品名:ピューラックス、ミルトンなど) や家庭用漂白剤(商品名:ハイター、ブリーチなど)で消毒しましょう。 (濃度は200ppm以上、家庭用漂白剤の場合は約200倍程度に薄めて)を使用してください。取り扱いには注意が必要です。※次亜塩素酸系消毒剤を使って、手指等の体の消毒をすることは絶対にやめてください。
- ノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎のみならず、サルモネラや腸炎ビブリオ、キャンピロバクターや黄色ブドウ球菌、旅行者下痢症(大腸菌感染が多い)などの細菌性腸炎にも注意が必要です。これらは主に食中毒として発生します。調理前後や食事前には「手洗い」を励行し、食品の冷所保存を心がけ、長期保存は避けるなど、日常生活での予防を心がけて下さい。
感染性胃腸炎にかかったら
- 水分をこまめにとり、水分不足(脱水症)に注意しましょう。
- 特に、体力の弱い乳幼児、高齢者は水分と栄養の補給を十分に行い体力が消耗しないようにしましょう。強い下痢止めの薬は使用しないようにしましょう。
- 症状がひどくて水分も摂れない場合には医療機関を受診して下さい。
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