2014年第1〜38週の報告です。
疾患名 | 報告数 |
一類感染症 | 0 |
二類感染症 | 0 |
三類感染症 | 5(腸管出血性大腸菌感染症:5) |
四類感染症 | 10(レジオネラ症:3、A型肝炎:4 デング熱:1、日本紅斑熱:2) |
五類感染症 | 35 |
「感染性胃腸炎」は冬場に流行する嘔吐、下痢を主症状とする代表的な感染症であり、その大半は、ノロウイルスやロタウイルス等のウイルス感染を原因とするものです。 多くの患者は、乳幼児や学童ですが、成人にも見られます。患者発生のピークは例年12月中となることが多く、特に集団発生例の原因の多くはノロウイルスによるものであると考えられています。
ノロウイルス・ロタウイルスによる感染性胃腸炎は、数時間〜数日(平均1〜2日)の潜伏期を経て、嘔吐・嘔気、腹痛・下痢、発熱等が見られます。嘔吐・下痢は1日数回から多いときは10回以上のこともあります。しかし、症状持続期間は数時間〜数日(平均1〜2日)と比較的短く、重症化して長期にわたり入院を要することは少ないです。また、発熱の頻度は高くありません。
ノロウイルスやロタウイルスなどのウイルスは、人の手などを介して、口に入って感染する可能性があります。ノロウイルスの感染経路は、ヒトからヒトへの感染(感染した人の便や吐物に触れた手指を介して口に入る場合・便や吐物が乾燥して、細かな塵として舞い上がり、体内に取り込んでしまった場合)と汚染した食品を介して起こる食中毒(感染した人が十分手を洗わず調理した食品を食べた場合・ウイルスを取り込んだ二枚貝を生または不十分な加熱処理で食べた場合)に分けられます。
乳幼児の集団生活施設である保育所や幼稚園、小児の集団生活施設である小学校等においては、接触感染や飛沫感染等により、集団発生が繰り返されてきているものと推察されます。
2014年第1週15件、2週70件、3週49件、4週76件、5週83件で、2週連続で増加しましたが、第6週は69件と前週より減少しました。第7週75件、第8週77件と2週連続増加しました。第9週は71件と前週より減少しましたが、第10週122件、第11週143件と増加しました。第12週113件、第13週87件、第14週57件と3週連続で減少しました。第15週59件、第16週78件、第17週131件と3週連続で増加しました。第18週118件、第19週113件、第20週142件、第21週125件、第22週117件、第23週75件で3週連続減少しました。24週は82件、25週59件、26週70件、27週56件、28週50件、29週38件、30週39件、31週34件、32週31件、33週24件、34週32件、35週46件、36週37件、37週26件で、今週は19件(定点あたり2.11)と先週より減少しました。
ノロウイルスには、塩素系の消毒剤が有効です。嘔吐物や下痢便の処理は、衛生的に取り扱い、汚れた場所や衣類等は、熱湯や塩素系消毒剤で消毒しましょう。特に、集団生活をされている方は、日頃からの手洗いや便の取り扱いに注意が必要です。
嘔吐・下痢などの症状があるときには、水分補給をし、症状がひどくて水分も摂れない場合は、すみやかに医療機関を受診して下さい。
ヘルパンギーナは、「夏風邪」の代表的な疾患です。2〜7日の潜伏期の後、38度以上の発熱、口腔内の水泡や発赤を伴います。通常7日程度で治癒しますが、合併症として、熱性けいれんと、まれに髄膜炎や心筋炎があります。季節的には毎年6〜8月に多く、罹患年齢はほとんどが6歳以下です。
ヘルパンギーナは、咳やくしゃみなどに含まれるウイルスによって感染します(飛沫感染)。また、水疱の内容物や便に含まれるウイルスからも感染します(接触感染)。集団生活で感染拡大する可能性が高い疾患です。学校や保育園、幼稚園など集団生活の機会がある方は、注意して下さい。
2013年第21週1件、第22週5件、第23週5件、第24週6件、第25週15件第26週16件、第27週28件、第28週61件、第29週53件、第30週24件、第31週18件、第32週25件で、第33週は6件と前週より減少し、警報レベル解除になりました。34週3件、35週15件、36週5件、37週7件で、今週は2件(定点あたり0.22)と前週より減少しました。
全国的には、報告数は3週連続減少していた患者報告数は(第35週:2.25)、終横ばいとなっています。
RSウイルス感染症は、例年秋から冬にかけて乳幼児を中心に流行する呼吸器感染症です。2〜7日の潜伏期の後、RSウイルスに感染すると、発熱、咳、鼻水などかぜに似た症状を示し、乳幼児は、細気管支炎や肺炎をおこす場合があります。特に、低出生体重児、心疾患、肺疾患、免疫不全のある方は、重症化のリスクが高いといわれています。また、終生免疫は獲得されないため、どの年齢でも再感染しますが、一般的には年長児以降では重症化しません。生後1歳までに半数以上が、2歳までにほとんどすべての児がこのウイルスに初感染するといわれています。
RSウイルス感染症は、咳やくしゃみなどに含まれるウイルスを吸い込んだり(飛沫感染)、また、手や指を介して、ウイルスが口や目に接触することによって感染します(接触感染)。
予防の基本は、手洗いと咳エチケットです。子どもたちが日常触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒液等で消毒しましょう。
2014年第1週12件、第2・3週7件、第4週1件、第5週5件、第6週4件、第7週2件、第8週2件、第9週3件で、第10・11・12週0件、第13・14週は2件でした。第15・16週0件、第17週1件、第18週0件、第19週1件、第20・21週0件第22週1件、第23週1件、第25週2件、第26・27週3件、第28週0件、第29週3件、第30週8件で、第31・32週3件、第33週4件、第34週2件でしたが、第35週13件、第36週20件、第37週21件、第38週22件(定点あたり2.44)と急増しています。年齢別では2歳以下の小児が80%以上を占めています。
全国的には患者報告数は4週連続で増加しています。
水痘ウイルスは、発疹出現の1〜2日前から出現後4〜5日、あるいは痂皮化するまで伝染力があります。季節的には毎年12〜7月に多く、8〜11月には減少しており、罹患年齢はほとんどが9歳以下です。
水痘は、空気感染で、咽頭から水痘帯状疱疹ウイルスが空中に放出され、口腔や鼻粘膜から侵入し感染します。また、接触感染することもあります。発疹が出る数日前からすでに感染性があるため、集団生活で感染拡大する可能性が高い疾患です。
学校や保育園、幼稚園など集団生活の機会がある方は、注意して下さい。
2014年第1週4件、第2週18件、第3週10件、第4週23件、第5週11件、第6・7週15件、第8・9週9件でした。第10・11週は4件と減少しました。第12週6件、第13週5件、第14週11件、第15週3件、第16週4件、第17週7件、第18週5件、第19週13件、第20週7件、第21週10件、第22週8件、第23週13件、第24週5件、第25週6件、第26週10件、第27週4件、第28週2件、第29週3件、第30週5件、第31週2件、第32週3件、第33週1件、第34週4件、第35週1件、第36週6件、第37週0件で、今週は11件(定点あたり1.22)と前週より増加しました。
ワクチン接種は、平成26年10月1日から定期接種になります。水痘のワクチン接種は、接種していても発病することがありますが、軽症で済み、接種することで重症化を防ぐ効果があります。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、春から夏、冬季の2つの時期をピークとして流行がみられます。
2013年第47・48週4件、第49週3件、第50週9件、第51週6件、第52週3件でした。2014年第1週3件、第2週4件、第3週2件、第4週7件、第5週3件、第6週7件、第7・8・9週6件でした。第10週2件、第11週3件、第12週4件、13週8件、第14週1件、第15週16件、第16週8件、第17週2件、第18週9件、第19週4件、第20週5件、第21週4件、第22週7件、第23・24・25週5件、第26週8件、第27週5件、第28週6件、第29週1件、第30週2件、第31週3件、第32週0件、第33週1件、第34週2件、第35週4件、第36週2件、第37週5件で、今週は4件(定点あたり0.44)と前週より減少しました。
本感染症は、治療が十分に行われないと劇症化したり、急性糸球体腎炎やリウマチ熱など重篤な合併症を発症したりすることがあるので、早期診断、適切な治療(抗生剤投与)が必要です。劇症型感染の発症機序は明らかでなく、有効な予防対策や拡大防止策はありません。突然の発熱、咽頭痛、筋肉痛、発疹などがある場合、早期に医療機関を受診してください。一般的には小児に多いですが、成人でも発症します。
マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマによって起こる呼吸器感染症です。幼児期から学童期によく見られます。感染経路は主に飛沫感染や接触感染といわれています。保育施設や幼稚園、学校、あるいは家庭内などの濃厚な接触で感染します。
和歌山市の患者報告数は、2014年10週1件、12・13週1件、14週2件、第15週1件、第19週1件、第20週1件、第25・26週1件、第32週2件で、今週1件の報告がありました。2013年第2・3週は0件、第4週は1件、第5週以降は0件でしたが、第12週2件(定点あたり0.67)、第14・15・16週1件、第27週1件、第30・33週・35・43・44週1件、第52週1件(定点あたり0.33)の報告がありました。
2012−2013年の報告患者は、10歳未満が全体の約70%を占めています。
近年、薬の効きにくいマイコプラズマの報告も見られます。マイコプラズマ感染症と診断され、治療を開始したにもかかわらず、症状の改善がない場合は、主治医に相談しましょう。
感染を広げないためのポイントは、咳エチケットと手洗いです。咳があるときはマスクを着用しましょう。
<和歌山市の状況>
和歌山市内における風疹の報告数は、2008年は、第3週(16歳)、第22週(70歳代)の計2件でした。2009年は、第17週(11歳)1件で、単抗原ワクチン接種済みの方でした。2010年、2011年と報告ありませんでした。2012年は、第16週1件(17歳:女性)、第28週1件(38歳:男性)、第32週2件(22歳:女性, 23歳:男性)、第33週1件(45 歳:男性)、第37週1件(45 歳:男性)、第38週1件(35 歳:男性)の計7件の報告がありました。2013年は、第8週より20〜40歳代の男性を中心に計189件の報告がありました。2014年は、第7週1件の報告がありました。
現在、風疹の報告数は、首都園と近畿地方を中心に報告があります。報告例の年齢・性別の傾向は、成人男性が中心です。女性の報告例をみると、出産年齢とされる年代が7割以上を占めているため、胎児が先天性風しん症候群という病気になる危険性が高くなるため、注意が必要です。
和歌山市では「先天性風しん症候群」の発生を予防し、安心して出産できるように、「風しん予防対策事業」として、風しん抗体検査費用、及び風しんの抗体が低い方に対する風しん予防接種(麻しん風しん混合ワクチン)費用を一部助成します。平成26年度和歌山市風しん予防対策事業(風しん抗体検査費用助成)について、
詳細はこちらへ。
年齢区分 | ||||||
0-9 | 10-19 | 20-29 | 30-39 | 40 | 計 | |
2012年 | 0 | 1 | 2 | 2 | 2 | 7 |
2013年 | 11 | 2 | 62 | 48 | 59 | 190 |
2014年 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
<和歌山市の状況>
008年は、第10〜46週に計23件、2009年は、第16〜24週に計6件でした。
和歌山市における発生状況は
こちら
<麻しんとは>
麻しんは、麻しんウイルスを原因とする感染症です。典型的には、10日前後の潜伏期を経て発症し、発熱・咳・鼻水・眼脂・結膜充血等のカタル期(2〜4日)、発疹期(3〜5日)、回復期へと続いていきます。感染期間としては、カタル期から発疹後4〜5日までとされています。
なお、患者との接触から3日以内であれば、ワクチン接種により感染を予防できる可能性があります。早期診断と接触者への迅速な対応が大切です。
<麻しんの診断>
2015年の麻しん征圧を目指して、様々な取り組みが実施されていますが、診断精度をより高めるために、麻しん(疑い)と診断された場合、PCR検査を全例に実施しています。咽頭ぬぐい液、血液及び尿の採取にご協力ください。
<市民のみなさま・特に子育て中の保護者のみなさまへのメッセージ>
麻しんの予防には、予防接種の徹底が何より重要です。お子様が満1歳になったら、先ず麻しんワクチン(=麻しん・風しん混合ワクチン)を接種しましょう。また、就学前の1年間の2回目の接種も忘れず受けましょう。
<若年成人の方へのメッセージ>
ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。現在の20歳代及び10歳代後半の若年者は、ワクチン接種率が低く、接種者でも接種から10年以上経過すると抗体価が低下している場合があります。接種歴のない方や抗体価が低い場合は、ワクチン接種が必要です。
発熱等の症状があった場合には、早期に医療機関を受診しましょう。
年齢区分 | ||||||
0 | 1-4 | 5-9 | 10-19 | 20- | 計 | |
2014年 | 0 | 6 | 8 | 5 |
4 | 23 |