2013年第2週までの和歌山市の発生状況の概要です。
2013年第1〜3週まで報告はありません。
「感染性胃腸炎」は冬場に流行する嘔吐、下痢を主症状とする代表的な感染症であり、その大半は、ノロウイルスやロタウイルス等のウイルス感染を原因とするものです。 多くの患者は、乳幼児や学童ですが、成人にも見られます。患者発生のピークは例年12月中となることが多く、特に集団発生例の原因の多くはノロウイルスによるものであると考えられています。
ノロウイルス・ロタウイルスによる感染性胃腸炎は、数時間〜数日(平均1〜2日)の潜伏期を経て、嘔吐・嘔気、腹痛・下痢、発熱等が見られます。嘔吐・下痢は1日数回から多いときは10回以上のこともあります。しかし、症状持続期間は数時間〜数日(平均1〜2日)と比較的短く、重症化して長期にわたり入院を要することは少ないです。また、発熱の頻度は高くありません。
ノロウイルスやロタウイルスなどのウイルスは、人の手などを介して、口に入って感染する可能性があります。ノロウイルスの感染経路は、ヒトからヒトへの感染(感染した人の便や吐物に触れた手指を介して口に入る場合・便や吐物が乾燥して、細かな塵として舞い上がり、体内に取り込んでしまった場合)と汚染した食品を介して起こる食中毒(感染した人が十分手を洗わず調理した食品を食べた場合・ウイルスを取り込んだ二枚貝を生または不十分な加熱処理で食べた場合)に分けられます。
乳幼児の集団生活施設である保育所や幼稚園、小児の集団生活施設である小学校等においては、接触感染や飛沫感染等により、集団発生が繰り返されてきているものと推察されます。
2012年第52週79件、2013年第1週32件(定点あたり3.56)と2週連続で減少し、終息基準値を下回りました。今週は、75件(定点あたり8.33)と前週(85件)より減少しました。
ノロウイルスには、塩素系の消毒剤が有効です。嘔吐物や下痢便の処理は、衛生的に取り扱い、汚れた場所や衣類等は、熱湯や塩素系消毒剤で消毒しましょう。特に、集団生活をされている方は、日頃からの手洗いや便の取り扱いに注意が必要です。
嘔吐・下痢などの症状があるときには、水分補給をし、症状がひどくて水分も摂れない場合は、すみやかに医療機関を受診して下さい。
2013年第3週の患者報告数は、217件(定点あたり14.5)で、前週(125件)より大きく増加しました。2012-2013年シーズン(2012年36週以降)は、第47週1件、第49週2件、第50週15件、第51週53件、第52週38件です。17検体の遺伝子検査を実施した結果、全例AH3型(A香港型)でした。全国においても、2012年第43週以降増加が続いており、第50週に流行開始の指標である1.00を初めて上回りました。国内でもAH3が大半を占めています。
市内学校等におけるインフルエンザ様疾患による臨時休業報告
幼稚園 | 保育園 | 小学校 | 中学校 | 高等学校 | その他 | |
2012-2013シーズン累計 | 0 | 0 | 5 | 3 | 6 | 0 |
RSウイルス感染症は、冬場(11月〜3月)にかけて主に乳幼児で流行する感染症です。乳幼児が感染すると、細気管支炎や肺炎をおこすことがあります。RSウイルス感染症は、乳幼児の肺炎の原因の約50%、細気管支炎の50〜90%を占めるとの報告もあります。
RSウイルス感染症の報告数は、例年冬期にピークが見られ、夏期は報告数が少ない状態が継続していたが、全国的に、2011年、2012年と2年連続して7月頃から増加傾向がみられています。
潜伏期は2〜8日とされています。RSウイルスの主な感染経路は飛沫感染と接触感染ですが、感染力が強く、また生涯にわたって何度も顕性感染を繰り返すといわれています。鼻水、咳、発熱などの風邪症状に加えヒューヒュー、ゼーゼーというような「喘鳴」が聞かれる場合は、医療機関を受診しましょう。
2012年第49週12件、第50週10件、第51週15件、第52週12件、2013年第1週16件、今週は5件(定点あたり0.56)と前週(9件)より減少しました。
2012−2013年の累積報告者数は、2歳以下で全報告数の90%以上を占めています。
水痘ウイルスは、発疹出現の1〜2日前から出現後4〜5日、あるいは痂皮化するまで伝染力があります。季節的には毎年12〜7月に多く、8〜11月には減少しており、罹患年齢はほとんどが9歳以下です。
水痘は、空気感染で、咽頭から水痘帯状疱疹ウイルスが空中に放出され、口腔や鼻粘膜から侵入し感染します。また、接触感染することもあります。発疹が出る数日前からすでに感染性があるため、集団生活で感染拡大する可能性が高い疾患です。
学校や保育園、幼稚園など集団生活の機会がある方は、注意して下さい。
2012年第48週20件、第49週7件、第50週は28件と再度増加しました。第51週10件、第52週11件でした。
2013年第3週は10件(定点あたり1.11)で、第2週15件より減少しました。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、春から夏、冬季の2つの時期をピークとして流行がみられます。
2012年は、第44・45週10件、第46週12件、第47週10件、第48週12件、第49週8件、第50週5件と2週連続減少しました。第51週15件、第52週8件(定点あたり0.89)でした。
2013年第2週は13件でしたが、今週は10件(定点あたり1.11)と減少しました。
マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマによって起こる呼吸器感染症です。幼児期から学童期によく見られます。感染経路は主に飛沫感染や接触感染といわれています。保育施設や幼稚園、学校、あるいは家庭内などの濃厚な接触で感染します。
和歌山市の患者報告数は、2013年第1週の報告数は1件でした。第2・3週は報告はありません。
2012−2013年の報告患者は、10歳未満が全体の約70%を占めています。
全国では、過去5年間の同時期と比較してやや多い報告数が続いています。特に東日本を中心に全国平均を上回っています。
近年、薬の効きにくいマイコプラズマの報告も見られます。マイコプラズマ感染症と診断され、治療を開始したにもかかわらず、症状の改善がない場合は、主治医に相談しましょう。
感染を広げないためのポイントは、咳エチケットと手洗いです。咳があるときはマスクを着用しましょう。
麻しん・風しんが、2008年より全数把握疾患となりました。
風しんは、現在、東京、大阪、兵庫を中心に、その他の地域でも報告があります。成人男性を中心に感染しており、流行している地域では、学校内・職場・施設内での集団発生や妊婦や妊婦の家族での感染も報告されています。和歌山市内における風しんの報告数は、2012年は、第16週1件、第28週1件、第32週2件、第33週1件、第37週1件、第38週1件でした。2013年は報告はありません。
麻しんは2008年23件、2009年6件、2010年1件、2011年0件、2012年0件、2013年0件です。
<和歌山市の状況>
和歌山市内における風疹の報告数は、2008年は、第3週(16歳)、第22週(70歳代)の計2件でした。2009年は、第17週(11歳)1件で、単抗原ワクチン接種済みの方でした。2010年、2011年と報告ありませんでした。2012年は、第16週1件(17歳:女性)、第28週1件(38歳:男性)、第32週2件(22歳:女性, 23歳:男性)、第33週1件(45 歳:男性)、第37週1件(45 歳:男性)、第38週1件(35 歳:男性)の計7件の報告がありました。2013年は、報告はありません。
現在、風疹の報告数は、関東地方、関西地方を中心に他の地域でも報告があります。報告例の年齢・性別の傾向は、成人男性が中心です。女性の報告例をみると、出産年齢とされる年代が7割以上を占めているため、胎児が先天性風しん症候群という病気になる危険性が高くなるため、注意が必要です。
風しんは、発熱、発しん、リンパ節の腫れなどを特徴とする病気です。患者から出る風しんウイルスが口からでるつばなどのしぶきを介して感染します。予防には、ワクチン接種が有効です。
風しんを疑うような、発熱、発しん、リンパ節の腫れなどの症状がありましたら、早めに医療機関を受診してください。
年齢区分 | |||||||||||
0歳 | 1- | 5- | 10- | 15- | 20- | 25- | 30- | 35- | 40- | 計 | |
2012年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 2 | 2 | 7 |
2013年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
先天性風しん症候群とは、ワクチン未接種で風しんにかかったこともない女性が妊娠初期に風しんにかかり、風しんウイルスが胎児に感染することにより、出生児に主に先天性の心疾患、難聴、白内障等の障害を起こす病気の総称です。風しんは主に春〜初夏に流行するため、妊娠中に風しんウイルスに感染した胎児のほとんどは秋〜冬に生まれています。
和歌山市内では、1999年以降、先天性風しん症候群の報告はありません。
2010年、2011年、2012年は報告なく、2013年も第2週現在まで、和歌山市内で麻しんの報告はありません。
2011年に関東地方を中心に4月半ば〜5月半ばにかけて麻しん報告数が増加しました。全国の患者の報告は1歳をピークに0〜4歳の小児が最も多いですが、20〜40代の成人患者も40%占めており、子どもだけでなく成人も麻しんに注意が必要です。
年齢区分 | |||||||||||
0歳 | 1歳 | 5歳 | 10歳 | 15歳 | 20歳 | 25歳 | 30歳 | 35歳 | 40歳 | 計 | |
2008年 | 0 | 6 | 2 | 7 | 6 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 23 |
2009年 | 0 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 |
2010年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2011年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2012年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2013年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
<麻しんとは>
麻しんは、麻しんウイルスを原因とする感染症です。典型的には、10日前後の潜伏期を経て発症し、発熱・咳・鼻水・眼脂・結膜充血等のカタル期(2〜4日)、発疹期(3〜5日)、回復期へと続いていきます。感染期間としては、カタル期から発疹後4〜5日までとされています。
<麻しんの診断>
2015年の麻しん征圧を目指して、様々な取り組みが実施されていますが、診断精度をより高めるために、麻しん(疑い)と診断された場合、PCR検査を全例に実施しています。咽頭ぬぐい液、血液及び尿の採取にご協力ください。
<市民のみなさま・特に子育て中の保護者のみなさまへのメッセージ>
麻しんの予防には、予防接種の徹底が何より重要です。【Stop 麻しん・風しん】を参照。お子様が満1歳になりましたら、先ず麻しんワクチン(=麻しん・風しん混合ワクチン)を接種しましょう。また、就学前の1年間の2回目の接種も忘れず受けましょう。
平成20年度から5年間、中学1年生及び高校3年生相当の方も麻しん風しん混合ワクチン接種の対象となりました。対象者の方が接種できる期間は、それぞれ1年間のみです。早めに接種しましょう。
<若年成人の方へのメッセージ>
ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。現在の20歳代及び10歳代後半の若年者は、ワクチン接種率が低く、接種者でも接種から10年以上経過すると抗体価が低下している場合があります。接種歴のない方や抗体価が低い場合は、ワクチン接種が必要です。
発熱等の症状があった場合には、早期に医療機関を受診しましょう。
麻しん・風しんの予防接種は,平成18年4月1日より,次のとおりです。
第1期 満1歳〜満2歳になるまでの間に1回
第2期 満5歳〜7歳未満で,小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間に1回
いずれも,「麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)」を接種しますが,いずれか一方の既往歴がある場合等には,「麻しん単抗原ワクチン」もしくは「風しん単抗原ワクチン」を接種します。1回接種では、将来抗体価の低下が危惧されます。第2期を忘れず接種しましょう。目標は95%以上。平成23年度の接種率は第1期:99.3%・第2期:94.5%でした。
「麻しん排除計画」の一環として、平成20年4月1日から平成25年3月31日までの5年間、麻しん・風しんの予防接種 第3期・第4期が実施されています。
第3期 中学1年生で 「麻しん風しん混合ワクチン」を1回接種
第4期 高校3年生相当で 「麻しん風しん混合ワクチン」を1回接種
いずれも95%以上の接種率を目標とし、麻しん・風しんの排除を目指しています。
このことにより 平成2年4月2日以降に出生したものは、高校卒業までに麻しん・風しんワクチンの2回接種が完了することになります。
平成23年度の接種率は、第3期89.3%、第4期81.7%と、目標の95%をかなり下回っています。