和歌山市感染症情報センター

Wakayama City Infectious Disease Surveilance Center


今注目の感染症!       第25週(6月14日〜6月20日)
 



  咽頭結膜熱  流行中! 警報継続発令中!!

 第15週から報告が増加しており,例年にない流行となっています。第22週では32件(定点当り3.56)と急増しましましたが,第23週では21件(定点当り2.33),第24週では18件(定点当り2.00),第25週では9件(定点当り1.00)と減少傾向ですが,それでも例年の数倍の報告数となっています。
  県下の保健所管内でも第21週より報告が増加しています。岩出管内では第21週以降1件から5件の間で増減,第25週では4件(定点当り1.00)でした。また,第21週に警報が発令された田辺管内は第22週は報告0,第23週6件(定点当り1.50)で再び警報発令し,第24週で5件,第25週4件(定点当り1.00)と報告が続いています。となっています。新宮管内は第24週は報告なしでした。新たに海南管内で3件(定点当り1.50)の報告があり,警報が発令されました。湯浅管内でも2件(定点当り0.67)の報告で,県内の多くの地域で流行している状況です。
  4年前の大流行時と比較してもかなり早期からの流行の持続となっています。プールシーズンも到来し,季節的には,これからが本流行のシーズンですので,今後ますます増加することが予想され,十分な注意が必要です。
  年齢別では,小学生でも報告されていますが,殆どが就学前の幼児です。毎朝,こどもさんの健康チェックをしましょう。
  流行状況及び年齢別報告数は,下図のとおりです。


 病原体情報では,IDWRによると,昨秋に引き続き2004年当初よりアデノウェイルス3型が多く検出されており,次いで,Ad2型,5型,1型,4型,6型となっています。




 A郡溶血性レンサ球菌咽頭炎

 全国的には,過去5年と比較して報告数が増加しているA郡溶血性レンサ球菌咽頭炎ですが,和歌山県内では,例年と変わらない程度の報告でした。その中で,岩出管内では常に比較的多く報告されていましたが,第22週では16件(定点当り4.00)と報告数の急増があり,警報が発令され,第23週で18件(定点当り4.50),第24週19件,25週とも19件(定点当り4.75)と増加しています。また,御坊管内でも第23週8件(定点当り4.00)で警報が発令されましたが第24週0件で警報解除,第25週でも2件のみでした。
  和歌山市内では,第22週10件,第23週16件(定点当り1.78),第24週11件,第25週10件(定点当り1.11)と少数の報告です。年齢別では3歳から9歳での報告となっています。




 ヘルパンギーナ

 「咽頭結膜熱」「手足口病」とともに3大夏風邪のひとつ「ヘルパンギーナ」も,これからの流行が予想される感染症のひとつです。全国的にも和歌山市内でも,5年前に大流行しました。ことしは,和歌山市内では,第21週9件,第22週24件,第23週19件,第24週11件,第25週20件(定点当り2.22)と今のところ目だった状況ではあリませんが,今後の流行状況に注意しましょう。
 年齢別では,1歳8件,2歳4件,3歳3件,4歳2件,5歳2件,8歳1件と乳幼児に集中しています。




  感染性胃腸炎

 インフルエンザの流行に伴うように増加した感染性胃腸炎は,第5週では昨年より多い203件の報告がありピークとなり, 第11週より減少傾向を示し,第12週で警報解除されました。第24週では88件で,例年よりやや多めの状況となっています。

 また,年齢別の報告状況は下図のとおりです。
第24週では,幼児期後半から小学生での報告が増加しています。

感染性胃腸炎関連のウィルスとしては,IDWR病原微生物検出情報では,小型球形ウィルス(SRSV)の報告が第50週に大きなピークを示し,年明け第2週に再び増加しています。また,ロタウィルスは50週以降増加傾向にあリました。殆どがA郡で5歳以下の小児科からの検出とのことです。
   【参考】 ロタウィルス感染症 Q&A




風しんと先天性風しん症候群の予防について

 小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,今年になって一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報国されています。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となっています。第20週までの都道府県別累積報告数では,栃木県,群馬県,沖縄県,秋田県,大分県で多く報告されています。
  患者の年齢別では,本年は昨年までと比較して10~14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
  一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
  感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,今年は,すでに3例の報告がありました。
  現在,和歌山市内では,第18週に今年初めて1件の報告がありました。年齢は3歳でした。また,海南保健所管内でも1件の報告でした。以後第22週現在報告はありませんが,非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
  なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要とされています。



Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!

  感染症対策で最も有効な予防法は予防接種です。
  麻しんや風しんは予防接種で感染を予防できます。いずれも満1歳〜満7歳6か月になるまでの間にかかりつけ医で接種できます。

 予防接種の接種時期については,最も適切な接種時期として,「標準接種月齢」が示されています。先日,予防接種実施要領が改正され, 麻しんの予防接種の標準接種月齢 が,今までの「生後 12 月から 24 月」から、 「生後 12 月から 15 月(満 1 歳3か月)」 に変更されました。これは,麻しんが 1 歳ごろがもっとも罹患しやすく,かつ重症になるため、満1歳になったら,できるだけ早い時期に予防接種を受けることを推進するためのものです。

  「お誕生日を迎えたら,かかりつけ医で麻しんの予防接種をうけましょう!」

  「麻しん」の予防接種の後は,引き続き「風しん」の予防接種をうけましょう!

 また, 7 歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人では,任意接種(有料)になりますが,大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。




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