和歌山市感染症情報センター

Wakayama City Infectious Disease Surveilance Center
麻疹(はしか)について
 麻疹(はしか)は感染性が非常に高く,予防接種を受けていないと一生に一度はかかる病気です。感受性のある人(免疫を持たない人)が感染性のある患者さんと接触すると90%以上が感染します。年齢では1歳にピークがあり約半数が2歳以下です。また我が国では麻疹により,現在もなお数十名が死亡しています。年齢的には0〜4 歳児が大半で,特に0,1歳児が多いです。 ヒトからヒトへの空気感染,さらに飛沫感染,接触感染など様々な感染経路をとります。通常春から夏にかけて流行します。成人麻疹(18歳以上)の患者さんは入院治療を必要とするような比較的重症例と考えられます。年齢別では、20〜29歳代の患者さんが多いです。予防には麻疹ワクチンが最も有効です。


カタル期

ウイルス感染後に10〜12日を経て発症します。38 ℃前後の発熱が2〜4日間続き,倦怠感があり不機嫌となり,上気道炎症状(咳嗽,鼻漏,くしゃみ)と結膜炎症状(結膜充血,眼脂,羞明)が現れ次第に強くなります。
 乳幼児では消化器症状として下痢,腹痛を伴うことが多く,発疹出現の1〜2 日前頃に頬粘膜に,約1mm 径の白色小斑点(コプリック斑)が出現します。


発疹期

カタル期での発熱が1 ℃程度下降した後,半日くらいのうちに再び高熱(多くは39.5 ℃以上)が出るとともに(2峰性発熱),特有の発疹が耳後部・頚部・前額部より出現し,翌日には顔面・体幹部・上腕におよび,2 日後には四肢末端にまで広がり,全身に広がるまで発熱(39.5 ℃以上)が3 〜4日間続きます。


回復期

発疹出現3〜4日後,下熱し,全身状態も活力がでて改善してきます。発疹は退色し,色素沈着がしばらく残り,僅かのぬか様落屑があります。合併症のないかぎり7〜10 日後には回復します。ウイルスがカタル期の発熱時から,第5 〜6 発疹日(発疹の色素沈着)まで検出され,この間は感染力があることになります。


合併症

肺炎,気管支炎,中耳炎,脳炎等が合併します。麻疹の二大死因は肺炎と脳炎で注意が必要です。


予防接種

特異的な治療法はなく,対症療法が中心となります。それ故に,ワクチン接種による予防が最も重要となります。
 母体由来の抗体があると接種した麻疹ワクチンウイルスの増殖が十分でないため,生後12カ月〜90カ月未満児が接種対象です。麻疹ワクチン接種は,疾患に罹患した場合の重症度,感染力の強さから考えて接種年齢に達した後なるべく速やかに,少なくとも生後12〜15カ月に接種することが望ましいと考えられます。生後6か月以降は母親由来の免疫が減弱するため,麻疹流行期や一歳前に保育園等で集団生活をおくる場合には,1 歳以前にワクチン接種を任意で受ける選択もあります。いずれにしても1 歳前に接種を受けた場合は、1 歳以降に再接種(この場合は定期接種として実施)をうける必要があります。
 ワクチンによる免疫獲得率は95%以上と報告されており,有効性は明らかです。接種後の副反応としては発熱が約20〜30%,発疹は約10%に認められますが,いずれも軽症でありほとんどは自然に消失します。
 お子さんが1歳になったら,なるべく早く予防接種を受けていただくことが重要です。



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