和歌山市感染症情報センター

Wakayama City Infectious Disease Surveilance Center


今注目の感染症!       第28週(7月5日〜7月12日)
 



  咽頭結膜熱  流行終息傾向! 警報は継続中!!   

 第15週から報告が増加しており,例年にない流行となり,第22週では32件(定点当り3.56)と急増しましましたが,第23週以降減少傾向にあり,第28週では3件まで減少。 一旦流行はおさまりつつあります。
  県下の保健所管内でもほぼ同様の流行状況です。
  岩出管内では第21週以降1件から6件(定点当り1.05)の間で増減,第27週では2件でしたが,第28週9件(定点当り2.25)と急増しています。また,高野口管内で5件(定点当り1.25),湯浅管内でも3件(定点当り1.00)の報告で,いずれも警報発令中です。一方,田辺管内は,3件(定点当り0.75)に減少,警報は継続中です。海南,御坊管内は報告なし,新宮管内は1件のみです。
  4年前の大流行時と比較し,かなり早期からの流行の持続となっていましたが,ここ数週間はやや落ち着いてきています。しかし,これから夏本番。今後も流行状況に十分な注意が必要です。
  年齢別では,第26週,第27週とも就学前の幼児に集中しています。毎朝,こどもさんの健康チェックをしましょう。
  流行状況及び年齢別報告数は,下図のとおりです。
  病原体情報では,IDWRによると,年初からアデノウェイルス3型(Ad3)が多く検出されており,次いで,Ad2,Ad1,Ad4,Ad6が報告されています。

和歌山市のおける咽頭結膜熱の流行状況

咽頭結膜熱年齢別報告数

 厚生労働省へ




 A郡溶血性レンサ球菌咽頭炎

 全国的には,過去5年と比較して報告数が増加しているA郡溶血性レンサ球菌咽頭炎ですが,和歌山県内では,例年と変わらない程度の報告でした。その中で,岩出管内では,第22週に16件(定点当り4.00)と報告数の急増があり,警報が発令されました。以降18件,19件,19件,11件,12件,13件とやや減少傾向ですが,引き続き警報が発令されています。
  和歌山市内では,第22週以降10件から16件(定点当り1.78),第28週では3件に減少しました。年齢別では3歳,6歳,7歳で各1件の報告となっています。




 ヘルパンギーナ   報告数増加中!

 「咽頭結膜熱」「手足口病」とともに3大夏風邪のひとつ「ヘルパンギーナ」も,これからの流行が予想される感染症のひとつです。全国的にも和歌山市内でも,5年前に大流行しました。ことしは,和歌山市内では,第21週9件,第22週24件と増加,以降11件から20件で増減していましたが,第27週24件,第28週33件(定点当り3.67)と再び増加しています。今後の流行状況に注意しましょう。
  年齢別では,0歳3件,1歳13件,2歳5件,3歳6件,4歳2件,5歳4件と1歳児を中心に乳幼児に集中しています。

ヘルパンギーナの流行状況

ヘルパンギーナの流行状況



  感染性胃腸炎

 インフルエンザの流行に伴うように増加した感染性胃腸炎は,第5週では昨年より多い203件の報告がありピークとなり,第11週より減少傾向を示し,第12週で警報解除されました。第28週では63件で,ほぼ例年なみの状況となっています。

和歌山市のおける感染症胃腸炎の流行状況

 また,年齢別の報告状況は下図のとおりです。
  第27週,28週とも,乳幼時期から小学生まで幅広い年齢で報告されています。

感染性胃腸炎年齢別報告数

 感染性胃腸炎関連のウィルスとしては,ノロウィルスが多く報告されます。2004年4〜5月には,大阪市でノロウィルスによる胃腸炎の集団発生がありました。また,島根県でも5月下旬に小学校で集団胃腸炎が発生し,IDWR2004年第25週に報告されています。 和歌山市内でも小学校等で,ノロウィルスによると思われる胃腸炎の小流行がありました。




 その他の感染症

 「水痘(みずぼうそう)」:和歌山市第28週16件(定点当り1.78)と大きな変動はありません。6−12か月で1件,1歳1件,2歳3件,3歳3件,4歳3件,5歳4件,6歳1件です。 
  第23週以降警報が発令されていました岩出管内は,第27週では16件(定点当り4.00)で,注意報となり,第28週9件で解除されました。 また,海南管内では7件(定点当り3.50)で警報解除です。

  「流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)」:和歌山市第28週15件(定点当り1.67)と例年並です。6-12か月1件,1歳1件,2歳1件,3歳2件,4歳4件,5歳2件,6歳1件,7歳1件の報告です。
  第9週以降継続して警報が発令されている田辺管内で,第28週34件(定点当り8.50)と再度報告数が増加しています。

  「突発性発疹」:和歌山市第28週15件(定点当り1.67)と例年並です。年齢別では,0-6か月1件,6-12か月で7件,1歳7件です。県内でも特に目立った状況はありません。
 
  「伝染性紅斑」いわゆる「りんご病」:和歌山市第28週3件のみ,5歳,6歳,7歳で各1件の報告です。

  「手足口病」:3大夏風邪のひとつですが,和歌山市第28週3件のみ,1歳,6歳,7歳で各1件の報告,海南1件の報告です。




 第3類感染症 「腸管出血性大腸菌感染症」 今年初めての報告!

 今年はじめての腸管出血性大腸菌感染症 O157の報告がありました。昨年は1年間で11件の報告で,昨年と比較すると今年は報告が少ない状況です。
  患者さんは,幼児で,症状は下痢ですが比較的軽症です。特に合併症もなく,回復しています。今回の事例では,家族等の健康診断でも問題はなく,感染経路は不明です。
  全国的な報告の状況では,例年と同様,この時期報告数が増加してきています。第26週までの全国の報告では,血清型でみてO157が64%,O26が22%となっています。また,O157では0-9歳が31%,O26では63%で,低年齢層の占める割合が大きくなっています。また,低年齢層及び70歳以上の高齢層では,有症者の割合が高く,さらにHUSの合併も多いと報告されています。(IDWR 第26号)同時に,保育園等での集団発生事例の報告も散見されているようです。
  保育所等では普段からオムツ交換時などの手洗いの励行,園児に対する排便後,食事まえの手洗いの指導を徹底させましょう。また,簡易プールの衛生管理にも十分に注意を払いましょう。





風しんと先天性風しん症候群の予防について

 小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,今年になって一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報国されています。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となっています。第20週までの都道府県別累積報告数では,栃木県,群馬県,沖縄県,秋田県,大分県で多く報告されています。
  患者の年齢別では,本年は昨年までと比較して10~14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
  一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
  感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,今年は,すでに3例の報告がありました。
  現在,和歌山市内では,第18週に今年初めて1件の報告がありました。年齢は3歳でした。また,海南保健所管内でも1件の報告でした。以後第26週まで報告はありませんでしたが,第27週湯浅管内で1件の報告がありました。
  非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
  なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。



Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!

  感染症対策で最も有効な予防法は予防接種です。
  麻しんや風しんは予防接種で感染を予防できます。いずれも満1歳〜満7歳6か月になるまでの間にかかりつけ医で接種できます。

 予防接種の接種時期については,最も適切な接種時期として,「標準接種月齢」が示されています。先日,予防接種実施要領が改正され, 麻しんの予防接種の標準接種月齢 が,今までの「生後 12 月から 24 月」から、 「生後 12 月から 15 月(満 1 歳3か月)」 に変更されました。これは,麻しんが 1 歳ごろがもっとも罹患しやすく,かつ重症になるため、満1歳になったら,できるだけ早い時期に予防接種を受けることを推進するためのものです。

  「お誕生日を迎えたら,かかりつけ医で麻しんの予防接種をうけましょう!」

  「麻しん」の予防接種の後は,引き続き「風しん」の予防接種をうけましょう!

 また, 7 歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人では,任意接種(有料)になりますが,大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。




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