和歌山市感染症情報センター

Wakayama City Infectious Disease Surveilance Center


今注目の感染症!       第27週(6月28日〜7月4日)
 



  咽頭結膜熱  流行中! 例年並! 警報継続発令中!!   

 第15週から報告が増加しており,例年にない流行となっています。第22週では32件(定点当り3.56)と急増しましましたが,第23週以降減少傾向にあり,第25週9件,第26週10件,第27週7件(定点当り0.78)と例年並の流行状況となっています。
  県下の保健所管内でもほぼ同様の流行状況です。
  岩出管内では第21週以降1件から6件(定点当り1.05)の間で増減,第27週では2件でした。田辺管内では,第23週6件(定点当り1.50)で警報発令され,以降5件,4件,2件,2件(定点当り0.50)と推移しています。高野口管内で4件(定点当り1.00),湯浅管内でも4件(定点当り1.33)の報告で,警報発令中です。新宮管内と海南管内は,第27週は報告なしです。
  4年前の大流行時と比較し,かなり早期からの流行の持続となっていましたが,ここ数週間はやや落ち着いてきています。しかし,これから夏本番。今後も流行状況に十分な注意が必要です。
  年齢別では,第26週,第27週とも就学前の幼児に集中しています。毎朝,こどもさんの健康チェックをしましょう。  流行状況及び年齢別報告数は,下図のとおりです。
  病原体情報では,IDWRによると,年初からアデノウェイルス3型(Ad3)が多く検出されており,次いで,Ad2,Ad1,Ad4,Ad6が報告されています。

和歌山市のおける咽頭結膜熱の流行状況

咽頭結膜熱年齢別報告数

 厚生労働省へ




 A郡溶血性レンサ球菌咽頭炎

 全国的には,過去5年と比較して報告数が増加しているA郡溶血性レンサ球菌咽頭炎ですが,和歌山県内では,例年と変わらない程度の報告でした。その中で,岩出管内では,第22週に16件(定点当り4.00)と報告数の急増があり,警報が発令されました。以降18件,19件,19件,11件,第27週では12件でやや減少傾向ですが,引き続き警報が発令されています。
  和歌山市内では,第22週10件,以降16件,11件,10件,13件,第27週で11件(定点当り1.22)と横ばいです。年齢別では2歳から10-14歳で1〜3件の報告となっています。っています。




 ヘルパンギーナ

 「咽頭結膜熱」「手足口病」とともに3大夏風邪のひとつ「ヘルパンギーナ」も,これからの流行が予想される感染症のひとつです。全国的にも和歌山市内でも,5年前に大流行しました。ことしは,和歌山市内では,第21週9件,第22週24件と増加,以降19件,11件,20件,14件でしたが,第27週24件(定点当り2.67)と再びやや増加しました。今後の流行状況に注意しましょう。
  年齢別では,0歳1件,1歳7件,2歳3件,3歳4件,4歳7件,5歳2件と乳幼児に集中しています。

ヘルパンギーナの流行状況



  感染性胃腸炎

 インフルエンザの流行に伴うように増加した感染性胃腸炎は,第5週では昨年より多い203件の報告がありピークとなり,第11週より減少傾向を示し,第12週で警報解除されました。第27週では52件で,ほぼ例年なみの状況となっています。

和歌山市のおける感染症胃腸炎の流行状況

 また,年齢別の報告状況は下図のとおりです。
 第27週では,乳幼時期から小学生での報告となっています。

感染性胃腸炎年齢別報告数

 感染性胃腸炎関連のウィルスとしては,ノロウィルスが多く報告されます。2004年4〜5月には,大阪市でノロウィルスによる胃腸炎の集団発生がありました。また,島根県でも5月下旬に小学校で集団胃腸炎が発生し,IDWR2004年第25週に報告されています。 和歌山市内でも小学校等で,ノロウィルスによると思われる胃腸炎の小流行がありました。




 その他の感染症

 「水痘(みずぼうそう)」:和歌山市第27週16件(定点当り1.78)と大きな変動はありません。0−6か月で1件,1歳5件,2歳4件,3歳1件,4歳3件,5歳1件,6歳1件です。
  第23週以降警報が発令されていました岩出管内は,第27週では16件(定点当り4.00)で,注意報となっています。また,海南管内では9件(定点当り4.50)で警報継続です。

  「流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)」:和歌山市第27週9件(定点当り1.00)と例年並です。1歳1件,3歳1件,4歳3件,5歳4件の報告です。
  第9週以降継続して警報が発令されている田辺管内では,第26週28件から第27週11件と減少傾向です。

  「突発性発疹」:和歌山市第27週12件(定点当り1.33)と例年並です。年齢別では,6―12か月で6件,1歳6件です。県内でも特に目立った状況はありません。

  「伝染性紅斑」いわゆる「りんご病」:和歌山市第27週9件(定点当り1.00),2歳から7歳で1〜3件の報告です。

  「手足口病」:3大夏風邪のひとつですが,県内で,岩出2件のみの報告です。





風しんと先天性風しん症候群の予防について

 小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,今年になって一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報国されています。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となっています。第20週までの都道府県別累積報告数では,栃木県,群馬県,沖縄県,秋田県,大分県で多く報告されています。
  患者の年齢別では,本年は昨年までと比較して10~14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
  一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
  感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,今年は,すでに3例の報告がありました。
  現在,和歌山市内では,第18週に今年初めて1件の報告がありました。年齢は3歳でした。また,海南保健所管内でも1件の報告でした。以後第26週まで報告はありませんでしたが,第27週湯浅管内で1件の報告がありました。
  非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
  なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。



Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!

  感染症対策で最も有効な予防法は予防接種です。
  麻しんや風しんは予防接種で感染を予防できます。いずれも満1歳〜満7歳6か月になるまでの間にかかりつけ医で接種できます。

 予防接種の接種時期については,最も適切な接種時期として,「標準接種月齢」が示されています。先日,予防接種実施要領が改正され, 麻しんの予防接種の標準接種月齢 が,今までの「生後 12 月から 24 月」から、 「生後 12 月から 15 月(満 1 歳3か月)」 に変更されました。これは,麻しんが 1 歳ごろがもっとも罹患しやすく,かつ重症になるため、満1歳になったら,できるだけ早い時期に予防接種を受けることを推進するためのものです。

  「お誕生日を迎えたら,かかりつけ医で麻しんの予防接種をうけましょう!」

  「麻しん」の予防接種の後は,引き続き「風しん」の予防接種をうけましょう!

 また, 7 歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人では,任意接種(有料)になりますが,大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。




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