2010年50Wの和歌山市の5類感染症(定点把握)の発生状況です。
[新型インフルエンザの流行状況] 第46〜50週に新型・季節性とも報告有り
2009-2010年は、新型インフルエンザ(A/H1N1pdm)の流行により、和歌山市でも、第35週(8/24-)に定点当たり報告数1.33と全国より2週遅れて流行が始まりました。第42週(10/12-)に15.67で注意報発令、第46週(11/9-)に31.4で警報発令となり、第47週(11/16-)はさらに35.8に増加しピークを迎えました。第48週以降はやや減少傾向にあり、第53週(12/28-)114件(7.60)→第1週(1/4-)88件(5.87)と緩やかに減少しました。新学期が再開後、一時期は増加傾向を示していましたが、第4週以降減少傾向で第17週(4/26-)以降は0件が続いていました。
今シーズン(2010-2011年)では、第36週(9/6-)に3件(0.2)のインフルエンザの報告がありました。渡航歴のある患者を初発とする家族内発生で、A型/H3香港型が確認されています。また、第42週(10/18-)の1件報告は、県外からの受診者でした。
第46週は定点報告が1件、第47週2件、第48週0件、第49週2件、第50週1件と大きな増加がみられていません。しかし、第51週の応急診療センターからの報告では、インフルエンザと診断された患者数が増加傾向にあるため、今後急激に増加する可能性も危惧されます。
市内協力医療機関より情報提供があった第46週3件、第47週3件、第48週4件、第49週8件、第50週7件の計25件についてのウイルスPCR検査では、新型インフルエンザA/H1N1pdmが22件、A型/H3香港型が2件検出されています。いずれも昨年の罹患はなしでした。今後、両者が混在し、感染拡大する可能性が危惧されます。特に集団生活の中で、未罹患者を中心に感染拡大する可能性がありますので、健康管理に十分注意しましょう。
【インフルエンザ(新型・季節性)の感染予防】
また、新型インフルエンザの予防にも、日頃のインフルエンザ予防策が有効です。普段から手洗いの励行による感染予防を心がけましょう。また、咳・くしゃみが出たら他の人にうつさないためにマスクを着用しましょう(「咳エチケット」)。医療機関を受診する際には、必ず、医療機関への事前連絡とマスク着用を守りましょう。『電話で連絡・マスクで受診』
[2010年のインフルエンザワクチン(新型・季節性)について]
2010年のインフルエンザワクチンは、昨年流行した新型インフルエンザ(A/H1N1)pdmと季節性インフルエンザのA香港型及びB型の3価ワクチンが製造されています。接種対象者は全市民となります。また、新型インフルエンザ(A/H1N1)pdmの単価ワクチンも希望により接種可能です。
インフルエンザワクチンは、重症化防止と死亡者の減少を目的に接種されるものです。ワクチンの有効性と安全性(副作用等)を十分確認してください。
10月1日より接種を開始しています。詳しくは「H22年度インフルエンザワクチン接種について」をご覧下さい。
「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウィルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように,冬季〜春先に大流行します。
昨シーズン(2009−2010年)は、例年より遅れて、第51週以降増加傾向となり、第4週202件、第5週205件と急増しました。以後徐々に減少しましたが、第20-24週には100件前後の報告があり、第25週から第42週までは50件以下でした。
ノロウィルス等には塩素系の消毒剤が有効です。嘔吐物や下痢便の処理は衛生的に取り扱い、汚れた場所や衣類等は熱湯や塩素系消毒剤で消毒しましょう。
また、ウイルス性腸炎のみならず、サルモネラや腸炎ビブリオ、キャンピロバクターや黄色ブドウ球菌、旅行者下痢症(大腸菌感染が多い)などの細菌性腸炎にも注意が必要です。これらは主に食中毒として発生します。調理前後や食事前には「手洗い」を励行し、食品の冷所保存を心がけ、長期保存は避けるなど、日常生活での予防を心がけて下さい。また嘔吐・下痢などの症状があるときには、十分に水分補給をし、症状がひどくて水分も摂れない場合には医療機関を受診して下さい。
2009年は比較的少ない状況で推移していましたが、年末には例年の推移に沿いながら増加傾向でした。2010年では、例年に比べて低めの発生状況でしたが、第9週以降増加傾向にあり、第13週に48件でピークを迎えました。その後は20〜30件前後で増減を繰り返しつつ減少傾向で、第33週からは10件前後で推移していましが、第48週16件、第49週・第50週とも20件と報告数が増加傾向です。今後さらに増加する可能性もあるため、注意が必要です。
流行性耳下腺炎は約4年ごとに流行する傾向がみられています。
和歌山市では、2006年では第10週をピークに流行が続きましたが、2007年・2008年は大きな流行がなく少数報告にとどまりました。2009年は、第30〜32週ごろをピークに緩やかな流行を示しました。2010年は、おおむね10-20件前後でほぼ横ばいの傾向です。第49・50週とも15件でした。
本感染症は、髄膜炎、精巣炎、難聴、膵炎といった合併症があります。熱が続く場合、頭痛、吐き気がある場合、難聴、腹痛がある場合などは医療機関を早めに受診しましょう。抗ウイルス薬は開発されておらず、ワクチンの予防(任意接種)が効果的です。2〜5歳が好発年齢なので、1歳〜集団生活を始める前までの接種が勧められます。
RSウイルス感染症の流行は毎年冬で、特に乳幼児(特に6ヶ月未満)に中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。ロタウイルス腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症です。乳幼児で鼻水、咳、発熱などの風邪症状に加えヒューヒュー、ゼーゼーというような「喘鳴」が聞かれる場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
昨シーズン(2009-2010年)では、第41週以降報告が続き、第51週10件から第52週22件と急増しています。2010年に入り、第5週の30件をピークに以後徐々に減少、第11週以降は10件以下に収束していました。
今シーズン(2010-2011年)では、第45週により10件前後で報告がみられておりましたが、第49週では18件、第50週16件の報告があり、徐々に増加の傾向です。年齢別では、0歳〜3歳までの乳幼児が集中しております。今後も流行の継続が危惧されるため、注意が必要です。
2009年は2008年同様、第8週前後と第22週前後に2つのピークを形成し、その後は減少して第32週以降は0〜4件で推移しました。
2010年は、ほぼ10件以下の報告で推移しています。第48週7件、第49週6件でした。
本感染症は、治療が十分に行われないと劇症化したり、急性糸球体腎炎やリウマチ熱など重篤な合併症を発症したりすることがあるので、早期診断、適切な治療(抗生剤投与)が必要です。劇症型感染の発症機序は明らかでなく、有効な予防対策や拡大防止策はありません。突然の発熱、咽頭痛、筋肉痛、発疹などがある場合、早期受診を心がけましょう。一般的には小児に多いですが、成人でも発症します。
「マイコプラズマ肺炎」は小児や若年成人での肺炎の主要な原因となりますが、高齢者にみられることもあります。2010年の基幹定点報告で、37週以降報告が散見されていましたが、第48週で7例の報告(すべて1-4歳)がありました。第49週での報告は1例、第50種0件でしたが、今後も発生の可能性があり、注意すべき感染症といえます。
症状としては高熱や長引く咳症状以外に特徴的なものが少なく、症状の程度は様々です。小児や若年成人でこのような症状が出た場合、マイコプラズマ肺炎の可能性を考慮することが必要です。
抗生物質による治療が可能な感染症ですが、まれに重篤な合併症(髄膜炎、ギラン・バレー症候群、溶血性貧血、スティーブンス・ジョンソン症候群、中耳炎、心筋炎、心嚢炎など)や死亡例の報告もみられるので、十分な注意が必要です。
飛沫感染であり、職場内家族内感染の傾向が強く、手洗いの励行、咳・くしゃみが出たら他の人にうつさないためにマスクを着用する(「咳エチケット」)などの感染予防が重要です。医療機関を受診する際には、必ず、医療機関への事前連絡とマスク着用を守りましょう。『電話で連絡・マスクで受診』。
風疹は,和歌山市内では,定点報告で、2004年7件,2005年4件でした。以降、和歌山県の全数報告事業でも報告は0でした。
2008年は、第3週(16歳)、第22週(70歳代)の計2件の報告でした。
<和歌山市の状況>
2007年は、第19〜23週に計10件の報告がありました。
2008年は、第10〜46週に計23件、2009年は、第16〜24週に計6件でした。
2010年は、第22週に1件報告がありました。
<和歌山市の状況>
2007年は、第19〜23週に計10件の報告がありました。
2008年は、第10〜46週に計23件、2009年は、第16〜24週に計6件でした。
2010年は、第22週に1件報告がありました。
2008年、2009年、2010年の年齢別の届出状況は次のとおりです。
年齢区分 | |||||||||||
0歳 | 1歳 | 5歳 | 10歳 | 15歳 | 20歳 | 25歳 | 30歳 | 35歳 | 40歳 | 計 | |
2008年 3/3〜11/10 | 0 | 6 | 2 | 7 | 6 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 23 |
2009年 | 0 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 |
2010年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
<麻しんの特徴>
麻しんに対して免疫を持たない者が感染した場合、10日前後の潜伏期を経て発症し、発熱・咳・鼻水・眼脂・結膜充血等のカタル期(2〜4日)、発疹期(3〜5日)、回復期へと続いていくウイルス感染症です。感染期間としては、カタル期から発疹後4〜5日までウイルスの排出の可能性があります。
<麻しんのウイルス診断>
2015年の麻しん征圧を目指して、様々な取り組みが実施されていますが、診断精度をより高めるために、麻しん(疑い)と診断された場合、ウイルスPCR検査を全例に実施しています。咽頭ぬぐい液及び血液の採取にご協力ください。
<市民のみなさま・特に子育て中の保護者のみなさまへのメッセージ>
麻しんの予防には、予防接種の徹底が何より重要です。【Stop 麻しん・風しん】を参照。お子様が満1歳になりましたら先ず麻しんワクチン(=麻しん・風しん混合ワクチン)を接種しましょう。また、就学前の1年間の2回目の接種も忘れずうけましょう。
平成20年度から5年間、中学1年生及び高校3年生相当の方も麻しん風しん混合ワクチンの接種対象となりました。対象者の方が接種できる期間は、それぞれ1年間のみです。早めに接種しましょう。
<若年成人の方へのメッセージ>
ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。現在の20歳代及び10歳代後半の若年者は、ワクチンの接種率が低く、また、接種者でも接種から10年以上が経過し抗体価が低下している場合もあるため、感染者が多くでています。接種歴のない方や抗体価が低い場合は、ワクチン接種が必要です。
機会を見て、ワクチン接種(任意接種)をうけましょう。
麻しん・風しんの予防接種は,平成18年4月1日より,次のとおりです。
第1期 満1歳〜満2歳になるまでの間に1回
第2期 満5歳〜7歳未満で,小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間に1回
いずれも,「麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)」を接種しますが,いずれか一方の既往歴がある場合等には,「麻しん単抗原ワクチン」もしくは「風しん単抗原ワクチン」を接種します。1回接種では、将来抗体価の低下が危惧されます。目標は95%以上。第2期を忘れず接種しましょう。平成21年度の接種率は第1期:94.4%・第2期:94.3%と、目標を下回っています。
「麻しん排除計画」の一環として、平成20年4月1日から平成25年3月31日までの5年間、麻しん・風しんの予防接種 第3期・第4期が実施されています。
第3期 中学1年生で 「麻しん風しん混合ワクチン」を1回接種
第4期 高校3年生相当で 「麻しん風しん混合ワクチン」を1回接種
いずれも95%以上の接種率を目標とし、麻しん・風しんの排除を目指しています。
このことにより 平成2年4月2日以降に出生したものは、高校卒業までに麻しん・風しんワクチンの2回接種が完了することになります。
ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウイルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」,「白内障または緑内障」,「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,今まで1年に全国で1件以内だったのが,2004年では,9件の報告がありました。
和歌山市内では1999年以降,「先天性風疹症候群」の報告はありません。
また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年7件,2005年4件の報告でした。2008年第3週で5年ぶりに1件の報告があり年間で2件でした。
非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。