流行性耳下腺炎(おたふくかぜ、ムンプス)
和歌山市では、感染症発生動向調査における流行性耳下腺炎の患者の報告が、平成28年の秋頃から例年に比べて増加し始め、平成29年第1週と第3週で注意報基準値(3)を超えました。
今後の動向に注意しましょう。有効な予防方法は、予防接種(任意接種)です。
ムンプスウイルスにより引き起こされる感染症で、片側あるいは両側の唾液腺の腫れを特徴とします。流行は3〜4年おきに見られます。また、幼児から学童に好発しますが、成人もかかります。一度かかると終生免疫が得られます。
2〜3週間の潜伏期(平均18日前後)の後、唾液腺の腫れ(耳下腺、顎下腺、舌下腺)や痛み、発熱といった症状が現れ、通常1〜2週間で軽快します。
感染しても症状が現れない不顕性感染がかなり多くあります。
合併症として最も多いのは、髄膜炎であり、その他脳炎、難聴、膵炎などがあります。思春期以降では、睾丸炎や卵巣炎の合併を認めることがあります。また、約1,000人に1人が、回復不能な片側性感染音声難聴を起こし、ときに両側性感音性難聴となる場合もあります。
飛沫感染、接触感染により感染します。
周りの人に感染させる期間については、耳下腺が腫れる数日前から腫れが現れてから5日後までがウイルス排出量が多く、他への感染の可能性が高くなります。
また、症状がない不顕性感染の人からも感染します。
有効な唯一の予防方法は、予防接種です(任意接種)。ワクチンによる無菌性髄膜炎は、1,000〜2,000人に1人、自然感染に比べて低いです。
発症前の感染させる期間が長く、また、不顕性感染もあるため、発症者の隔離だけでは流行を止めることはできません。また、患者と接触した場合の予防策としての緊急接種は、有効ではありません。集団生活に入る前にワクチンで予防しておくことが有効な予防方法です
有効な治療薬はなく、対症療法(症状を和らげる治療)を行います。
症状が現れたら、医療機関に受診しましょう。学校等は出席停止期間休み自宅療養しましょう。
(学校保健安全法における取り扱い)
第2種の感染症に定められており、「耳下腺、顎下腺又は舌下腺の主張が発現した後5日を経過し、かつ全身症状が良好になるまで出席停止とされています。