日本では毎年新たに約1万人以上の患者が発生しており、和歌山市でも、令和5年に21人が新たに発生しております。そのうち38%のひとは、タンの中に結核菌が出ている感染性の結核です。結核はけっして「過去の病気」ではありません。
タンの中に結核菌が出るようになった患者さんが、せきやくしゃみをするとしぶきが飛び散ります。このしぶきの中の結核菌を吸い込むことで感染します。でも結核菌を吸い込んでも、鼻やのど・気管支で結核菌が止まれば感染しません。 肺胞に入って増殖してしまうと「感染」した状況になります。
結核菌の感染を受けたからといってみんなが発病するわけではありません。生涯を通じて感染を受けた人の1割から2割が発病するといわれています。
多量の菌を吸い込んだり、十分な免疫が働かなかったり、免疫が低下した場合など 例えば、糖尿病・透析を受けている人やステロイドホルモン剤を長期に服用している人などは発病しやすいと言われています。
結核は感染してから発病するまで時間がかかります。一般的に6か月から数十年にわたり発病する可能性がありますが、70%〜80%は2年以内に発病するといわれています。
乳幼児では、もっと急速に発病する場合があります。
@長引くせき
Aタン
B発熱
C胸痛
D血タン
E身体がだるい
Fやせた
G微熱が続く など
これらの症状が2週間以上続いたら、要注意です。
@ 喀タン検査 (タンを調べる最も重要な検査です。)
確定診断のためには、結核菌を証明することが大切!
初診時には、3回連続で行います。
- 塗抹検査
タンのなかに抗酸菌がいるかどうかを顕微鏡で観察する検査です。直ちに結果がわかり、周囲への感染性を判断するために重要です。
- 培養検査
生きている抗酸菌がいるかどうかを観察する検査です。結果がでるまで、4〜8週間かかります。培養検査結果が陽性であれば、抗酸菌の種類の検査や抗結核薬が効くかどうかの検査をします。
- 核酸増幅法
結核菌の遺伝子を抽出してそれを増幅し、結核菌の有無を調べる検査です。
数日で結果がわかり、少ない菌の量でも判りますが、死んだ菌でも陽性になります。
※場合によっては、気管支洗浄液、胃液、手術の病変組織などで検査することがあります。
A 胸部エックス線検査
病巣があるかどうかをみる検査です。
B 胸部CT検査
病巣の詳しいことがわかります。
ほとんどの結核は、複数の薬を6か月〜9か月間飲み続ければ、治せます。
結核の薬は長期に服薬するので、副作用が現れることがあります。
副作用と思われる症状がありましたら、勝手に服薬を中断することなく医師に相談してください。
薬を飲んだり飲まなかったりすると耐性菌をつくってしまいます。
接触者健診の必要性、内容や時期は、接触した人の年齢や患者さんの状況によって異なります。
@ 胸部エックス線検査
結核が発病しているかどうかをみる検査です。
A IGRA検査(クォンティフェロン検査・Tスポット検査)ツベルクリン反応検査
結核に感染しているかどうかをみる検査です。
※必要な健診は公費(自己負担なく無料)で受けられます。健診の内容や時期は、保健所の保健師から連絡させていただきます。
BCGは、弱毒化した結核菌の予防接種です。
みなさんの左腕に針の跡があるはずです。(いくつありますか?)
BCGは、特に小児の重症の結核予防に有効です。
効果は、十年以上続くといわれていますが、生涯を通じて予防できる訳ではありません。