レジオネラ症(肺炎型)が80代で1件報告ありました。
2011年第35週の和歌山市5類感染症(定点把握)の発生状況です。
手足口病は、ヘルパンギーナ同様、7月の第1週をピークとする流行が特徴的です。年によっては、初冬まで発生が続くことや、逆に殆ど発生が見られないこともあります。和歌山市では、2009年は殆ど1年間報告がありませんでした。
2010年は、第17週に44件(定点当り4.89)、第20週に45件(定点当り5.00)と2つのピークを形成しました。
2011年は、第23週より報告増え始め、第25週42件、第26週91件と一気に増加し、警報が発令されました。第28週155件(定点当り17.2)と例年より高いピークとなり、以降報告数は徐々に減少しましたが、警報発令は8週継続し、第34週報告15件(定点当り1.67)となり、警報解除となりました。第35週は24件(定点当り2.67)と前週よりやや増加しており、今後も注意が必要です。
手足口病は、手掌、足底、臀部に出現する特有の皮膚所見(斑状丘疹→水疱)と口腔内の粘膜に出現する2〜5mm程度の水疱または発赤疹が特徴ですが、今年多く報告されている手足口病は、発疹の現れ方が例年と異なっていると云われています。
流行の中心は就学前の年齢の子どもですが、小学校低学年でもかかることがあります。
ヘルパンギーナは手足口病と並んで毎年夏季を中心として主に乳幼児の間で流行するエンテロウイルス感染症の代表的疾患です。症状は、「突然の高熱での発症」と「口蓋垂付近の水疱疹や潰瘍や発赤」が特徴です。毎年第22〜23週(5月末〜6月初め)に流行レベルの基準値である定点当たり1.0人を超えた後に急増し、7月にピークを迎えます。患者の年齢は過去20年以上大きな変化はみられず、1〜4歳が約7割と大半を占めます。6歳以上は少なくなっています。
2009年は、例年より遅くに小さな流行がみられたのみでした。
2010年は、第21週から徐々に増加し、第27週65件(定点当り7.22)がピークでした。
2009年、2010年は年間を通じて、患者報告がほとんどなかった咽頭結膜熱ですが第24〜29週に7〜9件と報告数増えていました。第30週以降は5件以下で推移し、第33週1件、第34週4件、第35週3件です。
咽頭結膜熱は発熱、咽頭炎、眼症状を主とする小児の急性ウイルス性感染症です。咽頭結膜熱の原因であるアデノウィルスは年間を通じて分離されますが、疾患としての咽頭結膜熱は夏期に地域全体で流行し、6月頃から徐々に増加しはじめ、7〜8月にピークを形成する傾向があります。
「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウィルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように,冬季〜春先に大流行します。
今シーズン(2010-2011)は、例年より早い11月初めから増加し始め、第46週に200件と急増、警報が発令され、第47週が238件とピークでした。年齢別では乳幼児と小学生での報告が中心ですが、おとなの報告もあります。集団生活の場での集団感染事例も発生しています。
ノロウィルス等には塩素系の消毒剤が有効です。嘔吐物や下痢便の処理は衛生的に取り扱い、汚れた場所や衣類等は熱湯や塩素系消毒剤で消毒しましょう。
2010年の第48週以降増加し始め、年が明けて2011年第1週から3週の間と、連休中の第18週から20週の間に小さいピークがありました。その後は徐々に落ち着き、第28週以降、10件以下の少ない報告が続いています。第33週8件、第34週4件、第35週3件です。
水痘は、空気感染で、咽頭からウイルスが空中を放出され、口腔や鼻粘膜から侵入し感染します。また、水痘からの接触感染もあります。発疹が出る数日前からすでに感染性があるため、集団生活で感染拡大しやすい疾患です。ワクチンは、任意接種ですが、1歳以降での接種が勧められます。ただし、ワクチンを接種していても軽症ですが、発病することがあります。伝染性紅斑は、小児を中心に見られる流行性発疹性疾患で、両頬がリンゴのように赤くなることから「リンゴ病」とも呼ばれます。病因はヒトパルボウイルスB19です。接触・飛沫感染します。感染後1週間くらいで微熱や感冒様症状を呈することがあります。潜伏期間は10〜20日くらいで、両頬の境界鮮明な紅い発疹が現れ、続いて手・足に網目状・レース状の紅斑が出現します。成人では頭痛や関節痛が見られます。発疹が出現した時にはウイルスの排出は終わっているので、出席停止等の対象にはなりません。
2010年の年末から報告数の増加が見られ、第3週18件(定点当り2.00)で警報発令されました。以後やや減少して、10件前後の報告で推移していましたが、第20週(20件)で、再び警報発令されました。以降も第22〜24週は15件前後と例年より多い報告が続き、第25週には35件(定点当たり3.89)と今年最も多い報告件数となり、今年3回目の警報発令となりました。第26週以降、報告数徐々に減少していき、第29週報告3件(定点当り0.33)となり、警報解除となりました。警報解除後も5〜12件程度と例年より多い報告が続き、第33週8件、第34週6件、第35週3件とようやく平年並みの報告となってきました。RSウイルス感染症は冬季(11月〜3月)に流行する、乳幼児(特に6ヶ月未満)中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。ロタウイルス腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症です。乳幼児で鼻水、咳、発熱などの風邪症状に加えヒューヒュー、ゼーゼーというような「喘鳴」が聞かれる場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
昨シーズン(2010-2011年)は、第45週頃より10件前後の報告がみられるようになり、第51週26件がピークでした。以降徐々に減少傾向となり、2011年第3週以降は5件以内の報告となり、流行終息しました。
今シーズンは例年より早い第30週頃より報告が続き、第34週10件と報告増加しました。第35週では報告2件でしたが、全国的にも例年より早くRSウィルスの報告が増え始めており、和歌山市内においても今後も動向に注意が必要です。
「新型インフルエンザ(A/H1N1pdm)」は、2011年4月1日より「インフルエンザ(H1N1)2009」と名称変更され、通常の季節性インフルエンザ対策に以降しました。
[インフルエンザの流行状況]
昨シーズン(2010-2011年)は、第1週26件(定点当り1.73)から第2週55件(定点当り3.67)、第3週144件(定点当り9.60)に急増、第4週では243件(定点当り16.2)で注意報発令されました。これが第1のピークで、第7週には93件と注意報値を下回りました。ウイルスサーベイランスの結果より、A/H1(2009)の流行によるものです。その後さらに減少しましたが、第10週は71件に逆転増加し、第11週141件、第12週146件とさらに増加し2つ目のピークを形成しています。その後緩やかに減少していますが、第16週から再度増加に転じ、第17週107件と第3のピークを形成しました。B型及びA香港型でした。以後は減少傾向で、第22週以降は0件〜2件程度の報告です。第27週以降、報告0件で続いています。第35週も0件です。
※1次のグラフは、定点医療機関あたりの報告数を昨シーズンに比較してますと同時に、和歌山市夜間・休日応急診療センターからの報告数を同時に示しています。第18週は連休のため、定点からの報告数は減少していますが、応急診療センターの報告数が増加しています。第19週・第20週は両者とも報告数が減少。第21週では応急診療センター報告数がゼロになりました。
※2.次の図は、応急診療センターの報告数をA型・B型別に示しています。
※3.次の図は、ウイルスサーベイランスの結果です。第8週以降徐々にA/H1(2009)の流行からからA/H3の流行に以降しているのがわかります。
麻しん・風しんが、2008年1月1日より全数把握疾患となりました。
麻しんは2008年23件、2009年6件、2010年1件でした。
風しんは2008年2件、2009年1件、2010年0件でした。
2011年第35週現在、麻しん、風しんともに報告はありません。
<和歌山市の状況>
風疹は,和歌山市内では,定点報告で、2004年7件,2005年4件でした。以降、和歌山県の全数報告事業でも報告は0でした。
2008年は、第3週(16歳)、第22週(70歳代)の計2件の報告でした。
2009年は、第17週で初めての報告。11歳です。単抗原ワクチン接種済みでした。
2010年は報告がなく、2011年も第35週現在まで発症報告はありません。
<和歌山市の状況>
2007年は、第19〜23週に計10件の報告がありました。
2008年は、第10〜46週に計23件、2009年は、第16〜24週に計6件でした。
2010年は、第22週に1件報告がありました。
2008年、2009年、2010年の年齢別の届出状況は次のとおりです。
2011年 第33週現在、和歌山市内で麻しんの報告はありません。
関東地方を中心に4月半ば〜5月半ばにかけて麻しん報告数が増加し、6月以降、全国での報告は減少しました。全国での患者の報告は1歳をピークに0〜4歳の小児が最も多いですが、20〜40代の成人患者も40%占めており、子どもだけでなく成人も麻しんに注意が必要です。
年齢区分 | |||||||||||
0歳 | 1歳 | 5歳 | 10歳 | 15歳 | 20歳 | 25歳 | 30歳 | 35歳 | 40歳 | 計 | |
2008年 3/3〜11/10 | 0 | 6 | 2 | 7 | 6 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 23 |
2009年 | 0 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 |
2010年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
<麻しんの特徴>
麻しんに対して免疫を持たない者が感染した場合、10日前後の潜伏期を経て発症し、発熱・咳・鼻水・眼脂・結膜充血等のカタル期(2〜4日)、発疹期(3〜5日)、回復期へと続いていくウイルス感染症です。感染期間としては、カタル期から発疹後4〜5日までウイルスの排出の可能性があります。
<麻しんのウイルス診断>
2015年の麻しん征圧を目指して、様々な取り組みが実施されていますが、診断精度をより高めるために、麻しん(疑い)と診断された場合、ウイルスPCR検査を全例に実施しています。咽頭ぬぐい液及び血液の採取にご協力ください。
<市民のみなさま・特に子育て中の保護者のみなさまへのメッセージ>
麻しんの予防には、予防接種の徹底が何より重要です。【Stop 麻しん・風しん】を参照。お子様が満1歳になりましたら先ず麻しんワクチン(=麻しん・風しん混合ワクチン)を接種しましょう。また、就学前の1年間の2回目の接種も忘れずうけましょう。
平成20年度から5年間、中学1年生及び高校3年生相当の方も麻しん風しん混合ワクチンの接種対象となりました。対象者の方が接種できる期間は、それぞれ1年間のみです。早めに接種しましょう。
<若年成人の方へのメッセージ>
ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。現在の20歳代及び10歳代後半の若年者は、ワクチンの接種率が低く、また、接種者でも接種から10年以上が経過し抗体価が低下している場合もあるため、感染者が多くでています。接種歴のない方や抗体価が低い場合は、ワクチン接種が必要です。
機会を見て、ワクチン接種(任意接種)をうけましょう。
麻しん・風しんの予防接種は,平成18年4月1日より,次のとおりです。
第1期 満1歳〜満2歳になるまでの間に1回
第2期 満5歳〜7歳未満で,小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間に1回
いずれも,「麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)」を接種しますが,いずれか一方の既往歴がある場合等には,「麻しん単抗原ワクチン」もしくは「風しん単抗原ワクチン」を接種します。1回接種では、将来抗体価の低下が危惧されます。目標は95%以上。第2期を忘れず接種しましょう。平成21年度の接種率は第1期:94.4%・第2期:94.3%と、目標を下回っています。
「麻しん排除計画」の一環として、平成20年4月1日から平成25年3月31日までの5年間、麻しん・風しんの予防接種 第3期・第4期が実施されています。
第3期 中学1年生で 「麻しん風しん混合ワクチン」を1回接種
第4期 高校3年生相当で 「麻しん風しん混合ワクチン」を1回接種
いずれも95%以上の接種率を目標とし、麻しん・風しんの排除を目指しています。
このことにより 平成2年4月2日以降に出生したものは、高校卒業までに麻しん・風しんワクチンの2回接種が完了することになります。
ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウイルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」,「白内障または緑内障」,「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,今まで1年に全国で1件以内だったのが,2004年では,9件の報告がありました。
和歌山市内では1999年以降,「先天性風疹症候群」の報告はありません。
また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年7件,2005年4件の報告でした。2008年第3週で5年ぶりに1件の報告があり年間で2件でした。
非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。