2008年第44週の和歌山市の5類感染症(定点把握)の発生状況です。
第44週も43週に引き続き1件の報告がありました!
IDWR第42週によると、2008/09シーズンに入った第36週以降、AH3亜型の分離・検出が6件、B型が12件報告されています。第35〜36週に神奈川県の寮、第36週に栃木県の中学校でAH3亜型の集団発生、第41週に大阪府の小学校と東京の中学校でB型の集団発生が報告されています。 全国では例年12月頃から流行が始まりますが、昨年は45週前後より罹患報告数が増加してきました。今後うがい、手洗いによる感染予防を心がけましょう。また、高齢者における重症化、死亡の予防、小児における脳炎・脳症の予防にワクチンが有効です。65歳以上の方、あるいは60〜65歳の方で心臓、腎臓、呼吸器などに重篤な基礎疾患をもつ方を除いては任意接種になりますが、シーズンとなる12月までにぜひ接種をご検討ください。
「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウィルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように,冬季〜春先に大流行します。例年40週後半を過ぎた当たりから急激に増加を始め年末にピークを迎えます。
2008年前期は、前年と類似の推移を示しており、第11週191件をピークに流行し、第13週以降は100件前後の報告が続いていました。第25週ごろから減少し第33週頃より安定して年間で最も少ない時期を迎えています。
年齢別では、乳幼児から15歳までに集中しています。
日常生活における予防としては、「手洗い」「うがい」励行などを日ごろより心がけて下さい。また嘔吐・下痢などの症状があるときには、十分に水分補給をして下さい。
ノロウィルスには塩素系の消毒剤が有効です。嘔吐物や下痢便の処理は衛生的に取り扱い、汚れた場所や衣類等は熱湯や塩素系消毒剤で消毒しましょう。乳幼児や高齢者等集団生活の場では、感染拡大の防止を心がけましょう。
RSウイルス感染症の流行は毎年冬で、特に乳幼児(特に6ヶ月未満)に中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。ロタウイルス腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症です。乳幼児で鼻水、咳、発熱などの風邪症状に加えヒューヒュー、ゼーゼーというような「喘鳴」が聞かれる場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
昨シーズンは第50週:20件と急増し、第52週には24件と2007年末に流行のピークを迎えました。2008年に入り、第10週以降は1〜2件、第16週は0件と流行は一旦終息しました。しかし、第17週に再び4件報告があり、その後も1桁台ではありますが継続して報告があります。
例年第45週前後から報告数が増加しており、今後流行のシーズンになっていくものと思われます。うがい、手洗いによる感染予防を行いましょう。
また、初発時は発症して1週〜10日間ほどはウイルスが気道分泌物内に存在しており、手や持ち物を介しての集団発生も認められるため、感染者がいる場合は接触を避けることも重要です。
第27週以降順調に減少傾向を示していましたが、第43週の3件に一転して第44週は13件と増加傾向を認めています。年齢別には3〜5才児を中心に罹患しています。例年45週以降の流行を認めているため任意接種を希望されるかたはなるべく早く接種されることをお勧めします。
2008年に入り、第5週に27件に急増、その後徐々に減少し10件前後で推移していたものの、第20週頃より再び20件前後の報告が続いた後第25週より減少し、例年通り二峰性のピークを描きました。第33週以降は週あたり数件の報告にとどまっており、第44週も4件と現在は年間で最も少ない状況です。しかし例年第45週前後より報告が増加しており、今後注意が必要です。
本感染症では、治療が十分に行われないと劇的に重症化したり、腎炎、リウマチ熱など重篤な合併症を発症することがあるので、早期診断、適切な治療(抗生剤投与)が特に必要とされています。劇症型感染の発症機序が明らかでなく、有効な予防対策や拡大防止策はありませんが、突然の発熱、筋肉痛を呈する、特に高齢者では医療機関の早期受診を心がけましょう。
流行性耳下腺炎は約4年ごとに増える傾向がみられています。
和歌山市では、2006年では第10週をピークに流行が続きましたが、第19週以降漸減しています。2007年では第15週までの期間1〜11件を推移していましたが、その後は5件以下と非常に少ない状況が続きました。
2008年も同様に少ない状況が続いています。第27週以降10件前後と一時的に増加傾向でしたが、第33週以降減少し、週数件程度の報告にとどまっており、第44週も3件の報告でした。
2008年は、全国的には流行し、第19〜22週に最も報告が多く、過去最高でした。以降減少し、IDWR第30週ではピークの1/4の定点あたり0.04まで減少しましたが、過去5年間の同時期と比較するとまだかなり多い状況です。 また、IDWR第24週では、年齢別で0歳児12.7%ですが、20歳以上が37.5%を占めており、10-14歳も15.9%と年長者での報告が多いのが今年の特徴です。
和歌山県は報告が少ない状況です。
和歌山市では、第17週に初めて1件(15-19歳)の報告がありました。第18〜21週は報告なし、第22週再び1件(20-29歳)、第23週には2件(9歳、10-14歳)の報告がありました。第24〜26週は報告がなく、その後は第27週、第30週、第34週、第36週、第38週、第44週に1件ずつの報告となっています。
夏風邪の代表ですが、2008年は、第17週、29週に各々12件と増加しましたが、大きな流行にはつながりませんでした。第39週以降は0件〜2件までの報告にとどまっています。
過去5年間は5件以内の報告でしたが、第30週では8件と急増、その後第34週まで流行しましたが、その後は週4件以内の報告に留まっています。
麻しん・風しんが、2008年1月1日より全数把握疾患となりました。
麻しんは、第10週に2件報告があり、以後第17週まで報告が続きました。第18〜22週は0件でしたが、第23週、第30週、第42週に各々1件ずつで計22件です。
風疹は,和歌山市内では,2004年7件,2005年4件の報告(定点報告)で、以降、和歌山県の全数報告事業でも報告は0でした。
<和歌山市の状況>
2007年 和歌山市において第19〜23週にかけて、計10件報告がありました。成人の3件はいずれもワクチン接種歴不明、小児は6件がワクチン接種なし、1件がワクチン接種済みでした。
年齢区分 | 計 | |||||||||
0歳 | 1-4 | 5-9 | 10-14 | 15-19 | 20-24 | 25-29 | 30-34 | |||
10週 | 3/3- | 1 | 1 | 2 | ||||||
11週 | 3/10- | 1 | 1 | |||||||
12週 | 3/17- | 1 | 2 | 2 | 1 | 6 | ||||
13週 | 3/24- | 3 | 3 | |||||||
14週 | 3/31- | 1 | 1 | 1 | 3 | |||||
15週 | 4/7- | 0 | ||||||||
16週 | 4/14- | 1 | 1 | |||||||
17週 | 4/21- | 2 | 1 | 3 | ||||||
18〜22週 | 4/28- | 0 | ||||||||
23週 | 6/2- | 1 | 1 | |||||||
24週〜 | 6/9- | 0 | ||||||||
30週 | 7/21- | 1 | 1 | |||||||
42週 | 10/13 | 1 | 1 | |||||||
計 | 0 | 6 | 2 | 5 | 6 | 0 | 0 | 1 | 22 |
「麻しん」と臨床診断されるまで、内科や皮膚科等複数の医療機関を受診している事例もあり、診断精度の向上が求められます。
<麻しんの特徴等>
麻しんに対して免疫を持たない者が感染した場合、10日前後の潜伏期を経て発症し、発熱・咳・鼻水・眼脂・結膜充血等のカタル期(2〜4日)、発疹期(3〜5日)、回復期へと続いていきます。感染期間としては、カタル期から発疹後4〜5日までウィルスの排出の可能性があります。
なお、患者との接触から3日以内であれば、麻しんワクチンの接種により感染を予防できる可能性があります。早期診断と接触者への迅速な対応が重要です。
<市民のみなさま・特に子育て中の保護者のみなさまへのメッセージ>
麻しんの予防には、予防接種の徹底が何より重要です。【Stop 麻しん・風しん】を参照。お子様が満1歳になりましたら先ず麻しんワクチン(=麻しん・風しん混合ワクチン)を接種しましょう。また、就学前の1年間の2回目の接種も忘れずうけましょう。
平成20年度から5年間、中学1年生及び高校3年生相当の方も麻しん風しん混合ワクチンの接種対象となります。対象者の方が接種できる期間は、それぞれ1年間のみです。早めに接種しましょう。
<若年成人の方へのメッセージ>
ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。現在の20歳代及び10歳代後半の若年者は、ワクチンの接種率が低く、また、接種者でも接種から10年以上が経過しているため、抗体価が低下して場合もあるため、感染者が多くでています。接種歴のない方や抗体価が低い場合は、ワクチン接種が必要です。
機会を見て、ワクチン接種(任意接種)をうけましょう。
Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!
麻しんや風しんの予防接種は,平成18年4月1日より,次のとおりです。風しんと先天性風しん症候群の予防について
ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」,「白内障または緑内障」,「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に全国で1件以内だったのが,2004年では,9件の報告がありました。
和歌山市内では1999年以降,「先天性風疹症候群」の報告はありません。
また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年7件,2005年4件の報告でした。2008年第3週で5年ぶりに1件の報告がありました。
非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。