2008年第25週の和歌山市の5類感染症(定点把握)の発生状況です。
◎ 感染性胃腸炎は、第20週108件以降100件前後の報告が続いたが、第25週に64件とようやく減少した!
◎ 咽頭結膜熱は、目立った増加がないまま、第25週は3件に減少したが、今後の動向に注意が必要です!
◎ RSウィルス感染症は、報告が続いていたが第25週は0件!
◎ A群溶血性レンサ球菌感染症は、第20週以降増加傾向で、第23週21件、第24・25週とも18件(定点当たり2.00)と多めの報告。県内では、田辺管内で第23週定点当たり6.75件で警報が発令、第24週は半減、第25週は定点当たり2.00と減少傾向。警報は継続発令中!
◎ 水痘は、第22週以降徐々に減少傾向だったが、第25週40件(定点当たり4.44)に再度増加し、注意報が発令された。 県内では岩出・新宮管内の注意報は解除!
◎ 百日咳は第22週1件(20-29歳)に続き、第23週2件(9歳・10-14歳)報告!第24・25週は報告なし
◎ 他の感染症は、全体に報告が少ない状況となっています。
◎ 眼科定点では、流行性角結膜炎が1件(40-49歳)報告
◎ 基幹病院定点は、マイコプラズマ肺炎が1件(70歳以上)報告
「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウィルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように,冬季〜春先に大流行します。例年40週後半を過ぎた当たりから急激に増加を始め年末にピークを迎えます。
2007年後半の今シーズンでは、第41週の42件以降増加し、第45週の162件(定点当り18.0)が早めのピークで、以降は、やや減少から横ばい状況でした。
2008年では、第10週188件、第11週191件をピークに、流行し、第13週以降は100件前後の報告が続いていました。第18週65件、第19週62件と一旦減少しましたが、第20週には108件と再び増加、以降100件前後の報告続いていましたが、第25週64件とようやく減少。
年齢別では、乳幼児が中心ですが、幅広い年齢層で報告されています。
日常生活における予防としては、「手洗い」「うがい」励行などを日ごろより心がけて下さい。また嘔吐・下痢などの症状があるときには、十分に水分補給をして下さい。
ノロウィルスには塩素系の消毒剤が有効です。嘔吐物や下痢便の処理は衛生的に取り扱い、汚れた場所や衣類等は熱湯や塩素系消毒剤で消毒しましょう。乳幼児や高齢者等集団生活の場では、感染拡大の防止を心がけましょう。
夏風邪の代表ですが、2008年は、第17週で12件の報告がありました。例年と比較して早めの立ち上がりと思われましたが、第18・19週はともに2件のみでした。しかし、第20週以降、8件、5件、7件、5件、6件と横ばい状況が続き、第25週には3件と減少しました。今のところ目立った増加になっていませんが、今後、流行期を迎えますので、充分注意しましょう。
年齢別では、3歳・4歳・5歳で各1件ずつです。
2008年に入り、第5週に27件(定点当り3.00)に急増、以降20件前後で推移していましたが、第11週以降、10件前後の報告が続いていました。第17週から第19週は10件以下でやや少なめでしたが、第20週以降増加傾向で、第24週・25週はともに18件と多めの報告が続いています。
年齢別では3歳から10-14歳までで報告されています。
本感染症では,治療が十分に行われないと腎炎,リウマチ熱を発症することがあるので,早期診断,適切な治療が特に必要とされています。
第13週に15件から36件へ増加し、注意報が発令されました。以降、増減しつつほぼ例年並の状況でしたが、第21週35件に増加、以降、第22週32件、第23週25件、第24週19件と減少傾向です。
年齢別では、就学前の乳幼児を中心に、10-14歳までで報告ありです。
IDWR第20週では、全国値で定点当たり報告数が増加し、過去5年間の同時期と比較しかなり多い状況です。また、年齢別では0歳児12.7%ですが、20歳以上が37.5%を占めており、10-14歳も15.9%と年長者での報告が多いのが今年の特徴です。
和歌山県は報告が少ない状況です。
和歌山市では、第17週に初めて1件(15-19歳)の報告がありました。第18〜21週は報告なし、第22週再び1件(20-29歳)、第23週には2件(9歳、10-14歳)の報告がありました。第24・25週は報告なしです。
県内では、新宮管内で報告が続いており、警報継続発令となっています。今後の動向に注意しましょう。
RSウイルス感染症の流行は毎年冬で、特に乳幼児(特に6ヶ月未満)に中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。ロタウイルス腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症です。
2007年では、第50週では20件に急増、以後、第51週:15件、第52週:24件と増加傾向で流行のピークを迎えました。2008年に入り、10件以下の報告が続いています。第10週以降は1〜2件、第16週は0件と流行は一旦終息しました。
しかし、第17週は再び4件、第18週8件の報告あり、第19週0件でしたが、第20週・21週はともに7件と再び増加、第22・23週はともに4件、第24週は3件と報告が続きました。第25週ようやく0件でした。
麻しん・風しんが、2008年1月1日より全数把握疾患となりました。
麻しんは、第10週に2件報告があり、以後第17週まで報告が続きました。第18〜22週は0件でしたが、第23週に再び1件の報告、第24・25週は報告なし。風しんは、第3週に1件、第22週に1件の報告ありです。
「風疹」は,和歌山市内では,2004年7件,2005年4件の報告(定点報告)で、以降、和歌山県の全数報告事業でも報告は0でした。
第3週に1件報告(16歳)があり、5年ぶりの報告でした。また、第22週に1件(70歳以上)報告があり、計2件となりました。
<和歌山市の状況>
2007年 和歌山市において第19〜23週にかけて、計10件報告がありました。成人の3件はいずれもワクチン接種歴不明、小児は6件がワクチン接種なし、1件がワクチン接種済みでした。
2008年の届出状況は次のとおりです。
第10週:2件(中学生2件)、第11週に1件(小学生)、
第12週:6件(1歳児1件・中学生4件・30歳代1件)
第13週:3件(中学生2件・大学生1件)
第14週:3件(1歳児1件・小学生2件)
第15週:0件
第16週:1件(小学生1件)
第17週:3件(1歳2件・40歳代1件)
第18〜22週:0件
第23週:1件(2歳1件)
第24週:0件で、計20件です。
中学生の8件のうち7件は同じ中学校の生徒です。このうち1件は平成12年に予防接種をしていました。また、中学生1件、1歳児1件は、患者との接触後に緊急接種をしましたが、間に合わず発症しました。他はいずれも接種歴なしです。30歳代の1件は接種歴不明でした。第17週の1歳児2件のうち1件は接種歴なし、1件は接種後1年以内だが発病。40歳代の1件は罹患歴ありとのこと。
2008年の年齢別、週別の届出状況は次のとおりです。 (平成20年6月1日現在)
年齢区分 | 計 | |||||||||
0歳 | 1-4 | 5-9 | 10-14 | 15-19 | 20-24 | 25-29 | 30-34 | |||
10週 | 3/3- | 1 | 1 | 2 | ||||||
11週 | 3/10- | 1 | 1 | |||||||
12週 | 3/17- | 1 | 2 | 2 | 1 | 6 | ||||
13週 | 3/24- | 3 | 3 | |||||||
14週 | 3/31- | 1 | 1 | 1 | 3 | |||||
15週 | 4/7- | 0 | ||||||||
16週 | 4/14- | 1 | 1 | |||||||
17週 | 4/21- | 2 | 1 | 3 | ||||||
18〜22週 | 4/28- | 0 | ||||||||
23週 | 6/2- | 1 | 1 | |||||||
24週 | 6/9- | 0 | ||||||||
計 | 0 | 5 | 1 | 5 | 6 | 0 | 0 | 1 | 20 |
「麻しん」と臨床診断されるまで、内科や皮膚科等複数の医療機関を受診している事例もあり、診断精度の向上が求められます。
<麻しんの特徴等>
麻しんに対して免疫を持たない者が感染した場合、10日前後の潜伏期を経て発症し、発熱・咳・鼻水・眼脂・結膜充血等のカタル期(2〜4日)、発疹期(3〜5日)、回復期へと続いていきます。感染期間としては、カタル期から発疹後4〜5日までウィルスの排出の可能性があります。
なお、患者との接触から3日以内であれば、麻しんワクチンの接種により感染を予防できる可能性があります。早期診断と接触者への迅速な対応が重要です。
<市民のみなさま・特に子育て中の保護者のみなさまへのメッセージ>
麻しんの予防には、予防接種の徹底が何より重要です。【Stop 麻しん・風しん】を参照。お子様が満1歳になりましたら先ず麻しんワクチン(=麻しん・風しん混合ワクチン)を接種しましょう。また、就学前の1年間の2回目の接種も忘れずうけましょう。
平成20年度から5年間、中学1年生及び高校3年生相当の方も麻しん風しん混合ワクチンの接種対象となります。対象者の方が接種できる期間は、それぞれ1年間のみです。早めに接種しましょう。
<若年成人の方へのメッセージ>
ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。現在の20歳代及び10歳代後半の若年者は、ワクチンの接種率が低く、また、接種者でも接種から10年以上が経過しているため、抗体価が低下して場合もあるため、感染者が多くでています。接種歴のない方や抗体価が低い場合は、ワクチン接種が必要です。
機会を見て、ワクチン接種(任意接種)をうけましょう。
また、発熱等の症状があった場合には、医療機関を受診し、診断をうけましょう。発熱等があるときに無理して職場や学校等へ行くことは、感染性の疾患であった場合、感染拡大につながりますので控えてください。
Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!
麻しんや風しんの予防接種は,平成18年4月1日より,次のとおりです。風しんと先天性風しん症候群の予防について
ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」,「白内障または緑内障」,「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に全国で1件以内だったのが,2004年では,9件の報告がありました。
和歌山市内では1999年以降,「先天性風疹症候群」の報告はありません。
また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年7件,2005年4件の報告でした。2008年第3週で5年ぶりに1件の報告がありました。
非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。