2008年第14週の和歌山市の5類感染症(定点把握)の発生状況です。
◎ 感染性胃腸炎は、第9週より増加傾向となり、第10週で188件(定点当り20.89)、第11週も191件(定点当り21.22)で警報が発令されました。以後、第12週150件、第13週は91件に減少し警報は解除されました。第14週はさらに88件に減少です。
◎ インフルエンザは、2007年第43週に今シーズン初報告があり、その後増加が続き、第51週:382件をピークに、第52週には216件に減少しました。注意報は発令されましたが、警報発令には至っていません。2008年に入り、第2週〜第5週が100件程度でしたが、第6週以降50〜70件の少ない報告で横ばい状況でしたが、第14週には8件に急減し、今シーズンの流行は終息です。
◎ A群溶血性レンサ球菌感染症は、2008年に入り10件前後から20件前後の報告が続き、例年並〜やや多めの状況でしたが、第14種は4件と減少しました。
◎ 水痘は、第12週15件(定点当り1.67)から第13週36件(定点当り4.00)に増加し、注意報発令されました。第14週は21件(定点当り2.33)に減少、注意報は解除です。県内では湯浅管内で警報が発令されていますが、第14週の湯浅管内では定点当り6.33で減少傾向です。
◎ 他の感染症は、全体に報告が少ない状況となっています。
◎ 眼科定点では、第14週は急性出血性結膜炎が1件(40歳代)、流行性角結膜炎3件(3歳1件・30歳代2件)です。
◎ 基幹病院定点では第14週も報告なしです。
「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウィルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように,冬季〜春先に大流行します。例年40週後半を過ぎた当たりから急激に増加を始め年末にピークを迎えます。
2007年後半の今シーズンでは、第41週の42件以降増加し、第45週の162件(定点当り18.0)が早めのピークで、以降は、やや減少から横ばい状況でした。
2008年に入り、第5週以降100件前後の報告で横ばい状況でしたが、第9週141件から第10週188件(定点当り20.89)、第11週191件(定点当り21.22)をピークに、流行しましたが、第12週は150件、第13週には91件に減少しました。警報も解除されました。第14週にはさらに88件に減少しました。しかし、今後も充分な注意が必要です。
年齢別では、乳幼児が中心ですが、幅広い年齢層で報告されています。
日常生活における予防としては、「手洗い」「うがい」励行などを日ごろより心がけて下さい。また嘔吐・下痢などの症状があるときには、十分に水分補給をして下さい。
ノロウィルスには塩素系の消毒剤が有効です。嘔吐物や下痢便の処理は衛生的に取り扱い、汚れた場所や衣類等は熱湯や塩素系消毒剤で消毒しましょう。乳幼児や高齢者等集団生活の場では、感染拡大の防止を心がけましょう。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原微生物とする急性の呼吸器感染症です。例年冬季を中心に全国的な流行が発生し年間1000万人以上の発病者が国内で報告されています。臨床経過は典型的な場合は、感染してから1〜3日間の潜伏期を経た後に突然の発熱(通常では38℃以上)、頭痛、倦怠感、筋肉痛、関節痛などの症状で発症し、次いで咳、鼻汁などの上気道炎症状が続きます。「突然の発熱→上気道症状の出現」「筋肉痛、関節痛」が「かぜ」症状と違う点です。合併症がなければ約1週間の経過で軽快しますが、高齢者や基礎疾患を持っている場合は現疾患の悪化と共に二次的な細菌性肺炎を起こす場合があります。また小児では中耳炎の合併や熱性痙攣、気管支喘息の誘発を招くことがあります。更にまれではありますが乳幼児を中心に急性脳症を合併する場合があることも明らかになってきています。以上よりインフルエンザはいわゆる「かぜ」よりも特別な警戒が必要です。
最も効果的な対策はインフルエンザワクチン接種による予防です。また、不要な人ごみへの外出は控え、マスクの着用、うがい、手洗いの励行をお願いします。
第14週には、和歌山市で8件、和歌山県内でも10件と減少し、今シーズンの流行は終息しました。
2008年に入り、第5週に27件(定点当り3.00)に急増、以降20件前後で推移していましたが、第11週は、12件に減少、以降11件、12件と横ばいで、例年並からやや多めの報告となっていましたが、第14週では4件に減少しました。
本感染症では,治療が十分に行われないと腎炎,リウマチ熱を発症することがあるので,早期診断,適切な治療が特に必要とされています。
第12週では15件から第13週36件へ増加しまし、注意報発令されましたが、第14週には21件に減少しました。
年齢別では、1歳から4歳児を中心に報告がみられます。
流行性耳下腺炎は約4年ごとに増える傾向がみられています。
和歌山市では,2006年では第10週をピークに流行が続きましたが、第19週以降漸減しています。2007年では第15週までの期間1〜11件を推移していました。その後は0〜2件で推移していましたが、2008年に入り第6週8件とやや増加しましたが、第7週以降、0件〜1件と少ない状況が続いています。第13週は1件でした。
RSウイルス感染症の流行は毎年冬で、特に乳幼児(特に6ヶ月未満)に中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。ロタウイルス腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症です。
2007年では、第50週では20件に急増、以後、第51週:15件、第52週:24件と増加傾向で流行のピークを迎えました。2008年に入り、10件以下の報告が続いています。第10〜12週は2件。第13週1件、第14週2件で終息です。
麻しん・風しんが、2008年1月1日より全数把握疾患となりました。
麻しんは、第9週まで報告なし。第10週に2件、第11週1件、第12週6件、第13週3件、第14週3件と報告が続いています。
風しんは、第3週に風しん1件の報告あり。第4週〜14週は報告なしです。
「風疹」は,和歌山市内では,2004年7件,2005年4件の報告(定点報告)で、以降、和歌山県の全数報告事業でも報告は0でした。
第3週で1件報告(16歳)があり、5年ぶりの報告となります。
<和歌山市の状況>
2007年 和歌山市において第19〜23週にかけて、計10件報告がありました。成人の3件はいずれもワクチン接種歴不明、小児は6件がワクチン接種なし、1件がワクチン接種済みでした。
2008年の届出状況は次のとおりです。
第10週:2件(中学生2件)、第11週に1件(小学生)、
第12週:6件(1歳児1件・中学生4件・30歳代1件)
第13週:3件(中学生2件・大学生1件)
第14週:3件(1歳児1件・小学生2件)で、計15件です。
中学生の8件のうち7件は同じ中学校の生徒です。このうち1件は平成12年に予防接種をしていました。また、中学生1件、1歳児1件は、患者との接触後に緊急接種をしましたが、間に合わず発症しました。他はいずれも接種歴なしです。30歳代の1件は接種歴不明でした。
年齢区分 | 計 | |||||||||
0歳 | 1-4 | 5-9 | 10-14 | 15-19 | 20-24 | 25-29 | 30-34 | |||
10週 | 3/3-3/19 | 1 | 1 | 2 | ||||||
11週 | 3/10-3/16 | 1 | 1 | |||||||
12週 | 3/17-3/23 | 1 | 2 | 2 | 1 | 6 | ||||
13週 | 3/24-3/30 | 3 | 3 | |||||||
14週 | 3/31-4/6 | 1 | 1 | 1 | 3 | |||||
計 | 0 | 2 | 1 | 5 | 6 | 0 | 0 | 1 | 15 |
「麻しん」と臨床診断されるまで、内科や皮膚科等複数の医療機関を受診している事例もあり、診断精度の向上が求められます。
<麻しんの特徴等>
麻しんに対して免疫を持たない者が感染した場合、10日前後の潜伏期を経て発症し、発熱・咳・鼻水・眼脂・結膜充血等のカタル期(2〜4日)、発疹期(3〜5日)、回復期へと続いていきます。感染期間としては、カタル期から発疹後4〜5日までウィルスの排出の可能性があります。
なお、患者との接触から3日以内であれば、麻しんワクチンの接種により感染を予防できる可能性があります。早期診断と接触者への迅速な対応が重要です。
<市民のみなさま・特に子育て中の保護者のみなさまへのメッセージ>
麻しんの予防には、予防接種の徹底が何より重要です。【Stop 麻しん・風しん】を参照。お子様が満1歳になりましたら先ず麻しんワクチン(=麻しん・風しん混合ワクチン)を接種しましょう。また、就学前の1年間の2回目の接種も忘れずうけましょう。
平成20年度から5年間、中学1年生及び高校3年生相当の方も麻しん風しん混合ワクチンの接種対象となります。対象者の方が接種できる期間は、それぞれ1年間のみです。早めに接種しましょう。
<若年成人の方へのメッセージ>
ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。現在の20歳代及び10歳代後半の若年者は、ワクチンの接種率が低く、また、接種者でも接種から10年以上が経過しているため、抗体価が低下して場合もあるため、感染者が多くでています。接種歴のない方や抗体価が低い場合は、ワクチン接種が必要です。
機会を見て、ワクチン接種(任意接種)をうけましょう。
また、発熱等の症状があった場合には、医療機関を受診し、診断をうけましょう。発熱等があるときに無理して職場や学校等へ行くことは、感染性の疾患であった場合、感染拡大につながりますので控えてください。
Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!
麻しんや風しんの予防接種は,平成18年4月1日より,次のとおりです。風しんと先天性風しん症候群の予防について
ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」,「白内障または緑内障」,「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に全国で1件以内だったのが,2004年では,9件の報告がありました。
和歌山市内では1999年以降,「先天性風疹症候群」の報告はありません。
また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年7件,2005年4件の報告でした。2008年第3週で5年ぶりに1件の報告がありました。
非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。