2008年第1週の和歌山市の5類感染症(定点把握)の発生状況です。
2008年1月1日より、「麻しん」及び「風しん」は、「麻しん排除計画」の一環として、全数把握疾患となりました。診断した医師は、全ての事例について、7日以内に保健所に報告が必要です。
第1週は、まだ、ほとんどの日が医療機関は休診となっていますので、全体に報告数は少なくなっていますので、ご留意ください。
◎ インフルエンザは、第43週に今シーズン初報告があり、その後増加が続き、第51週:382件をピークに、第52週には216件に減少しました。第1週の報告数は43件でした。今シーズン、注意報は発令されましたが、警報発令には至りませんでした。
第2週以降の流行状況に注意しましょう。
◎ 感染性胃腸炎も、昨シーズンのような大流行はないものの、早めに流行の兆しをみせました。100件以上の報告が続きました。第1週は42件でした。今後、しばらく流行がつづきますので注意が必要です。 本症は脱水が進み子どもやお年寄りの命をうばうこともあります。手洗いうがいで大部分が予防できますので、帰宅時や食事前などにはぜひうがい手洗いを励行しましょう。
◎ RSウイルス感染症は、第52週24件に増加しピークを迎えました。第1週でも9件の報告がありました。今しばらく注意が必要です。
◎ A群溶血性レンサ球菌感染症は、今シーズンは第46週は24件と増加の兆しがあり、以降増減しています。第52週は16件で横ばい状況、第1週は2件でした。
◎ 水痘は、第45週以降増加傾向を認めていました。第52週は22件とやや減少でしたが、第1週は13件で、今後増加の可能性があります。 例年11月後半〜翌年1月にかけて増加の傾向があるため、引き続き注意が必要です。
◎ 他の感染症は、全体に報告が少ない状況となっています。
◎ 眼科定点では第1週は報告なしです。
◎ 基幹病院定点では第1週報告なしです。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原微生物とする急性の呼吸器感染症です。例年冬季を中心に全国的な流行が発生し年間1000万人以上の発病者が国内で報告されています。臨床経過は典型的な場合は、感染してから1〜3日間の潜伏期を経た後に突然の発熱(通常では38℃以上)、頭痛、倦怠感、筋肉痛、関節痛などの症状で発症し、次いで咳、鼻汁などの上気道炎症状が続きます。「突然の発熱→上気道症状の出現」「筋肉痛、関節痛」が「かぜ」症状と違う点です。合併症がなければ約1週間の経過で軽快しますが、高齢者や基礎疾患を持っている場合は現疾患の悪化と共に二次的な細菌性肺炎を起こす場合があります。また小児では中耳炎の合併や熱性痙攣、気管支喘息の誘発を招くことがあります。更にまれではありますが乳幼児を中心に急性脳症を合併する場合があることも明らかになってきています。以上よりインフルエンザはいわゆる「かぜ」よりも特別な警戒が必要です。
最も効果的な対策はインフルエンザワクチン接種による予防です。また、不要な人ごみへの外出は控え、マスクの着用、うがい、手洗いの励行をお願いします。
「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウィルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように,冬季〜春先に大流行します。例年40週後半を過ぎた当たりから急激に増加を始め年末にピークを迎えます。
2007年後半の今シーズンでは、第41週の42件以降増加し、第45週の162件(定点当り18.0)が早めのピークで、以降は、やや減少から横ばい状況が続いています。第52週では105件、第1週は42件でした。昨年のようなめだった大流行にはなりませんでしたが、流行の時期はまだまだ続きますので、今後も充分な注意が必要です。
年齢別では、乳幼児を中心です。
日常生活における予防としては、「手洗い」「うがい」励行などを日ごろより心がけて下さい。また嘔吐・下痢などの症状があるときには、十分に水分補給をして下さい。ノロウィルスには塩素系の消毒剤が有効です。嘔吐物や下痢便の処理は衛生的に取り扱い、汚れた場所や衣類等は熱湯や塩素系消毒剤で消毒しましょう。乳幼児や高齢者等集団生活の場では、感染拡大の防止に心がけましょう。
RSウイルス感染症の流行は毎年冬で、特に乳幼児(特に6ヶ月未満)に中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。ロタウイルス腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症です。
2007年では、第50週では20件に急増、以後、第51週:15件、第52週:24件と増加傾向で流行のピークを迎えています。第1週は9件でした。今後もしばらく流行が続く恐れがりますので注意が必要です。
年齢別では、0〜6か月:2件、6〜12か月:1件、1歳3件、2歳1件、3歳2件でした。
2007年は、第7週46件(定点当り5.11)に急増し、警報が発令されました。過去最高の報告数でした。以後,急速に減少し,以降は例年並の推移です。
例年11月後半から12月前半に増加しますが、2007年は、例年と比較しやや多めの状況で、第46週では24件と急激に増加しました。以降、増減しつつ、第52週は16件でした。第1週は2件(10-14歳:2件)のみでしたが、新学期が始まり、集団生活が再開すると、ふたたび流行が危惧されます。
本感染症では,治療が十分に行われないと腎炎,リウマチ熱を発症することがあるので,早期診断,適切な治療が特に必要とされています。
2007年第1週では74件(定点当り8.22)に急増し、警報が発令されました。以降,増減しつつ,漸減傾向でした。夏場 少ない状況が続いた後、冬季に入り、第49週に29件と再び上昇し、以降ほぼ横ばい状況が続いています。ほぼ例年並の流行状況です。第1週では13件でした。今しばらく、流行の時期ですので、引き続き十分ご注意ください。
流行性耳下腺炎は約4年ごとに増える傾向がみられています。
和歌山市では,2006年では第10週をピークに流行が続きましたが、第19週以降漸減しています。2007年では第15週までの期間1〜11件を推移していましたが、その後は5件以下と例年以下の状況が続いていましたが、第45週は7件の報告がありました。その後は第46週に1件、第47〜50週では報告なし、第51週2件、第52週報告なしでした。
2007年度に入ってから第36週までは和歌山県内で報告はありませんでしたが、第37週に御坊市、田辺市でそれぞれ1件ずつ報告がありました。以降、県内での報告はありません。
<和歌山市の状況>
和歌山市において第19〜23週にかけて小児科定点より麻しん5件、基幹定点より成人麻しん1件、定点外より4件、合計10件報告されました。第25週以降、報告はありません。なお、成人麻しんの3件はいずれもワクチン接種歴不明、小児は6件がワクチン接種なし、1件がワクチン接種済みでした。
麻しんの小児科定点からの報告は、2003年には年間累計105件と比較的多数が報告されましたが、2004年・2005年は1件のみでした。また、基幹定点報告も、2003年は年間累計12件でしたが、2004年以降は報告がありませんでした。また、2005年5月2日以降の全数把握事業においても市内の報告はなく、今年は、4年ぶりの麻しん患者の複数報告となりました。
<和歌山県の状況>
和歌山市を除く県内の麻しんの報告状況です。
第18週以降の累計は13件です。第22週以降の報告はありませんでした。
<麻しんの特徴等>
麻しんに対して免疫を持たない者が感染した場合、10日前後の潜伏期を経て発症し、発熱・咳・鼻水・眼脂・結膜充血等のカタル期(2〜4日)、発疹期(3〜5日)、回復期へと続いていきます。感染期間としては、カタル期から発疹後4〜5日までウィルスの排出の可能性があります。
なお、患者との接触から3日以内であれば、麻しんワクチンの接種により感染を予防できる可能性があります。早期診断と接触者への迅速な対応が重要です。
<市民のみなさま・特に子育て中の保護者のみなさまへのメッセージ>
麻しんの予防には、予防接種の徹底が何より重要です。【Stop 麻しん・風しん】を参照。お子様が満1歳になりましたら先ず麻しんワクチン(=麻しん・風しん混合ワクチン)を接種しましょう。また、就学前の1年間の2回目の接種も忘れずうけましょう。
平成20年度から5年間、中学1年生及び高校3年生相当の方も麻しん風しん混合ワクチンの接種対象となります。対象者の方が接種できる期間は、それぞれ1年間のみです。早めに接種しましょう。
<若年成人の方へのメッセージ>
ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。現在の20歳代及び10歳代後半の若年者は、ワクチンの接種率が低く、また、接種者でも接種から10年以上が経過しているため、抗体価が低下して場合もあるため、感染者が多くでています。接種歴のない方や抗体価が低い場合は、ワクチン接種が必要です。
機会を見て、ワクチン接種(任意接種)をうけましょう。