第43週の和歌山市の4類感染症(全数把握)の発生状況です。
和歌山市内では、報告はありませんでした。
第43週の和歌山市の5類感染症(定点把握)の発生状況です。
インフルエンザの今シーズン初報告がありました。例年に比べ1ヶ月も早い出現となっています。毎年インフルエンザでの死亡例も報告されており、ワクチン接種が最も効果的とされています。みなさんぜひワクチン接種をして下さい。
感染性胃腸炎も例年に比べ1ヶ月早く流行が進んでおり、先週に比べ約1.5倍増となっています。例年通りなら、年末にピークを認め、年明け後も流行が続く怖い感染症です。脱水が進み子どもやお年寄りの命をうばうこともあります。手洗いうがいで大部分が予防できますので、帰宅時や食事前などにはぜひうがい手洗いをお願いします。
RSウィルス感染症は、先週に引き続き1例の報告がありました。例年この時季に増加する傾向を考えますと、今後さらに増加するものと予想されますので、注意が必要です。
百日咳は第34週に3例、第38週に1例報告がありましたが、第39週以降は報告ありません。
水痘は、第42週では11例で今週も11例でした。はっきりした増加傾向はまだ見られませんが、例年40週後半より増加に転じるために今後の注意が必要です。
他の感染症は、全体に報告が少ない状況となっています。
眼科定点では流行性角結膜炎が3例報告されました。
基幹病院定点ではマイコプラズマ肺炎が2例報告されました。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原微生物とする急性の呼吸器感染症です。例年冬季を中心に全国的な流行が発生し年間1000万人以上の発病者が国内で報告されています。臨床経過は典型的な場合は、感染してから1〜3日間の潜伏期を経た後に突然の発熱(通常では38℃以上)、頭痛、倦怠感、筋肉痛、関節痛などの症状で発症し、次いで咳、鼻汁などの上気道炎症状が続きます。合併症がなければ約1週間の経過で軽快しますが、高齢者や基礎疾患を持っている場合は現疾患の悪化と共に二次的な細菌性肺炎を起こす場合があります。また小児では中耳炎の合併や熱性痙攣、気管支喘息の誘発を招くことがあります。更にまれではありますが乳幼児を中心に急性脳症を合併する場合があることも明らかになってきています。以上よりインフルエンザはいわゆる「かぜ」よりも特別な警戒が必要です。最も効果的な対策はインフルエンザワクチン接種による予防です。うがい手洗いを継続して行い、その上で早めのワクチン接種をお願いします。
「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウィルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように,冬季〜春先に大流行します。例年40週後半を過ぎた当たりから急激に増加を始め年末にピークを迎えます。2006年は、全国的に例年より立ち上がりが早く、第46週時点で1定点あたり19.80と1981年の調査開始以来最高を記録しました。
和歌山市でも、2006年は、第49週に373例(定点当り41.44)と過去最高の報告数となり,第46週から52週まで警報発令が続きました。
2007年第1週から第8週まで報告数が少なく、過去8年間の中でも最も少ない状況が続いていましたが、第9週161例,第10週179例,第11週187例(定点当り20.78)と増加が続き、警報が発令されました。第15週以降もしばらく100例を越える報告が続きました。第29週はほとんど50例以下の報告数で第40週では34例と今年に入って最も少ない数でしたが、第41週が42例、第42週が73例と第43週が101例と大幅に増加してきています。昨年同様、例年より早い時季に増加してきており、今後も注意が必要です。年齢別では、0歳から14歳までで幅広く報告がみられます。
RSウイルス感染症の流行は毎年冬で、特に乳幼児(特に6ヶ月未満)に中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。ロタウイルス腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症です。2005年では第44週以降報告が続き、第49週42件でピークとなりました。2006年では第45週以降報告が続き、第51週44件でピークとなりました。今年は第41週では報告0件でしたが、第42週は3件、第43週は1件の報告があり今後の増加が予想されるので、注意が必要です。
和歌山県・市では,感染症発生動向調査と並行し,2005年5月より,麻しんと風しんの全数把握事業を実施しています。和歌山市内では、2005年6月以降2007年第18週まで、麻しん・風しんとも報告はありませんでした。
<和歌山市の状況>
和歌山市において第19〜23週にかけて小児科定点より麻しん5例、基幹定点より成人麻しん1例、定点外より4例、合計10例報告されましたが、第25週以降、報告はありません。なお、成人麻しんの3例はいずれもワクチン接種歴不明、小児は6例がワクチン接種なし、1例がワクチン接種済みでした。
麻しんの小児科定点からの報告は、2003年には年間累計105例と比較的多数が報告されましたが、2004年・2005年は1例のみでした。また、基幹定点報告も、2003年は年間累計12例でしたが、2004年以降は報告がありませんでした。また、2005年5月2日以降の全数把握事業においても市内の報告はなく、今年は、4年ぶりの麻しん患者の複数報告となりました。
<和歌山県の状況> 和歌山市を除く県内の麻しんの報告状況です。
第18週以降の累計は13例です。第22週以降の報告はありませんでした。
和歌山市 | 和歌山県(和歌山市分含む) | ||||
麻疹 | 風疹 | 麻疹 | 風疹 | ||
2005年5月2日〜 | 0 | 4 | 2 | 9 | |
2006年1月2日〜12/31 | 0 | 0 | 1 | 2 | |
2年間の累計 | 0例 | 4例 | 3例 | 11例 | |
2007年1月1日〜4月29日 | 1〜17週 | 0 | 0 | 0 | 0 |
4月30日〜6月17日 | 18〜24週 | 10 | 0 | 13 | 0 |
6月18日〜9月9日 | 25〜36週 | 0 |
0 | 0 | 0 |
9月10日〜9月16日 | 37週 | 0 | 0 | 0 | 1 |
9月17日〜10月28日 | 38〜43週 | 0 | 0 | 0 |
0 |
2007年の累計 | 10例 |
0例 | 13例 |
0例 | |
総累計 | 10例 | 4例 | 16例 | 12例 |
<麻しんの特徴等>
麻しんに対して免疫を持たない者が感染した場合、10日前後の潜伏期を経て発症し、発熱・咳・鼻水・眼脂・結膜充血等のカタル期(2〜4日)、発疹期(3〜5日)、回復期へと続いていきます。感染期間としては、カタル期から発疹後4〜5日までウィルスの排出の可能性があります。
なお、患者との接触から3日以内であれば、麻しんワクチンの接種により感染を予防できる可能性があります。早期診断と接触者への迅速な対応が重要です。
<市民のみなさま・特に子育て中の保護者のみなさまへのメッセージ>
上記のとおり、現状では、和歌山県内・市内とも各地で散発事例が認められているものの、際立った流行は認められておりません。
麻しんの予防には、予防接種の徹底が何より重要です。【Stop 麻しん・風しん】を参照
お子様が満1歳になりましたら先ず麻しんワクチン(=麻しん・風しん混合ワクチン)を接種しましょう。また、就学前の1年間の2回目の接種も忘れずうけましょう。
<若年成人の方へのメッセージ>
ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。現在の20歳代及び10歳代後半の若年者は、ワクチンの接種率が低く、また、接種者でも接種から10年以上が経過しているため、抗体価が低下して場合もあるため、感染者が多くでています。接種歴のない方や抗体価が低い場合は、ワクチン接種が必要です。
機会を見て、ワクチン接種(任意接種)をうけましょう。
また、発熱等の症状があった場合には、医療機関を受診し、診断をうけましょう。発熱等があるときに無理して職場や学校等へ行くことは、感染性の疾患であった場合、感染拡大につながりますので控えてください。
<全国の状況>
IDWR第17〜21週では、全国の小児科定点約3,000か所からの麻しんの報告数は約200例と大幅に増加し、2004年以降の最高値となっていました。
2007年第1週〜21週の累積報告数は1121例で2004年以来3年ぶりに1000例を上回りました。関東地域が中心ですが、全国的な拡がりを見せていました。その後報告数は減少傾向で、IDWR37週では、36例でした。
2007年は、第7週46例(定点当り5.11)に急増し、警報が発令されました。過去最高の報告数でした。以後,急速に減少し,第10週以降10例前後で推移していました。第19週は18例(定点当り2.0)とやや増加し、しばらく15例前後の報告が続いていましたが、第25週以降は例年並みに減少し落ち着いています。本感染症では,治療が十分に行われないと腎炎,リウマチ熱を発症することがあるので,早期診断,適切な治療が特に必要とされています。
2007年第1週では74例(定点当り8.22)に急増し、警報が発令されました。以降,増減しつつ,漸減傾向でした。第14週には41例(定点当り4.56)と再増加し,再度注意報発令されましたが、第15週は18例(定点当り2.0)に減少し注意報は解除されました。以降、19例、22例、10例、27例、13例(定点当り1.44)で、例年並でありましたが、第21週は34例(定点当り3.78)と増加しましたが、その後減少傾向で、第31週から36週では10例以下できていましたが、第37週は19例と増加を認めました。38週以降減少傾向となっていましたが、第41週は15例、第42週は11例と増加傾向となっており43週も11例でした。例年この時季に増加し始めるので、今後注意が必要です。
流行性耳下腺炎は約4年ごとに増える傾向がみられています。
和歌山市では,2006年では第10週をピークに流行が続きましたが、第19週以降漸減しています。2007年では第15週までの期間1〜11例を推移していましたが、その後は5例以下と例年以下の状況が続いており、42週は2例でした。県内の串本支所管内において注意報が発令されていましたが、42週で警報は解除され、第43週では1例でした。
2007年では、第31週に初めて1例の報告があった百日咳ですが、第34週には3例の報告がみられています。第39週以降の報告はありません。
小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243例,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」,「白内障または緑内障」,「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に全国で1例以内だったのが,2004年では,9例の報告がありました。
和歌山市内では1999年以降,「先天性風疹症候群」の報告はありません。
また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年7例,2005年4例の報告でした。
非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。