和歌山市感染症情報センター

今、注目の感染症
 

【5類感染症:定点把握】 第8週(2月19日〜2月25日)
 2007年第8週の和歌山市の5類感染症(定点把握)の発生状況です。
 インフルエンザは第7週105件(定点当り7.00)から第8週244件(定点当り16.27)と倍増し、注意報が発令されました。県内では和歌山市、岩出、橋本、湯浅、田辺、新宮の6地域で注意報発令です。各地で学級閉鎖も続いています。今後の動向に充分注意しましょう。
 感染性胃腸炎は2006年に大流行しましたが、2007年第1週では、58件(定点当り6.44)に減少し、ようやく警報は解除されました。以降、第7週77件(定点当り8.56)でほぼ横ばい状況が続き、過去8年間で最もすくない状況ですが、第8週では92件(定点当り10.22)と徐々に増加の傾向です。また、高齢者の施設での集団感染事例も発生しています。引き続き注意しましょう。
 RSウイルス感染症は、2006年第51週44件(定点当り4.89)がピークでした。2007年では、増減しつつも、第6週10件、第7週10件、第8週12件と報告が続いています。
 A群溶血性連鎖球菌咽頭炎は第7週に定点当り5.11と急増し、警報発令しましたが、第8週では17件(定点当り1.89)に減少し、警報は解除です。
 水痘は、第1週74件(定点当り8.22)で警報発令されましたが、以降、やや減少から横ばい状況で、第7週54件→第8週31件に減少し、昨年並みとなりました。
  眼科定点では、流行性角結膜炎1件でした。
 基幹定点は、無菌性髄膜炎が10-14歳で1件報告です。


 2006年は、6月・7月に地域的な小流行が認められ、定点報告でも和歌山市では第27週から30週まで1〜3件の少数報告が認められました。以後報告はありませんでした。
 2006-2007年の今シーズンは、流行の時期が遅く、患者数も少ない状況ですが、第5週26件から第6週57件(定点当り3.8)、第7週105件(定点当り7.00)、第8週244件(定点当り16.27)と倍増しており、注意報が発令されました。
 県全体でも定点当り14.74で注意報発令です。県内9保健所管轄のうち、和歌山市、岩出、橋本、湯浅、田辺、新宮と6地域で注意報発令されました。特に岩出は23.83で最も多い状況です。
 年齢別では幅広い年齢層で報告されていますが、10-14歳で最も多く報告されています。今後の動向に充分に注意しましょう。
 インフルエンザの流行に備え、流行前に予防接種を受けるだけでなく、日頃からの健康管理、うがい、手洗い励行など基本的な生活習慣を大切にして予防に心がけましょう。また、人出の多いところへの外出はできるだけ避け、外出時や咳症状がある時はマスクを着用しましょう。
インフルエンザ
インフルエンザ



 「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウィルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように,冬季〜春先に大流行します。例年40週後半を過ぎた当たりから急激に増加を始め年末にピークを迎えます。2006年は、全国的に例年より立ち上がりが早く、第46週時点で1定点あたり19.80と1981年の調査開始以来最高を記録しました。
 和歌山市でも、2006年は、第46週で211件(定点当り23.44)と急増し、警報発令となりました。これは前年より5週間早い警報発令です。以後急増し、第49週には373件(定点当り41.44)と過去最高の報告数となりました。第51週以降、190件→130件(定点当り14.44)と急激に減少しました。
 2007年第1週ではさらに58件(定点当り6.44)まで減少し、警報は解除されました。以降、ほぼ横ばい状況が続いており、第8週92件(定点当り10.22)でした。昨年の同時期と比較するとかなり少なく、過去8年間の中でも少ない状況となっていますが、徐々に微増の傾向を示しています。また、高齢者の施設で集団感染が発生しています。保育所・学校などの小児の集団生活の場や高齢者の集団生活施設などでは、流行が拡大しないよう、留意しましょう。
 IDWR第6週の病原体情報では、ノロウィルスGUが2,388件、GTが29件、サポウィルスが41件、A群ロタウィルスが48件報告されています。
 日常生活における予防としては、「手洗い」「うがい」励行などを日ごろより心がけて下さい。また嘔吐・下痢などの症状があるときには、十分に水分補給をして下さい。ノロウィルスには塩素系の消毒剤が有効です。嘔吐物や下痢便の処理は衛生的に取り扱い、汚れた場所や衣類等は熱湯や塩素系消毒剤で消毒しましょう。
 年齢別では、就学前の幼児及び小学生を中心にみられます。
和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況
和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況



 RSウイルス感染症の流行は毎年冬で、特に乳幼児(特に6ヶ月未満)に中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。ロタウイルス腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症です。2005年では第44週以降報告が続き、第49週42件でピークとなりました。以降漸減傾向で、感染性腸炎やインフルエンザの流行に移行したようです。
 2006年では、第45週に3件の報告から増加し、第50週33件、第51週44件、第52週35件と流行が続きました。
 2007年にはいり、第1週23件、第2週22件から第3週には5件(定点当り0.56)に急減しましたが、第4週では21件に再増加、第5週は4件に急減、第6週、第7週とも10件、第8週は12件と報告が続いており、終息の様子をみせません。まだしばらく注意を!
 年齢別では0-5か月:5件、6-11か月4件、1歳2件、2歳1件でした。
和歌山市におけるヘルパンギーナの流行状況
和歌山市におけるヘルパンギーナの流行状況



 和歌山市の2006年では第9週33件に急増,第10週〜第27週は10件〜20件前後で推移し全体的に例年よりやや多い状況が続きましたが、その後は、全体としては、2005年とほぼ同様の流行状況でした。
 2007年では、第6週18件から第7週46件(定点当り5.11)に急増し、警報が発令されました。過去最高の報告数でしたが、第8週では17件(定点当り1.89)に減少し、警報は解除されました。
 本感染症では,治療が十分に行われないと腎炎,リウマチ熱を発症することがあるので,早期診断,適切な治療が特に必要とされています。
 年齢別では、1歳から9歳まで認められています。
和歌山市におけるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行状況



 2007年第1週では74件(定点当り8.22)に急増し、警報が発令されました。第2週では47件(定点当り5.22)に減少、以後第3週44件、第4週46件(定点当り5.11)と横ばいから第5週59件(定点当り6.56)に再増加、第7週54件まで警報が継続され、例年と比較してかなり多い状況が続いていました。第8週には31件(定点当り3.44)と減少し、警報は解除され、昨年とほぼ同程度となりました。
 年齢別では、グラフのとおりで乳幼児が中心です。
和歌山市における水痘の流行状況
和歌山市における水痘の流行状況



 国内の咽頭結膜熱の報告数については、国立感染症研究所が発刊するIDWR(2006年第42週)によると「定点当たり報告数は微増し、過去5年の同時期と比較してかなり多い状態が続いている」と報告されています。
 和歌山市でも、第23週23件(定点当り2.56)をピークに、以降10件前後で推移、第32週以降は減少しましたが、年間通じて数件の報告がみられました。
 2007年第1週は報告なし、第2週1件以降、1件から5件で推移しています。第8週は3件でした。
 年齢別では、2歳1件、4歳1件、10-14歳1件でした。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況



 流行性耳下腺炎は約4年ごとに増える傾向がみられています。
 和歌山市では,2006年では第10週をピークに流行が続きましたが、第19週以降漸減しています。
2007年では1〜11件の間で、第8週も5件(定点当り0.56)と少ない状況が続いています。年齢別では、1歳1件、3歳3件、8歳1件でした。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況



 和歌山県・市では,感染症発生動向調査と並行し,2005年5月より,麻しんと風しんの全数把握事業を実施しています。それぞれの報告数は次の表のとおりです。
 和歌山市内では、2005年6月以降、麻しん・風しんとも報告はありませんでした。
 2007年第8週も報告なしです。 
  和歌山市 和歌山県(和歌山市分含む)
麻疹 風疹 麻疹 風疹
5月2日 〜 6月5日 0 4件(5,8,36,47歳 1件(11か月 6件(市+1,45歳
6月6日〜7月3日 0 0 0 2(16歳
7月4日〜7月31日 0 0 0 1件(33歳
8月1日〜9月4日 0 0 1件(2歳) 1件(37歳
9月5日〜10月2日 0 0 0 0
10月3日〜11月6日 0 0 0 2件(20,22歳
11月7日〜12月4日 0 0 0 0
12月5日〜1月1日 0 0 0 1件(1歳
1月2日〜4月9日 0 0 0 0
4月10日〜4月16日 0 0 1件(1歳 0
4月17日〜7月9日 0 0 0 0
7月10日〜7月16日 0 0 0 2件
7月17日〜12月31日 0 0 0 0
2007年1月1日〜2月25日 0 0 0 0
累計 0 4件 3件 15件
(注) 赤字:ワクチン接種歴なし,青字:ワクチン接種歴あり,緑字:接種歴不明

 2006年4月〜5月に、茨城県,千葉県で麻疹が集団発生するなど、地域的な小流行が発生しています。ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。ワクチン未接種でまだかかってない人は至急ワクチン接種をしましょう。



Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!


平成18年4月1日より新制度がスタート⇒6月2日より一部改正


 感染症対策で最も有効な予防法は予防接種です。
 麻しんや風しんの予防接種は、平成18年4月1日より、次のようになります。

第1期 
満1歳〜満2歳になるまでの間に1回

第2期 
満5歳〜7歳未満で、 小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間に1回いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を接種しますが,いずれか一方の既往歴がある場合等には,「麻しん単抗原ワクチン」もしくは「風しん単抗原ワクチン」を接種します。

 満1歳から満2歳未満のお子さんで,麻しんもしくは風しんのいずれかに罹患した場合には,他方を単抗原ワクチンで接種できます。6月2日以降,このような場合も,定期接種の扱いとなります。

  また,小学校入学前の1年間(3月31日まで)には,麻しん風しん混合ワクチン,もしくは,麻しん単抗原ワクチン及び風しん単抗原ワクチンを第2期として接種しましょう。
  この場合,接種歴に関係なく,上記ワクチンを接種できます。ただし,罹患歴がある場合には,接種できません。

風しんと先天性風しん症候群の予防について


 小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
 患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
 一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
 感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。

 また,「風疹」は,和歌山市内では、2004年7件,2005年4件の報告でした。
 非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
 なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。

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