和歌山市感染症情報センター

今、注目の感染症
 

【5類感染症:定点把握】 第52週(12月25日〜12月31日)
 第52週の和歌山市の5類感染症(定点把握)の発生状況です。
感染性胃腸炎は第46週211件(定点当り23.44)に急増し、前年より5週間早く警報が発令されました。第47週には310件(定点当り34.44)に急増、第49週には373件(定点当り41.44)と過去最高の報告数となりました。第50週は358件とやや減少、第51週には190件(定点当り21.11)と大幅に減少、第52週では130(定点当り14.44)とさらに減少しました。警報はまだ解除されていません。和歌山市以外では海南管内(定点当り12.50)で警報継続中です。
 インフルエンザは第48週に1件報告がありましたが、以降第52週まで報告ありません。しかし、流行期が間近ですので、注意を要します。
 RSウイルス感染症は、第51週44件(定点当り4.89)と増加し、第52週は35件とやや減少しましたが、流行が続いています。
 咽頭結膜熱は第51週1件、第52週2件の報告があり、今年は過去5年間の同時期と比較すると最も多く流行が長期化しています。
 水痘は、第50週の16件から第51週には44件に増加、第52週も同数の44件(定点当り4.89)で、流行期になっていますので注意が必要です。
 流行性耳下腺炎は、第51週2件、第52週3件と落ち着いています。
 眼科定点、基幹定点とも報告事例はありませんでした。


 「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウィルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように,冬季〜春先に大流行します。例年40週後半を過ぎた当たりから急激に増加を始め年末にピークを迎えます。今年は、全国的に例年より立ち上がりが早く、第46週時点で1定点あたり19.8と81年の調査開始以来最高を記録しています。
 和歌山市では、第46週で211件(定点当り23.44)と急増し、警報発令となりました。これは前年より5週間早い警報発令です。第47週はさらに310件(定点当り34.44)と約1.5倍に増加、その後も第48週は332件(定点当り36.89)、第49週373件(定点当り41.44)と増加し、過去最高の報告数となりました。以後、第50週は358件にやや減少、第51週には190件(定点当り21.11)と大きく減少、第52週には130件(定点当り14.44)まで減少し、例年の同時期に比較すると少なめの状況になりました。しかし、まだ、しばらくは、流行が持続すると思われますので、細心の注意が必要です。
 IDWR第50週の病原体情報では、ノロウィルスGUが増加しています。
 保育所・学校などの小児の集団生活の場だけでなく、高齢者の集団生活施設等においても多くの集団発生が見られ、注意が必要です。日常生活における「手洗い」「うがい」励行などを日ごろより心がけて下さい。また嘔吐・下痢などの症状があるときには、十分に水分補給をして下さい。ノロウィルスには塩素系の消毒剤が有効です。嘔吐物や下痢便の処理は衛生的に取り扱い、汚れた場所や衣類等は熱湯や塩素系消毒剤で消毒しましょう。
 年齢別にみると第52週は、就学前の幼児を中心にみられます。
和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況
和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況



 今年は、6月・7月に地域的な小流行が認められ、定点報告でも和歌山市では第27週から30週まで1〜3件の少数報告が認められました。以後報告はありませんでした。
 第48週に入り遂にA型インフルエンザの報告が1件ありました。尚、第49週〜第52週は報告がありません。
 いよいよインフルエンザの流行が予想される時期が近づいています。流行前に予防接種を受けるだけでなく、日頃からの健康管理、うがい、手洗い励行など基本的な生活習慣を大切にして予防に心がけましょう。
インフルエンザ



 RSウイルス感染症の流行は毎年冬で、特に乳幼児(特に6ヶ月未満)に中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。ロタウイルス腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症です。2005年では第44週以降報告が続き、第49週42件でピークとなりました。以降漸減傾向で、感染性腸炎やインフルエンザの流行に移行したようです。 2006年では、第45週に3件、第46週7件の報告があり増加の兆しをみせ、第47週4件とやや減少した後、第48週・49週は28件に急増、第50週33件、第51週44件、第52週35件と流行が続いています。
 年齢別では、グラフのとおり、0-6か月:12件、6-11か月:3件、1歳:9件、2歳:7件、3歳:3件、8歳:1件で、3歳未満児が大半を占めています。
和歌山市におけるヘルパンギーナの流行状況
和歌山市におけるヘルパンギーナの流行状況



 IDWR第44週より、『例年夏季の終わり(第33週前後)に最低値となり、その後、冬季から春季にかけて増加が始まる。2006年は第44週現在の定点当り累積報告数が72.22で2000年以降では最高値となっている。この増加には、臨床現場で迅速診断検査が普及したことの影響もあると推測されるが、今後報告はさらに増加してくることが予想され、注意が必要である』とされています。
  和歌山市では第9週33件に急増,第10週〜第27週は10件〜20件前後で推移し全体的に例年よりやや多い状況が続いていました。第23週頃より減少傾向となっており、第30週以降1、2件と最低値を示していましたが、第39週7件に増加以降、増減しつつも増加の傾向を示しており、第51週では10件、第52週13件(定点当り1.44)で、2005年とほぼ同様の流行状況です。今後も注意が必要です。
  本感染症では,治療が十分に行われないと腎炎,リウマチ熱を発症することがあるので,早期診断,適切な治療が特に必要とされています。
和歌山市におけるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行状況



 第22週の50件をピークに漸減。第38週5件が最小でしたが、第40週以降増え始めています。第46週は21件に増加したものの第47週11件に減少傾向でしたが、第48週に入り40件と増加に転じていました。増減しつつも第51週48件、第52週44件と増加傾向にあります。注意しましょう。
和歌山市における水痘の流行状況



 国内の咽頭結膜熱の報告数については、国立感染症研究所が発刊するIDWR(2006年第42週)によると「定点当たり報告数は微増し、過去5年の同時期と比較してかなり多い状態が続いている」と報告されています。
  和歌山市でも、第23週23件(定点当り2.56)をピークに、以降10件前後で推移、第32週以降は減少傾向です。第51週で1件、第52週2件の報告がありました。長期化していますが、ほぼ落ち着いてきています。
  咽頭結膜熱はプール熱とも呼ばれ,アデノウイルスによる飛沫感染,接触感染が原因です。咽頭炎,結膜炎,発熱を起こします。潜伏期間5〜7日,有症状期間は3〜5日です。伝染力が極めて強いことから,主要症状消退後2日経過しないと登校できないので注意してください。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況



 流行性耳下腺炎は約4年ごとに増える傾向がみられています。
  和歌山市では,2005年は第42週に警報が発令され,以降増減を繰り返して2006年に入っています。 2006年では第10週をピークに流行が続きましたが、第19週以降漸減しています。第51週では2件、第52週で3件のみでした。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況



 和歌山県・市では,感染症発生動向調査と並行し,2005年5月より,麻しんと風しんの全数把握事業を実施しています。それぞれの報告数は次の表のとおりです。
 第52週に和歌山県での報告はありません。
  和歌山市 和歌山県(和歌山市分含む)
麻疹 風疹 麻疹 風疹
5月2日 〜 6月5日 0 4件(5,8,36,47歳 1件(11か月 6件(市+1,45歳
6月6日〜7月3日 0 0 0 2(16歳
7月4日〜7月31日 0 0 0 1件(33歳
8月1日〜9月4日 0 0 1件(2歳) 1件(37歳
9月5日〜10月2日 0 0 0 0
10月3日〜11月6日 0 0 0 2件(20,22歳
11月7日〜12月4日 0 0 0 0
12月5日〜1月1日 0 0 0 1件(1歳
1月2日〜4月9日 0 0 0 0
4月10日〜4月16日 0 0 1件(1歳 0
4月17日〜7月9日 0 0 0 0
7月10日〜7月16日 0 0 0 2件
7月17日〜12月31日 0 0 0 0
累計 0 4件 3件 15件
(注) 赤字:ワクチン接種歴なし,青字:ワクチン接種歴あり,緑字:接種歴不明

 茨城県,千葉県で4月〜5月に麻疹が集団発生しています。
  ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。ワクチン未接種でまだかかってない人は至急ワクチン接種をしましょう。



Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!


平成18年4月1日より新制度がスタート⇒6月2日より一部改正


 感染症対策で最も有効な予防法は予防接種です。
 麻しんや風しんの予防接種は、平成18年4月1日より、次のようになります。

第1期 
満1歳〜満2歳になるまでの間に1回

第2期 
満5歳〜7歳未満で、 小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間に1回いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を接種しますが,いずれか一方の既往歴がある場合等には,「麻しん単抗原ワクチン」もしくは「風しん単抗原ワクチン」を接種します。

 満1歳から満2歳未満のお子さんで,麻しんもしくは風しんのいずれかに罹患した場合には,他方を単抗原ワクチンで接種できます。6月2日以降,このような場合も,定期接種の扱いとなります。

  また,小学校入学前の1年間(3月31日まで)には,麻しん風しん混合ワクチン,もしくは,麻しん単抗原ワクチン及び風しん単抗原ワクチンを第2期として接種しましょう。
  この場合,接種歴に関係なく,上記ワクチンを接種できます。ただし,罹患歴がある場合には,接種できません。

風しんと先天性風しん症候群の予防について


 小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
 患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
 一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
 感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。

 また,「風疹」は,和歌山市内では、2004年7件,2005年4件の報告でした。
 非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
 なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。

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