和歌山市感染症情報センター

今、注目の感染症
 

【5類感染症:定点把握】 第44週(10月30日〜11月5日)
 第44週の和歌山市の5類感染症(定点把握)の発生状況です。
  咽頭結膜熱は第42週3件、第43週1件、第44週は4件の報告があり今年は例年に比べ流行が長期化しています。和歌山市、岩出、御坊管内で警報発令は継続しています。
  感染性胃腸炎は第42週48件,第43週52件と増加の傾向でしたが第44週は45件と若干減少していますが、県内全体では増加認めています。例年40週後半を過ぎたあたりから急激に増加を始めますので、今後も引き続き注意が必要です。
  RSウイルス感染症は、現在のところ報告はありませんが、増加を始める季節となりました。
  インフルエンザも現在のところ報告はありません。 ヘルパンギーナは第43週1件、第44週1件であり、ほぼ流行は終息の模様です。
  手足口病は,第42週16件,第43週13件、第44週11件と減少傾向にあります。 流行性耳下腺炎は、現在のところは目立った動きはありません。田辺管内に発令されていた注意報は解除されています。しかし第44週までの累積報告数は過去5年間と比較すると今年が最も多いという結果が出ており、昨年はこの時期より流行が始まっているので注意が必要です。
  眼科定点から、急性出血性結膜炎は、第43週2件の報告がありましたが、第44週は0件でした。
  基幹定点疾患では第43週はいずれも報告はありませんでしたが、第44週ではマイコプラズマ肺炎が2件報告ありました。毎年冬季にピークが認められるので冬季にむけて報告数が増加する可能性あります。今後発生動向には注意していく必要あります。


 「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウイルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように,冬季〜春先に大流行します。例年40週後半を過ぎた当たりから急激に増加を始める傾向があります。これまでの発生動向調査からすると、今後、年末のピークに向かって急激な増加がみられるものと予想されています。また、小児だけでなく、高齢者の集団生活施設においても多くの集団発生が見られ、注意が必要です。日常生活における「手洗い」「うがい」励行などを日ごろより心がけて下さい。また嘔吐、下痢などの症状があるときには、十分に水分補給をして下さい。
  和歌山市での本年の状況は,第12週以降ほぼ例年並の報告数で推移していましたが、第42週48件(定点当たり2.89)、第43週52件(定点当たり5.78)と増加みられ、第44週45件(定点当たり5.00)と横ばいにあります。県内では定点当たり第43週3.13、第44週3.23と増加傾向にあります。年齢別で第44週は、乳幼児から14歳までの年齢層で報告されています。
和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況
和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況



 今年は、6月・7月に地域的な小流行が認められ、定点報告でも和歌山市では第27週は3件,第28週は2件,第29週は1件、第30週は2件と少数報告が続いていましたが、第31週以降0が続いています。第44週も報告を認めませんでした。
  季節が秋、冬となり、徐々にインフルエンザ感染症の報告が予想される時期が近づいてきました。流行前に予防接種を受けるだけでなく、日ごろからの健康管理、うがい、手洗い励行など基本的な生活習慣を大切にして予防に心がけましょう。
インフルエンザ



 RSウイルス感染症の流行は毎年冬で、特に乳幼児(特に6ヶ月未満)に中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。ロタウイルス腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症です。2005年では第44週以降報告が続き、第49週42件でピークとなりました。以降漸減傾向で、感染性腸炎やインフルエンザの流行に移行したようです。今年も第44週では報告0件ですが、今後の増加が予想されるので、注意が必要です。
和歌山市におけるヘルパンギーナの流行状況



 国内の咽頭結膜熱の報告数については、国立感染症研究所が発刊するIDWR(2006年第42週)によると「定点当たり報告数は微増し、過去5年の同時期と比較してかなり多い状態が続いている」と報告されています。
  県全体でも、第23週(6/5-6/11)に最も多い報告(定点あたり1.68名)があり、以降増減しながら推移、第42週では定点あたり0.16名で減少してきていますが、過去5年の同時期と比較すると最も大きく長期化しています。
  和歌山市でも、第23週23件(定点当り2.56)をピークに、以降10件前後で推移、第32週以降に減少傾向でしたが、第42週3件,第43週1件と報告が続き流行の長期化がみられています。第44週は4件(定点当り0.44)と増加しています。
  咽頭結膜熱はプール熱とも呼ばれ,アデノウイルスによる飛沫感染,接触感染が原因です。咽頭炎,結膜炎,発熱を起こします。潜伏期間5〜7日,有症状期間は3〜5日です。伝染力が極めて強いことから,主要症状消退後2日経過しないと登校できないので注意してください。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況



 流行性耳下腺炎は約4年ごとに増える傾向がみられています。
  和歌山市では,2005年の第42週に警報が発令され,以降増減を繰り返して2006年に入っています。
  2006年では第7週42件と増加,以後警報が継続発令され流行が続いていました。第19週以降20件前後の報告数で、増減は認めるものの徐々に減少傾向のまま推移しています。第44週は11件でした。年齢別報告数では、乳児から14歳及び20歳代と幅広い年齢層で報告されています。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況



 増減を繰り返しつつ,第11週42件で注意報発令後,第22週の50件をピークに漸減。第38週5件が最小でした。第43週7件、第44週9件と例年並ですが、40週を過ぎたころから増え始めています。今後増加する時期です。
  年齢別報告数では第週44は1歳2件、2歳3件、3歳1件、4歳2件、8歳1件と分布しています。
和歌山市における水痘の流行状況



 第9週33件に急増,第10週〜第27週は10件〜20件前後で推移し全体的に例年よりやや多い状況が続いていました。23週頃より減少傾向となっており、第30週以降1、2件と報告が少ない状況が続いていましたが、第39週7件に増加、第40週2件、第41週2件から第42週5件に再び増加、第43週には10件と倍増しています。第44週は9件と横ばいです。今後も急増の可能性もあり、引き続き注意が必要です。
  本感染症では,治療が十分に行われないと腎炎,リウマチ熱を発症することがあるので,早期診断,適切な治療が特に必要とされています。
和歌山市におけるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行状況



和歌山県・市では,感染症発生動向調査と並行し,2005年5月より,麻しんと風しんの全数把握事業を実施しています。それぞれの報告数は次の表のとおりです。 第42週に和歌山県での報告はありません。
  和歌山市 和歌山県(和歌山市分含む)
麻疹 風疹 麻疹 風疹
5月2日 〜 6月5日 0 4件(5,8,36,47歳 1件(11か月 6件(市+1,45歳
6月6日〜7月3日 0 0 0 2(16歳
7月4日〜7月31日 0 0 0 1件(33歳
8月1日〜9月4日 0 0 1件(2歳) 1件(37歳
9月5日〜10月2日 0 0 0 0
10月3日〜11月6日 0 0 0 2件(20,22歳
11月7日〜12月4日 0 0 0 0
12月5日〜1月1日 0 0 0 1件(1歳
1月2日〜4月9日 0 0 0 0
4月10日〜4月16日 0 0 1件(1歳 0
4月17日〜7月9日 0 0 0 0
7月10日〜7月16日 0 0 0 2件
7月17日〜10月29日 0 0 0 0
10月30日〜11月5日 0 0 0 0
累計 0 4件 3件 15件
(注) 赤字:ワクチン接種歴なし,青字:ワクチン接種歴あり,緑字:接種歴不明

 茨城県,千葉県で4月〜5月に麻疹が集団発生しています。
  ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。ワクチン未接種でまだかかってない人は至急ワクチン接種をしましょう。



Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!


平成18年4月1日より新制度がスタート


 感染症対策で最も有効な予防法は予防接種です。
 麻しんや風しんの予防接種は、平成18年4月1日より、次のようになります。
   第1期  満1歳〜満2歳になるまでの間に1回
   第2期 満5歳〜7歳未満で、 小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間に1回
        いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を接種します。

 満1歳から満2歳未満のお子さんで,麻しんもしくは風しんのいずれか一方のワクチンのみを接種している場合や,いずれかに罹患した場合には,任意接種になりますが,公費で麻しんもしくは風しんの単抗原ワクチンを接種できます。

  また、7歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人は、任意接種(有料)になりますが、大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。

風しんと先天性風しん症候群の予防について


 小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
 患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
 一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
 感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。

 また,「風疹」は,和歌山市内では、2004年7件,2005年4件の報告でした。
 非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
 なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。

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