【5類感染症:定点把握】 第41週(10月9日〜10月15日)
第41週の和歌山市の5類感染症(定点把握)の発生状況です。
咽頭結膜熱は第40週0件と市内では今シーズンの流行は終息と思われましたが第41週4件の報告があり流行が長期化しています。県内では今週、田辺保健所管内の警報が解除されましたが、岩出および御坊保健所管内の警報が継続となりました。特に、御坊保健所管内については増加(定点あたり0.50名→2.00名)し、再び警報基準値を上回りました。
感染性胃腸炎は第39週23件、第40週36件、第41週26件と多少の増減を認めながら推移しております。例年40週後半を過ぎたあたりから急激に増加を始めますので、注意が必要です。
RSウイルス感染症は、現在のところ報告はありませんが、増加を始める季節となりました。
ヘルパンギーナは第37週4件、第38週0件、第39週1件、第40週1件、第41週0件と流行は終息の模様です。手足口病は第39週7件、第40週8件、第41週10件と横ばいで推移しています。
流行性耳下腺炎はやや増加してきており、昨年度はこの時期より流行が始まったので注意が必要です。
伝染性紅班は、新宮保健所管内で第36週に発令された警報が解除されました。県全体の報告数も第41週で定点当たり0.16と終息傾向です。市内では第41週は2件の発生でした。
基幹定点疾患では第41週はマイコプラズマ肺炎を1件認めています。
国内の咽頭結膜熱の報告数については、国立感染症研究所が発刊するIDWR(2006年第37週)によると「定点当たり報告数は第31週(7/31-8/6)以降、減少が続いているが過去5年の同時期と比較してかなり多い状態が続いている」と報告されています。
県全体でも、第23週(6/5-6/11)に最も多い報告(定点あたり1.68名)があり、以降増減しながら推移、第40週では0.23名でしたが第41週では0.32とやや増加しています。
和歌山市では、第23週23件(定点当り2.56)をピークに、以降10件前後で推移、第32週以降に減少傾向となり、和歌山市では警報が解除されていますが、第41では4件(定点当り0.44)の報告があります。年齢別では5ヶ月未満、1歳、2歳、3歳で1件ずつです。
咽頭結膜熱はプール熱とも呼ばれ,アデノウイルスによる飛沫感染,接触感染が原因です。
咽頭炎,結膜炎,発熱を起こします。潜伏期間5〜7日,有症状期間は3〜5日です。伝染力が極めて強いことから,主要症状消退後2日経過しないと登校できないので注意してください。
今年の和歌山県における流行は終息に向かっています。今年は第21週(5/22-5/28)から増加を始め、第27週(7/3-7/9)に患者報告数のピーク(定点当たり11.58名)がありましたが減少し、第40週では5件(定点当り0.16名)、第41週では0件でした。
和歌山市でも第28週(7/10-7/16)の144件(定点当り16.00名)をピークに漸減し、第35週には1件まで減少、第38週0件、第39週1件、第40週1件、第41週0件と流行はほぼ終息と思われます。
国立感染症研究所が発刊するIDWR(2006年第34週8/21-8/27)によると「定点当たり報告数は第31週(7/31-8/6)以降、減少が続いている」と報告されています。
県内でも同様に推移し第30週(7/24-7/30)に最も多い報告数(定点当たり3.77名)を記録して以降減少し第41週は定点あたり0.87名とほぼ横ばいで推移しています。
和歌山市では第30週の37件をピークに漸減、第34週4件、第35週には1件まで減少しましたが、第37週は14件(定点当たり1.44)とやや増加をみていました。第41週は10件と先週とほぼ横ばいで推移しています。年齢別では1歳が5件、2歳1件、3歳3件、7歳1件の報告があります。 現在県内において警報の発令されている地域はありません。
流行性耳下腺炎は約4年ごとに増える傾向がみられています。
和歌山市では,2005年の第42週に警報が発令され,以降増減を繰り返して2006年に入っています。
2006年では第7週42件と増加,以後警報が継続発令され流行が続いていました。第19週以降20件前後の報告数で、増減は認めるものの徐々に減少傾向でした。第30週あたりからほぼ横ばいで推移しており、第41週は9件でした。年齢別報告数では、ほとんどが4歳から8歳での報告であり、保育所や幼稚園、小学校低学年での初感染のようです。これまでの経過としてはほぼ例年並みとなっています。
増減を繰り返しつつ,第11週42件で注意報発令後,第22週の50件をピークに漸減。第37週13件、第38週5件、第39週9件、第40週12件、第41週7件と多少の増減を見ながら例年並の流行状況となっています。年齢別報告数では第41週は0歳〜5歳に分布しています。
第9週33件に急増,第10週〜第27週は10件〜20件前後で推移し全体的に例年よりやや多い状況が続いていました。23週頃より減少傾向となっており、第30週以降1、2件と報告が少ない状況が続き、第39週7件と増加しましたが、第40週2件、第41週2件と再び減少しました。
本感染症では,治療が十分に行われないと腎炎,リウマチ熱を発症することがあるので,早期診断,適切な治療が特に必要とされています。
「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウイルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように,冬季〜春先に大流行しますが,これから秋の時期は報告数の少ない時期となってきます。
和歌山市での本年度の状況は,第2週に253件(定点当り28.11)に急増,その後第4週から第11週まで140〜190件と例年に比しやや多めで経過しましたが,第12週には89件に減少,以降100件以内でほぼ例年並の報告数となりました。第26週からは30〜40件台で推移しており、第41週は26件(定点当たり2.89)です。
年齢別では第41週は、乳幼児から14歳まで幅広い年齢層で報告されています。
例年40週後半を過ぎた当たりから急激に増加を始める傾向があります。もうすぐ流行の時期となりますので注意が必要です。
今年は、6月・7月に地域的な小流行が認められ、定点報告でも和歌山市では第27週は3件,第28週は2件,第29週は1件、第30週は2件と少数報告が続いていましたが、第31週以降0が続いています。第41週も報告を認めませんでした。
季節が秋、冬となり、徐々にインフルエンザ感染症の報告が予想される時期が近づいてきました。流行前に予防接種を受けるだけでなく、日ごろからの健康管理、うがい、手洗い励行など基本的な生活習慣を大切にして、集団発生を防ぎましょう。
和歌山県・市では,感染症発生動向調査と並行し,2005年5月より,麻しんと風しんの全数把握事業を実施しています。それぞれの報告数は次の表のとおりです。 第40週に和歌山県での報告はありません。
|
和歌山市 |
和歌山県(和歌山市分含む) |
麻疹 |
風疹 |
麻疹 |
風疹 |
5月2日 〜 6月5日 |
0 |
4件(5,8,36,47歳) |
1件(11か月) |
6件(市+1,45歳) |
6月6日〜7月3日 |
0 |
0 |
0 |
2(1,6歳) |
7月4日〜7月31日 |
0 |
0 |
0 |
1件(33歳) |
8月1日〜9月4日 |
0 |
0 |
1件(2歳) |
1件(37歳) |
9月5日〜10月2日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
10月3日〜11月6日 |
0 |
0 |
0 |
2件(20,22歳) |
11月7日〜12月4日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
12月5日〜1月1日 |
0 |
0 |
0 |
1件(1歳) |
1月2日〜4月9日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4月10日〜4月16日 |
0 |
0 |
1件(1歳) |
0 |
4月17日〜5月28日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
5月29日〜7月9日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
7月10日〜7月16日 |
0 |
0 |
0 |
2件 |
7月17日〜8月27日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
8月28日〜9月3日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
9月4日〜9月10日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
9月11日〜9月17日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
9月18日〜9月24日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
9月25日〜10月1日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
10月2日〜10月8日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
10月9日〜10月15日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
累計 |
0 |
4件 |
3件 |
15件 |
(注) 赤字:ワクチン接種歴なし,青字:ワクチン接種歴あり,緑字:接種歴不明 |
茨城県,千葉県で4月〜5月に麻疹が集団発生しています。
ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。ワクチン未接種でまだかかってない人は至急ワクチン接種をしましょう。
Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!
平成18年4月1日より新制度がスタート
感染症対策で最も有効な予防法は予防接種です。
麻しんや風しんの予防接種は、平成18年4月1日より、次のようになります。
第1期 満1歳〜満2歳になるまでの間に1回
第2期 満5歳〜7歳未満で、 小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間に1回
いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を接種します。
満1歳から満2歳未満のお子さんで,麻しんもしくは風しんのいずれか一方のワクチンのみを接種している場合や,いずれかに罹患した場合には,任意接種になりますが,公費で麻しんもしくは風しんの単抗原ワクチンを接種できます。
また、7歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人は、任意接種(有料)になりますが、大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。
風しんと先天性風しん症候群の予防について
小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。
また,「風疹」は,和歌山市内では、2004年7件,2005年4件の報告でした。
非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。