【3類感染症】 第20&21週(5月15日〜5月28日)
3類感染症である腸管出血性大腸菌感染症が第20週1件,第21週2件の届出がありました。
30代女性,幼児女性及び60代女性でした。いずれも,下痢・血便を呈し,医療機関を受診し、便培養検査でO157,ベロ毒素(+)と判明したものです。家族の検便で,2名にO157陽性者がありました。2名とも無症状でした。3件とも,家庭内発生と思われます。喫食調査では,特に原因と思われそうなエピソードもない状況です。
気候的にも発生が多くなる時機ですので,食品の衛生管理や調理には充分に留意し,生ものは避け,手洗いを徹底しましょう。また,下痢等の症状があった場合には,早めに医療機関を受診しましょう。また,便で汚染された下着等は,ハイターや熱湯で消毒し,他の衣類とは別に洗濯しましょう。
【5類感染症】 第20週(5月15日〜5月21日)
第20週の和歌山市の5類感染症の発生状況です。
咽頭結膜熱は第7週12件(定点当たり1.33)の報告があり,以降警報が継続発令されています。第17週に15例報告され急増が危惧されましたが,第18週以降11件,9件,9件,7件とやや減少傾向です。依然警報は継続発令されています。今後,流行期を迎えます。
流行性耳下腺炎は,第10週58件に増加し警報発令,以降横ばいに近い状況で流行が続いていますが,第20週は24件で徐々に減少傾向を示しています。今後も動向に注意が必要です。
水痘は,第20週33件で,例年並の報告数ですが,やや増加の傾向です。
また、A型溶血性レンサ球菌咽頭炎が第9週33件をピークに,以降減少していましたが,第20週23件とやや増加の傾向です。
IDWR第10週より,咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第5週以降増加が続いており,過去5年間の同時期と比較してかなり多くなっていると、報告されています。
和歌山では,第7週に県内では和歌山市が12件(定点当たり1.33)、岩出管内で7件(定点当たり1.75)と増加し、警報発令となりました。以降,和歌山市では,第8週から第12週まで10から11件と横ばい状況でしたが,第13週7件,第14週3件,第15週3件と減少した後,第16週には9件、第17週には15件第19週には9件とやや減少しているものの以前多くなっています。気温も上昇し,今後流行期に入る可能性もあります。充分に注意しましょう。
咽頭結膜熱はプール熱とも呼ばれ、アデノウイルスによる飛沫感染が原因です。咽頭炎、結膜炎、発熱を起こします。数日で治癒しますが、伝染力が極めて強いことから、主要症状消退後2日経過しないと登校できないので注意してください。
「流行性耳下腺炎」は「約4年ごとに増える傾向がみられている。2005年には報告数が増加する可能性が高い」(第15週IDWR)と予想されていました。
和歌山市でも、2005年の第42週に警報が発令されました。その後、増減を繰り返して2006年にはいっています。
2006年では、第2週の43件以降減少傾向でしたが、第7週42件と再増加し,以後,警報が継続発令されており,流行が続いていました。第19週28件,第20週24件とやや減少傾向です。
年齢別報告数では、第20週では4歳にピークがみられました。
増減を繰り返しつつ,第11週42件で,注意報は発令後,第12週から第18週まで20件前後に減少し横ばい状況でしたが,第19週29件,第20週33件でやや増加の傾向です。
年齢別報告数では、第20週4歳にピークがみられました。
第1週以降は、10件から20件の間で増減していましたが,第9週33件に急増しました。第10週以降は減少傾向で20件から10件の間でしたが、第20週23件とやや増加の傾向です。全体的にA,例年と比較してやや多い状況が続いており、今後の動向に注意が必要です。
この感染症では、治療が十分に行われないと腎炎、リウマチ熱を発症することがあるので、早期診断、適切な治療が特に必要とされています。
「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウイルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように、冬季〜春先に大流行し、秋は最も報告数は減少します。
和歌山市での2006年の状況は,第2週に253件(定点当り28.11)に急増,その後,第4週から第7週は180〜190件とやや減少,第8週から第11週は140件前後で足踏み状態でしたが,第12週には,89件に減少し,以降,100件以内でほぼ例年並の報告数となりました。 第20週では77件でした。
流行期は過ぎたものの,小児に見られる感染症では、やはり,年間を通じて最も報告数の多い感染症です。
年齢別では,就学前の幼児で多く報告されています。
IDWR第19週病原体情報では,殆どが,ノロウィルスGUで,2,036件が分離報告され、GTは計136件の報告となっています。サポウィルスが60件,ロタウィルスは第2週以降増加し,第9週がピーク。殆どがA群ロタウィルスで第17週までに523件検出されています。また,C群ロタウィルスは計18件が報告されています。この他,小学校・福祉・養護施設で,C群ロタウィルスの集団感染事例が報告されています。
和歌山県・市では,感染症発生動向調査と並行し,2005年5月より、麻しんと風しんの全数把握事業を実施しています。それぞれの報告数は次の表のとおりです。
|
和歌山市 |
和歌山県(和歌山市分含む) |
麻疹 |
風疹 |
麻疹 |
風疹 |
5月2日 〜 6月5日 |
0 |
4件(5,8,36,47歳) |
1件(11か月) |
6件(市+1,45歳) |
6月6日〜7月3日 |
0 |
0 |
0 |
2(1,6歳) |
7月4日〜7月31日 |
0 |
0 |
0 |
1件(33歳) |
8月1日〜9月4日 |
0 |
0 |
1件(2歳) |
1件(37歳) |
9月5日〜10月2日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
10月3日〜11月6日 |
0 |
0 |
0 |
2件(20,22歳) |
11月7日〜12月4日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
12月5日〜1月1日 |
0 |
0 |
0 |
1件(1歳) |
1月2日〜4月9日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4月10日〜4月16日 |
0 |
0 |
1件(1歳) |
0 |
4月17日〜5月21日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
累計 |
0 |
4件 |
3件 |
13件 |
(注) 赤字:ワクチン接種歴なし,青字:ワクチン接種歴あり,緑字:接種歴不明 |
茨城県,千葉県で4月〜5月に麻疹が集団発生しています。麻疹は空気感染するため,ゴールデンウィークの人の移動により全国に広がる可能性があるとして,注意を促しています。ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの、接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。ワクチン未接種でまだかかってない人は至急ワクチン接種をしましょう。
Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!
平成18年4月1日より新制度がスタート
感染症対策で最も有効な予防法は予防接種です。
麻しんや風しんの予防接種は、平成18年4月1日より、次のようになります。
第1期 満1歳〜満2歳になるまでの間に1回
第2期 満5歳〜7歳未満で、 小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間に1回
いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を接種します。
満1歳から満2歳未満のお子さんで,麻しんもしくは風しんのいずれか一方のワクチンのみを接種している場合や,いずれかに罹患した場合には,任意接種になりますが,公費で麻しんもしくは風しんの単抗原ワクチンを接種できます。
また、7歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人は、任意接種(有料)になりますが、大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。
風しんと先天性風しん症候群の予防について
小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。
また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年1年間で計7件の報告でした。
非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。