和歌山市感染症情報センター

今、注目の感染症
 

【3類感染症】 第15週(4月10日〜4月16日)
  第15週,2006年はじめて,腸管出血性大腸菌感染症O157の届出がありました。患者は男児で,症状は,下痢,血便。医療機関を受診時に検便を実施し,O157,ベロ毒素(+)と判明したものです。合併症等なく,順調に回復しました。家族等に発症者はなく,単発事例でした。喫食調査でも,特に思い当たるものなく,感染経路は不明です。
 腸管出血性大腸菌感染症は,1年を通して発生がありますが、これからの高温多湿の時期は,報告数が増加する時期となります。家族で同じものを食べていても,年少者は発病しやすいので注意が必要です。食品の衛生管理や手洗いの徹底等に留意しましょう。


【5類感染症】 第15ー16週(4月10日〜4月23日)
  第15・16週の和歌山市の感染症の発生状況です。
 咽頭結膜熱は第7週12件(定点当たり1.33)で警報が発令され,以降第12週まで,10件〜11件と横ばいで警報継続発令されていました。第13週6件,第14週3件,第15週3件と減少したものの,第16週再び増加し,9例報告されました。
 流行性耳下腺炎は,第10週58件に増加し警報発令,以降横ばいに近い状況で,第15週50件,第16週35件で,流行が続いています。今後も動向に注意が必要です。
 水痘は,例年並の報告数で,目立った動きはありません。
 また、A型溶血性レンサ球菌咽頭炎が第9週33件をピークに,以降減少し,第15週13件でした,第16週20件とやや増加しています。例年よりやや多い目です。


 IDWR第10週より,咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第5週以降増加が続いており,過去5年間の同時期と比較してかなり多くなっていると、報告されています。
 和歌山では,第7週に県内では和歌山市が12件(定点当たり1.33)、岩出管内で7件(定点当たり1.75)と増加し、警報発令となりました。以降,和歌山市では,第8週から第12週まで10から11件と横ばい状況でしたが,第13週7件,第14週3件,第15週3件と減少した後,第16週には9件と再び増加しています。気温も上昇し,今後流行期に入る可能性もあります。充分に注意しましょう。
 咽頭結膜熱はプール熱とも呼ばれ、アデノウイルスによる飛沫感染が原因です。咽頭炎、結膜炎、発熱を起こします。数日で治癒しますが、伝染力が極めて強いことから、主要症状消退後2日経過しないと登校できないので注意してください。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況



 「流行性耳下腺炎」は「約4年ごとに増える傾向がみられている。2005年には報告数が増加する可能性が高い」(第15週IDWR)と予想されていました。
 和歌山市でも、2005年の第42週に警報が発令されました。その後、増減を繰り返して2006年にはいっています。
 2006年では、第2週の43件以降減少減少傾向でしたが、第7週42件と再増加し,以後,警報が継続発令されており,流行が続いています。 年齢別報告数では、第16週では4歳と8歳にピークがみられました。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況
年齢別報告数



 増減を繰り返しつつ,第11週42件で,再び注意報は発令されましたが,第12週以降,20件前後に減少し横ばい状況です。ほぼ例年並みの報告数です。
和歌山市における水痘の流行状況
年齢別報告数



 2005年は、例年より報告数が多い状況が持続していました。全国的にも同じ傾向が認められています。和歌山市内では、第49週に22例(定点当たり2.44)と増加しました。
 第1週以降は、10件から20件の間で増減していましたが,第9週33件に急増しました。第10週以降は減少傾向で,第13週15件,第14週13件,第15週13件でしたが,第16週には20件と再び増加しており,例年と比較してやや多い状況が続いています。今後の動向に注意が必要です。
この感染症では、治療が十分に行われないと腎炎、リウマチ熱を発症することがあるので、早期診断、適切な治療が特に必要とされています。
和歌山市におけるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行状況
和歌山市におけるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行状況



 RSウィルス感染症の流行は毎年冬で、特に乳幼児(特に6ヶ月未満)に中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。ロタウイルス腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症です。
 2005年では,第44週以降報告が続き,第49週42件でピークとなりました。以降漸減傾向で、第10週以降0〜1件で終息と見られます。
和歌山市におけるRS感染症の流行状況



  第11週は6〜12か月未満の乳児,第12週は1歳,第13週10〜14歳で1件ずつの報告です。
 マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマ・ニューモニアエ(Mycoplasma pneumoniae)を病原体とし、飛沫感染を主な感染経路とする呼吸器感染症です。潜伏期間は2〜3週間であり、咳や発熱、胸痛などが主な症状です。治療は、抗菌薬(エリスロマイシン、クラリスロマイシンなど)の内服が中心となります。
 流行季節はなく、通年性に発生が認められますが、過去5年間では冬季(第50週前後)にピークが認められます。今後、報告数が増加する可能性がありますので、その発生動向には注意していく必要があります。
和歌山市におけるRS感染症の流行状況


 和歌山市内においては、第47週に1例が初報告されたインフルエンザは、第51週には218件、第52週には222件報告され、注意報が発令されました。例年と比較すると非常に早い立ち上がりとなりました。第4週には561件でピークに達しました。以降,第8週警報解除,第12週以降10件未満で,今シーズンの流行は終息しました。
  IDWR(第15週)病原体情報では,AH3型(A香港)は3,303件(71.7%)、AH1型(Aソ連)は1,172件(25.5%)、B型は130件(2.8%)の分離が報告されており,AH3が流行の中心でした。また,今シーズン第9週までに急性脳炎として報告されたインフルエンザ脳症は35例で,週別では最も多かったのは第3週でした。インフルエンザウィルスとしてはすべてA型で13歳の2例以外はすべて0〜7歳でした。
和歌山市におけるインフルエンザの流行状況



 「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウイルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように、冬季〜春先に大流行し、秋は最も報告数は減少します。
  和歌山市での2006年の状況は,第2週に253件(定点当り28.11)に急増,その後,第4週から第7週は180〜190件とやや減少,第8週から第11週は140件前後で足踏み状態でしたが,第12週は,89件に減少し,81件,90件とほぼ例年並の報告数となりました。今シーズンの流行もようやく落ち着きました。
 IDWR第15週病原体情報では,殆どが,ノロウィルスGUで,2,005件が分離報告され、GTは計134件の報告となっています。サポウィルスが54件,A群ロタウィルスは第2〜5週に増加し,第15週までに413件検出されています。また,C群ロタウィルスは計17件が報告されています。この他,小学校・福祉・養護施設で,C群ロタウィルスの集団感染事例が報告されています。
和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況
年齢別報告数



 和歌山県・市では,感染症発生動向調査と並行し,2005年5月より、麻しんと風しんの全数把握事業を実施しています。それぞれの報告数は次の表のとおりです。
  和歌山市 和歌山県(和歌山市分含む)
麻疹 風疹 麻疹 風疹
5月2日 〜 6月5日 0 4件(5,8,36,47歳 1件(11か月 6件(市+1,45歳
6月6日〜7月3日 0 0 0 2(16歳
7月4日〜7月31日 0 0 0 1件(33歳
8月1日〜9月4日 0 0 1件(2歳) 1件(37歳
9月5日〜10月2日 0 0 0 0
10月3日〜11月6日 0 0 0 2件(20,22歳
11月7日〜12月4日 0 0 0 0
12月5日〜1月1日 0 0 0 1件(1歳
1月2日〜4月9日 0 0 0 0
4月10日〜4月16日 0 0 1件(1歳 0
4月17日〜4月23日 0 0 0 0
累計 0 4件 3件 13件
(注) 赤字:ワクチン接種歴なし,青字:ワクチン接種歴あり,緑字:接種歴不明




Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!


平成18年4月1日より新制度がスタート


 感染症対策で最も有効な予防法は予防接種です。
 麻しんや風しんの予防接種は、平成18年4月1日より、次のようになります。
   第1期  満1歳〜満2歳になるまでの間に1回
   第2期 満5歳〜7歳未満で、 小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間に1回
        いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を接種します。

 満1歳から満2歳未満のお子さんで,麻しんもしくは風しんのいずれか一方のワクチンのみを接種している場合や,いずれかに罹患した場合には,任意接種になりますが,公費で麻しんもしくは風しんの単抗原ワクチンを接種できます。

  また、7歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人は、任意接種(有料)になりますが、大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。

風しんと先天性風しん症候群の予防について


 小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
 患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
 一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
 感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。

 また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年1年間で計7件の報告でした。
 非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
 なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。

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