和歌山市感染症情報センター

今、注目の感染症
 

【5類感染症】 第12週(3月20日〜3月26日)
  第12週の和歌山市の感染症の発生状況です。
  インフルエンザの今シーズンの流行は,終息しました。 また,感染性胃腸炎は、第2週253件で警報発令され、以降第11週まで警報が継続発令されていましたが,第12週には,89件に減少,警報も解除されました。
  一方,咽頭結膜熱は第7週12件(定点当たり1.33)で警報が発令され,以降,10件〜11件と横ばいで警報発令中です。今後も注意が必要です。
  流行性耳下腺炎は,第10週58件に増加し警報発令,第11週は31件にやや減少,第12週は49件と増減しています。今後の動向に注意が必要です。
  水痘は,第11週42件で再び注意報が発令されましたが,第12週では19週に減少しました。 また、A型溶血性レンサ球菌咽頭炎が第9週33件に増加しましたが,以降増減し,第12週は22件でした。今後の動向に注意が必要です。


 和歌山市内においては、第47週に1例が初報告されたインフルエンザは、第51週には218件、第52週には222件報告され、注意報が発令されました。例年と比較すると非常に早い立ち上がりとなりました。第1週では、冬休みをはさんで132件とやや減少しましたが、第2週では280件と増加しており、流行期に突入、第3週では468件と倍増し、警報が発令され,第4週は561件でピークに達しました。以降,289件,205件,111件,100件と減少し、警報は解除され,第10週67件から第11週15件,第12週は6件と激減し,終息を迎えました。
  IDWR(第10週)病原体情報では,AH3型(A香港)は2,802件(77.5%)、AH1型(Aソ連)は748件(20.7%)、B型は66件(1.8%)の分離が報告されており,AH3が流行の中心でした。また,今シーズン第9週までに急性脳炎として報告されたインフルエンザ脳症は35例で,週別では最も多かったのは第3週でした。インフルエンザウィルスとしてはすべてA型で13歳の2例以外はすべて0〜7歳でした。
和歌山市におけるインフルエンザの流行状況



 「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウイルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように、冬季〜春先に大流行し、秋は最も報告数は減少します。和歌山市内では、微妙な増減を繰り返しつつ第45週からは増加傾向でしたが、第51週221件に急増し,警報発令されました。第52週は171件,第1週は118件でやや減少傾向でしたが、第2週では253件(定点当り28.11)に急増,その後,第4週から第7週は180〜190件とやや減少,第8週から第11週は140件前後で足踏み状態でしたが,第12週は,89件に減少し,ようやく,今シーズンの流行が落ち着く様子です。
  IDWR第10週病原体情報では,ノロウィルスGUの分離が増加しており、37府県から1,556件が分離報告され、GTは計55件の報告となっています。サポウィルスが38件,A群ロタウィルスは第2〜5週に増加し,第10週までに183件検出されています。また,C群ロタウィルス2件が広島県から報告されています。
和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況
年齢別報告数



 IDWR第10週より,咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第5週以降増加が続いており,過去5年間の同時期と比較してかなり多くなっていると、報告されています。  
  和歌山では,第7週に県内では和歌山市が12件(定点当たり1.33)、岩出管内で7件(定点当たり1.75)と増加し、警報発令となりました。以降,和歌山市では,第8週,第9週,第10週とも10件,第11週,第12週とも11件と横ばい状況で警報が継続しています。 年齢別では,5歳にピークがみられています。
  咽頭結膜熱はプール熱とも呼ばれ、アデノウイルスによる飛沫感染が原因です。咽頭炎、結膜炎、発熱を起こします。数日で治癒しますが、伝染力が極めて強いことから、主要症状消退後2日経過しないと登校できないので注意してください。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況



 「流行性耳下腺炎」は「約4年ごとに増える傾向がみられている。2005年には報告数が増加する可能性が高い」(第15週IDWR)と予想されていました。
  和歌山市でも、2005年の第42週に警報が発令されました。その後、増減を繰り返して2006年にはいっています。
  2006年では、第2週の43件以降減少減少傾向でしたが、第7週42件と再増加し,以後,増減しつつ,第10週58件,第11週31件,第12週49件であり、警報が発令されました。 年齢別報告数では、4歳をピークに,2歳から8歳までで大部分を占めています。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況
年齢別報告数



  増減を繰り返しつつ,第11週42件で,再び注意報は発令されましたが,第12週では19件に減少しました。ほぼ例年並みの報告数です。
和歌山市における水痘の流行状況



 2005年は、例年より報告数が多い状況が持続していました。全国的にも同じ傾向が認められています。和歌山市内では、第49週に22例(定点当たり2.44)と増加しました。
  第1週以降は、10件から20件の間で増減していましたが,第9週33件に急増しました。第10週,第11週,第12週は19件,17件,22件で例年と比較してやや多い状況が続いています。今後の動向に注意が必要です。
  この感染症では、治療が十分に行われないと腎炎、リウマチ熱を発症することがあるので、早期診断、適切な治療が特に必要とされています。
和歌山市におけるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行状況



 RSウィルス感染症の流行は毎年冬で、特に乳幼児(特に6ヶ月未満)に中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。ロタウイルス腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症です。
  2005年では,第44週以降報告が続き,第49週42件でピークとなりました。以降漸減傾向で、第6週では0件になりましたが、第7週は5件(6ヶ月未満が4人)に再増加し,第8週2件,第9週3件の報告でしたが、第10週以降0件で終息と見られます。
和歌山市におけるRS感染症の流行状況



 第6週に岩出管内および御坊管内で1例(定点当たり1.00)ずつ報告,第11週で和歌山市と岩出管内で1件ずつの報告がありました。和歌山市では,第11週は6〜12か月未満の乳児,第12週は1歳で1件ずつの報告です。
  マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマ・ニューモニアエ(Mycoplasma pneumoniae)を病原体とし、飛沫感染を主な感染経路とする呼吸器感染症です。潜伏期間は2〜3週間であり、咳や発熱、胸痛などが主な症状です。治療は、抗菌薬(エリスロマイシン、クラリスロマイシンなど)の内服が中心となります。  
  流行季節はなく、通年性に発生が認められますが、過去5年間では冬季(第50週前後)にピークが認められます。今後、報告数が増加する可能性がありますので、その発生動向には注意していく必要があります。


 和歌山県・市では,感染症発生動向調査と並行し,2005年5月より、麻しんと風しんの全数把握事業を実施しています。それぞれの報告数は次の表のとおりです。
  和歌山市 和歌山県(和歌山市分含む)
麻疹 風疹 麻疹 風疹
5月2日 〜 6月5日 0 4件(5,8,36,47歳) 1件(11か月) 6件(市+1,45歳)
6月6日〜7月3日 0 0 0 2(1,6歳)
7月4日〜7月31日 0 0 0 1件(33歳)
8月1日〜9月4日 0 0 1件(2歳) 1件(37歳)
9月5日〜12月4日 0 0 0 0
12月5日〜1月1日 0 0 0 1件(1歳)
1月2日〜2月19日 0 0 0 0



風しんと先天性風しん症候群の予防について


 小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
 患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
 一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
 感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。

 また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年1年間で計7件の報告でした。
 非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
 なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。

Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!


予防接種法施行令の一部が改正されました。


 感染症対策で最も有効な予防法は予防接種ですが、時期が一部改正されました。麻しんや風しんの予防接種は、現行ではいずれも満1歳〜満7歳6か月になるまでの間の1回接種でしたが、改正後、平成18年4月1日より、麻しん、風しんでは次のようになります。
  第1期の予防接種 満1歳〜満2歳になるまでの間
  第2期の予防接種 満5歳〜7歳未満で、小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間  いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を2回施行します。

  現在、満1歳以上7歳6か月未満のお子さんで、麻しんまたは風しんの予防接種のいずれか、もしくは両方を未接種の場合は、平成18年3月31日までに早めに接種を済ませましょう。
  和歌山市では,平成18年3月を「予防接種強化月間」とし,市医師会の協力の元,夜間及び休日に接種出来る体制をとっています。


  また、7歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人は、任意接種(有料)になりますが、大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。

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