和歌山市感染症情報センター

今、注目の感染症
 

【5類感染症】 第46週(11月14日〜11月20日)
 今週の和歌山市の感染症傾向です。5類感染症では、流行性耳下腺炎は34例(定点当り3.78)が報告され、和歌山市で警報継続中です。例年、流行性耳下腺炎の発生は秋季にいったん減少がみられ、その後冬季に向かって増加していくことが多いので、今後も発生が増加していくものと思われます。
  和歌山市内でRSウイルス感染症が44週の3例、45週の7例に続き今週は13例報告されました。また、今週は水痘も19例報告されました。今後、冬季に向けてインフルエンザ、RSウイルス感染症をはじめ、水痘、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、などが増加していくと予想され注意が必要です。
  県内では新宮管内にて水痘が11例(定点当たり5.50)報告され注意報が発令されました。その他、45週に高野口管内で流行性耳下腺炎の注意報が発令されていましたが、今週は解除されました。


 「流行性耳下腺炎」は「約4年ごとに増える傾向がみられている。2005年には報告数が増加する可能性が高い」(第15週IDWR)と予想されていました。 和歌山市でも、第42週に警報が発令されました。その後、増減を繰り返しながらも警報は継続中です。年齢別報告数では、6歳以下の報告がほとんどでした。保育所や幼稚園、小学校低学年での初感染のようです。
  県内では、和歌山市が報告数34例(定点あたり3.78)で警報継続、高野口管内で8例(定点あたり2.00)となり高野口管内で注意報は解除されました。和歌山市の報告数は過去5年と比較しても、この時期として非常に数多いものとなっています。全国的には第44週のIDWRで定点当たりの報告数は増加したとのことです。
  例年、流行性耳下腺炎の発生は秋季にいったん減少がみられ、その後冬季に向かって増加していくため、今後とも注意が必要です。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況
年齢別報告数



 「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウイルス腸炎にみられるように、冬季〜春先に大流行し、秋は最も報告数は減少します。和歌山市内では、微妙な増減を繰り返しており、全体的には横ばい傾向にあります。ちなみに、IDWR第44週で「定点当たり報告数は3週連続して増加した」と報告があります。また、全国的には第38週よりノロウイルスの報告があり、第44週までに計46件の報告がありました。
  年齢別報告数では、やはり小児を中心とした発生の報告があります。 今後冬季〜春先に向けて報告数が増加してくると予想されます。日常生活における「手洗い」、「うがい」励行などを日ごろより心がけて下さい。
和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況



 第23週をピークに徐々に減少を認め、第37週から第45週まではほぼ横ばい傾向でしたが、今週は19例(定点当たり2.11)の報告があり増加傾向です。新宮管内では11例(定点当たり5.50)と報告数の増加を認め、注意報が再び発令されました。
  全国的にもIDWR第44週で「定点あたり報告数は第39週以降、増加が続いている。」とされています。水痘の発生動向をみると、例年夏季から秋季にかけて報告数が減少し、第38週前後に最小値となり、その後冬季に向かって増加していく。また、水痘ワクチンはあるものの、わが国においてはまだ流行をコントロールするには至っていないため、今後冬季の流行に向けて、水痘の発生動向には注意が必要です。
和歌山市における水痘の流行状況



 第13週以降、報告の無かったRSウイルス感染症が40週に1例報告されました。その後41〜43週の報告はありませんでしたが、第44週から報告があり、今週は13例の報告がありました。12例が1歳以下でした。全国的にも報告数3週連続増加しており、年齢別では、1歳以下の報告数は全体の約78%を占めています。和歌山市では昨年と比べ明らかに多くなっています。
  流行は毎年冬で、特に乳幼児(特に6ヶ月未満)に中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。  ロタウイルス胃腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症です。2004年では47週以降に増加が認められました。これからの季節は増加していく可能性が十分あるので注意が必要です。
和歌山市におけるRS感染症の流行状況



 2005年は、例年より報告数が多い状況が持続しています。全国的にも同じ傾向が認められています。和歌山市内では第44週に12例(定点当たり1.33)、第45週に16例(定点当たり1.78)、第46週に16例(定点当たり1.78)の報告があり増加傾向にあります。全国的にも第44週のIDWRで「定点当たり報告数は3週連続で増加した」とあります。今後もさらに増加していくことが当然予想されるため注意が必要です。この感染症では、治療が十分に行われないと腎炎、リウマチ熱を発症することがあるので、早期診断、適切な治療が特に必要とされています。
和歌山市におけるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行状況



今後徐々に増加してくるため、手洗い、うがい、予防接種など注意が必要
 季節が秋、冬となり、徐々にインフルエンザ感染症の報告が予想される時期となってきました。和歌山市内においては、今年は第24週以降報告例が認められておりませんが、今後増加してくることが予想されます。
  今年、AH3型が、計10件の分離が報告されています。また、AH1型が第36週に東京都の小学校の集団発生から、PCRで8件検出されています。B型の分離の報告は現在のところありません。  予防接種の時期です。集団発生を防ぐため、予防接種だけでなく、日ごろからの健康管理、うがい、手洗い励行など基本的な生活習慣を大切にしましょう。


 33週以降、感染者数が認められておりませんでしたが、第41、44週に1例の報告が御坊管内において、第45週は岩出管内で2例、御坊管内で1例の計3例の報告がありました。また、今週は岩出管内にて2例の報告がありました。
  マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマ・ニューモニアエ(Mycoplasma pneumoniae)を病原体とし、飛沫感染を主な感染経路とする呼吸器感染症です。感染には濃厚接触が必要であり、施設内や家庭内での感染伝播は認められるが、短時間の暴露による感染拡大の可能性はそれほど高くありません。潜伏期間は2〜3週間であり、咳や発熱、胸痛などが主な症状です。感染により特異抗体が産生されますが、生涯続くものではなく、徐々に減衰していき、しかもその期間は個人により様々であるため再感染もしばしば認められます。治療としては、抗菌薬による原因療法が基本ですが、本菌は細胞壁を持たないため、β-ラクタム系抗菌薬であるペニシリン系薬やセファロスポリン系薬には感受性はありません。そのため、蛋白合成阻害薬であるマクロライド系薬(エリスロマイシン、クラリスロマイシンなど)が第1選択薬となることが多いです。  
  流行季節はなく、通年性に発生が認められますが、過去5年間では冬季(第50週前後)にピークが認められます。また、ここ3年間においては夏季(第25週前後)にも小さなピークが認められています。今年については、過去5年間の同時期と比較して全国的にも常にその平均値を超える状態が続いており、第39週での全国累積報告数は2000年以降では最高値となりました。第44週では定点当たりの報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多いとあります。  
  今後、冬季に向けて報告数が増加すると考えられるため、その発生動向には注意していく必要があります。
和歌山市におけるマイコプラズマ肺炎の流行状況



 「咽頭結膜熱」の和歌山市の発生動向です。第46週の報告数は1例(定点当たり0.11)でした。第34週以降、報告者数は0〜2例となっています。近年では2000年、2004年に流行が認められましたが、本年は目立った流行は認められておりません。
  ただし、全国的には、第44週のIDWRにて「定点当たりの報告数は横ばいであったが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い」とのことであり、今後は十分な注意が必要です。
和歌山市における咽頭結膜炎の流行状況



 ヘルパンギーナと並ぶ夏かぜの代表格である手足口病ですが、38週以降も完全に終息せずくすぶった状況が続いております。IDWR第43週では定点当たりの報告数は微増したとのことです。夏に流行するとはいえ、下記の2004年のグラフが示すように、今後報告者数の増加が認められてくる可能性もあり注意が必要です。
和歌山市における咽頭結膜炎の流行状況



 夏かぜの代表の「ヘルパンギーナ」ですが、第45週は2例、今週は報告がありませんでした。終息傾向と考えられます。第44週のIDWRでも「ヘルパンギーナの定点あたり報告数は第28週以降、減少が続いている」との報告であり、やはり今後冬の訪れとともに終息傾向が続くと考えられます。
和歌山市における咽頭結膜炎の流行状況



 和歌山市では2005年に入ってからまだ発生の報告はなく、県内でも第2週に新宮管内と高野口管内で各1件、第7週に田辺管内で2件、第11週に高野口管内で1件、第21週に高野口管内で1件、第24週に高野口管内で1件、第33週に岩出管内で1件の報告があるのみです。 なお、和歌山県・市では麻疹と風疹の全数把握事業を実施しています。5月2日〜11月20日で麻疹の報告は県内で2件、和歌山市で0件でした。
  和歌山市 和歌山県
麻疹 風疹 麻疹 風疹
5月2日 〜 6月5日 0 4 1 6
6月6日 〜 7月31日 0 0 0 2
7月4日 〜 7月31日 0 0 0 1
8月1日 〜 9月4日 0 0 1 1
9月5日〜11月20日 0 0 0 0



風しんと先天性風しん症候群の予防について


小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。

また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年1年間で計7件の報告でした。
非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。

Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!


予防接種法施行令の一部が改正されました。


感染症対策で最も有効な予防法は予防接種ですが、時期が一部改正されました。 麻しんや風しんの予防接種は,現行ではいずれも満1歳〜満7歳6か月になるまでの間の1回接種でしたが、改正後、平成18年4月1日より、麻しん、風しんでは次のようになります。

第1期の予防接種 満1歳〜満2歳になるまでの間
第2期の予防接種 満5歳〜7歳未満で、小学校入学日の1年前の日から小学校入学 前日までの間
いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を 2回施行します。

現在,満1歳以上7歳6か月未満のお子さんで,麻しんまたは風しんの予防接種のいずれか,もしくは両方を未接種の場合は,平成18年3月31日までに早めに接種を済ませましょう。

麻疹の予防接種の標準接種月齢(=最も適切な接種時期)は,「生後12月から15月(満1歳3か月)」です。麻しんは1歳ごろがもっとも罹患しやすく,かつ重症になるため、満1歳になったら,できるだけ早い時期に予防接種を受けましょう。

また,7歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人では,任意接種(有料)になりますが,大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。

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