33週以降、感染者数が認められておりませんでしたが、第41、44週に1例の報告が御坊管内において、第45週は岩出管内で2例、御坊管内で1例の計3例の報告がありました。また、今週は岩出管内にて2例の報告がありました。
マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマ・ニューモニアエ(Mycoplasma pneumoniae)を病原体とし、飛沫感染を主な感染経路とする呼吸器感染症です。感染には濃厚接触が必要であり、施設内や家庭内での感染伝播は認められるが、短時間の暴露による感染拡大の可能性はそれほど高くありません。潜伏期間は2〜3週間であり、咳や発熱、胸痛などが主な症状です。感染により特異抗体が産生されますが、生涯続くものではなく、徐々に減衰していき、しかもその期間は個人により様々であるため再感染もしばしば認められます。治療としては、抗菌薬による原因療法が基本ですが、本菌は細胞壁を持たないため、β-ラクタム系抗菌薬であるペニシリン系薬やセファロスポリン系薬には感受性はありません。そのため、蛋白合成阻害薬であるマクロライド系薬(エリスロマイシン、クラリスロマイシンなど)が第1選択薬となることが多いです。
流行季節はなく、通年性に発生が認められますが、過去5年間では冬季(第50週前後)にピークが認められます。また、ここ3年間においては夏季(第25週前後)にも小さなピークが認められています。今年については、過去5年間の同時期と比較して全国的にも常にその平均値を超える状態が続いており、第39週での全国累積報告数は2000年以降では最高値となりました。第44週では定点当たりの報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多いとあります。
今後、冬季に向けて報告数が増加すると考えられるため、その発生動向には注意していく必要があります。