【3類感染症】第37週(9月12日〜9月18日)
第37週に1例、下痢で受診した幼児(男児)から、腸管出血性大腸菌感染症が報告されました。
和歌山市内では、平成15年、16年、17年とそれぞれ8名(3名の無症状者含む)、4名、4名(2名の無症状者含む)の報告がありました。
腸管出血性大腸菌は年間を通じて発生しますが特に夏季に流行が認められ、幼少者に集団発生しやすいのが特徴です。未加熱の牛肉や未殺菌乳、野菜、ヨーグルト摂取などから感染しやすく、症状としては腹痛を伴う頻回の水様下痢で始まり、激しい血便となることもあります。特に幼少者、高齢者では症状が重症になることもあり注意が必要です。感染予防には手洗いの励行、消毒、またこの菌は熱に比較的弱いために調理時にしっかり火を通すことが大切です。腹痛・下痢等の症状が見られた場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
【5類感染症】 第37週(9月12日〜9月18日)
朝晩はすっかり涼しくなり、過ごしやすい気候となってまいりました。
今週の和歌山市の感染症傾向ですが5類感染症では、A群溶血性連鎖球菌咽頭炎に軽度増加が見られましたが、他に目立った動きは認めませんでした。咽頭結膜熱は和歌山市、その他の管内でも流行はみられないものの、依然新宮管内のみ警報が発令されています。
また、全国的にはA群溶血性連鎖球菌咽頭炎の定点当たり報告数が2週連続で増加しており注意が必要です。今後注目すべき感染症としてはインフルエンザがありますが、現在は年間を通じて最も発生数が減少している時期ではありますが、第35週の定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると最も高い値となっているため感染流行に注意が必要です。
夏風邪の代表の「ヘルパンギーナ」ですが、和歌山市では終息傾向との報告でしたが、今週も8件の報告のみでした。
第35週のIDWRでも「ヘルパンギーナの定点あたり報告数は第28週以降、減少が続いている」との報告です。
「咽頭結膜熱」の和歌山市の発生動向ですが、36週に引き続き37週の感染報告例はなく、目立った流行は認められておりません。なお、県内では新宮管内のみ依然として警報が発令されています(定点あたり1.50)
全国的な動向について、第35週のIDWRでは「咽頭結膜熱の定点あたり報告数は第31週以降減少が認めて続いている」とのことです。
3大夏風邪のひとつである手足口病ですが、2005年では、第26週は23件に増加したのを最後に減少傾向に、ここ最近は横ばい傾向です。第37週は8件の報告と若干の増加を示しましたが明らかな増加傾向は認めておりません。IDWRでは全国的にも微増傾向であるとの報告があります。
昨年は秋から冬にかけて増加しています。今後の動向に注意しましょう!
「感染性胃腸炎」は冬季、特に年末年始に大流行し、秋は最も報告数は減少します。36週の全国的には増加傾向見られておりましたが、和歌山市は第37週の報告件数は25件と先週に引き続き減少傾向にあります。
年齢別報告数では、小児が中心となりますが、どの年齢でも発生の報告はあります。
第35週のIDWRでは「感染性胃腸炎の定点あたり報告数は横ばい傾向」とのことです。
「流行性耳下腺炎」は「約4年ごとに増える傾向がみられている。2005年には報告数が増加する可能性が高い」(第15週IDWR)と予想され、第19週IDWRでは「定点当たりの報告数は大きく増加」とのことでした。
和歌山市でも第33週に注意報が発令され、全体的には増加傾向でしたが、第34〜37週ではそれぞれ15件、18件、13件、14件の報告とほぼ横ばい状態です。県内では、目立った増加傾向はありませんが、依然海南管内では第37週にも注意報が発令されており(定点あたり3.50)引き続き注意が必要です。
全国的には「流行性耳下腺炎の定点あたりの報告数は2週連続して減少した」(第35週IDWR)との報告です。
2005年は第1週から第3週まで警報が発令されていましたが、以降は減少傾向にあり、ここ最近の発症数は10件前後で推移、第37週は2件の報告で減少傾向が続いております。
全国的にも定点あたり報告数は減少しております。
年齢別の報告数をみますと、殆どが就学前の年少乳幼児です。
和歌山市では2005年に入ってからまだ発生の報告はなく、県内でも第2週に新宮管内と高野口管内で各1件、第7週に田辺管内で2件、第11週に高野口管内で1件、第21週に高野口管内で1件、第24週に高野口管内で1件、第33週に岩出管内で1件の報告があるのみです。
なお、和歌山県・市では麻疹と風疹の全数把握事業を実施しています。5月2日〜6月5日で麻疹の報告は県内で1件、和歌山市で0件でした。また6月6日〜9月4日では麻疹の報告は県内で1件でした。
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和歌山市 |
和歌山県 |
麻疹 |
風疹 |
麻疹 |
風疹 |
5月2日 〜 6月5日 |
0 |
4 |
1 |
6 |
6月6日 〜 7月31日 |
0 |
0 |
0 |
2 |
7月4日 〜 7月31日 |
0 |
0 |
0 |
1 |
8月1日 〜 9月4日 |
0 |
0 |
1 |
1 |
第13週以降報告のなかった「マイコプラズマ肺炎」でしたが、第18週で1件、第19・20週と続けて4件、第22週で2件の報告があり、今後の動向が注目されていました。以降散発的な発症報告がありましたが、ここ最近の5週は発症報告がありません。
しかしながら全国的な動向では、第35週IDWRでは「マイコプラズマ肺炎の定点あたり報告数は増加した。」とあり、第33週IDWRにて「今後は冬季に向けてマイコプラズマ肺炎の発生報告が増加していくものと考えられるため、その発生動向には注意が必要である」とあり、今後注意が必要と考えます。
風しんと先天性風しん症候群の予防について
小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。
また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年1年間で計7件の報告でした。
非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。
Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!
予防接種法施行令の一部が改正されました。
感染症対策で最も有効な予防法は予防接種ですが、時期が一部改正されました。 麻しんや風しんの予防接種は,現行ではいずれも満1歳〜満7歳6か月になるまでの間の1回接種でしたが、改正後、平成18年4月1日より、麻しん、風しんでは次のようになります。
第1期の予防接種 満1歳〜満2歳になるまでの間
第2期の予防接種 満5歳〜7歳未満で、小学校入学日の1年前の日から小学校入学
前日までの間
いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を2回施行します。
現在,満1歳以上7歳6か月未満のお子さんで,麻しんまたは風しんの予防接種のいずれか,もしくは両方を未接種の場合は,平成18年3月31日までに早めに接種を済ませましょう。
麻疹の予防接種の標準接種月齢(=最も適切な接種時期)は,「生後12月から15月(満1歳3か月)」です。麻しんは1歳ごろがもっとも罹患しやすく,かつ重症になるため、満1歳になったら,できるだけ早い時期に予防接種を受けましょう。
また,7歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人では,任意接種(有料)になりますが,大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。