【2類感染症】第33・34・35週(8月15日〜9月7日)
第35週に細菌性赤痢の届出が2件ありました。インドへの渡航歴があり、帰国前より症状があったとのことです。
細菌性赤痢の主な症状には「水様性下痢」から始まり「粘血便」へと変化、その他「腹痛(しぶり腹)」、「発熱」などがあります。感染経路としては、赤痢菌に汚染された飲み水、食物を摂取することによります。東南アジアや中国などへの旅行者に多く発生していますので、それらの国への旅行時には生水・生食は避け、食品の衛生面に十分に留意してください。
【5類感染症】 第33・34・35週(8月15日〜9月7日)
空はすっかり秋の空となりましたが、残暑はまだまだ続いています。マイコプラズマ肺炎は全国的に例年よりも多く、十分な注意が必要です。咽頭結膜熱は和歌山市では流行はみられないものの、和歌山県全体では警報が発令されている管内もあり、今後の動向に注目する必要があります。流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)については増加と減少を繰り返しているものの全体としては増加傾向にあります。その他の感染症には目立った動きはありません。
夏風邪の代表の「ヘルパンギーナ」ですが、和歌山市では徐々に減少傾向をみせ、35週では2件報告されたのみと全体的には終息傾向にあります。
昨年早期に流行した「咽頭結膜熱」ですが、和歌山市の発生動向は2005年は第1週以降2件から5件の報告で横ばい状況のままで夏場もめだった流行はみられませんでした。第31週は1件に減少、第32週は5件にやや増加しています。ただ、新宮管内で第33〜35週に5件(定点あたり2.50)、4件(定点あたり2.00)、2件(定点あたり1.00)の報告があり警報が発令されています。
全国的な動向についてですが、第33週のIDWRでは「咽頭結膜熱の定点あたり報告数は2週連続して減少した」とのことです。
手足口病は、2000年に大流行しました。例年は3大夏風邪のひとつとして夏場に流行するのですが、2004年は、夏をすぎて、涼しくなってから報告が増加しました。
2005年では、第26週は23件に増加したものの以後、徐々に減少し、第35週では3件のみとなっています。
第33週のIDWRにおいても「手足口病の定点あたり報告数は第28週以降減少が続いている」とのことです。
「感染性胃腸炎」は年末年始に大流行し、秋は最も報告数は減少します。1年間で、もっとも報告の少ない時期にさしかかっており、第33週のIDWRにても「感染性胃腸炎の定点あたり報告数は第21週以降、減少が続いている」とあります。
第32週は49件で、第25週以降50件前後で推移していますが、全体的には減少傾向です。
年齢別報告数では、小児が中心となりますが、どの年齢でも発生の報告はあります。
2004年はこの時期にも多かったですが、2005年は第1週から第3週まで横ばい状況で警報が継続発令されていましたが、以降は減少傾向にあり、ここ最近の発症数は10件前後で推移しています。
年齢別の報告数をみますと、殆どが就学前の年少乳幼児です。
和歌山市では2005年に入ってからまだ発生の報告はなく、県内でも第2週に新宮管内と高野口管内で各1件、第7週に田辺管内で2件、第11週に高野口管内で1件、第21週に高野口管内で1件、第24週に高野口管内で1件、第33週に岩出管内で1件の報告があるのみです。
なお、和歌山県・市では麻疹と風疹の全数把握事業を実施しています。5月2日〜6月5日で麻疹の報告は県内で1件、和歌山市で0件でした。また6月6日〜9月4日では麻疹の報告は県内で1件でした。
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和歌山市 |
和歌山県 |
麻疹 |
風疹 |
麻疹 |
風疹 |
5月2日 〜 6月5日 |
0 |
1 |
1 |
6 |
6月6日 〜 7月31日 |
0 |
0 |
0 |
2 |
7月4日 〜 7月31日 |
0 |
0 |
0 |
0 |
8月1日 〜 9月4日 |
0 |
0 |
1 |
1 |
第15週IDWRでは、「約4年ごとに増える傾向がみられている。2005年には報告数が増加する可能性が高い」とあり、第19週IDWRでは「定点当たりの報告数は大きく増加」となっています。
和歌山市でも、第33週に33件(定点あたり3.67)の報告があり注意報が発令されました。増加と減少を繰り返していますが、全体的には増加傾向にあります。また、県内では、高野口管内で第33〜35週にかけて14件もしくは15件(定点当たりそれぞれ3.50、3.75)の報告があり注意報が、海南管内では第33週に8件(定点あたり4.00)の報告があり、注意報が発令されました。
第33週のIDWRでは「流行性耳下腺炎の定点あたりの報告数は横ばいであった」とのことです。
第13週以降報告のなかったマイコプラズマ肺炎でしたが、第18週で1件、第19・20週と続けて4件、第22週で2件の報告があり、今後の動向が注目されていました。以降散発的な発症報告がありましたが、第33〜35週での発生の報告はありませんでした。ただ、岩出管内では第33週に1件、第35週に1件の報告があります。
第32週のIDWRでは「2005年は過去5年間の同時期と比較して、常にその平均値を超える状態が続いている。季節的には通年性に発生が認められるが、過去5年間では冬季(第50週前後)にピークがみられ、またこの3年間では夏季(第25週前後)にも小さなピークが見られている」とあり、第33週IDWRでは「マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続して増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。今後は冬季に向けてマイコプラズマ肺炎の発生報告が増加していくものと考えられるため、その発生動向には注意が必要である」とのことです。
風しんと先天性風しん症候群の予防について
小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。
また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年1年間で計7件の報告でした。
非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。
Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!
予防接種法施行令の一部が改正されました。
感染症対策で最も有効な予防法は予防接種ですが、時期が一部改正されました。 麻しんや風しんの予防接種は,現行ではいずれも満1歳〜満7歳6か月になるまでの間の1回接種でしたが、改正後、平成18年4月1日より、麻しん、風しんでは次のようになります。
第1期の予防接種 満1歳〜満2歳になるまでの間
第2期の予防接種 満5歳〜7歳未満で、小学校入学日の1年前の日から小学校入学
前日までの間
いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を2回施行します。
現在,満1歳以上7歳6か月未満のお子さんで,麻しんまたは風しんの予防接種のいずれか,もしくは両方を未接種の場合は,平成18年3月31日までに早めに接種を済ませましょう。
麻疹の予防接種の標準接種月齢(=最も適切な接種時期)は,「生後12月から15月(満1歳3か月)」です。麻しんは1歳ごろがもっとも罹患しやすく,かつ重症になるため、満1歳になったら,できるだけ早い時期に予防接種を受けましょう。
また,7歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人では,任意接種(有料)になりますが,大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。