立秋を迎えましたが,残暑の厳しい日々がつづいています。第25週から30週前後に流行する夏かぜ(ヘルパンギーナ・咽頭結膜熱・手足口病等)も,今年はめだった流行がないまま過ぎています。第30週に31件とやや増加した「流行性耳下腺炎」もその後減少しており,他の感染症もめだった動きのない状況です。
県内では,「咽頭結膜熱」が新宮管内で3件(定点当たり1.50)で警報発令中です。また,「流行性耳下腺炎」は岩出管内で第31週と同じ13件(定点当たり3.25)で注意報発令されています。
夏休みも後半を迎えます。規則正しい生活に心がけ,体調管理にご留意ください。
和歌山市では徐々に減少傾向でしたが、第31週25件と再び増加の兆しがみられましたが,第32週は15件に減少しました。県内においても全ての管内で警報・注意報は解除されていますが,今しばらくは動向に注意しましょう。
年齢別報告数では、乳幼児が中心で1歳にピークを認めています。
昨年早期に流行した「咽頭結膜熱」ですが、2005年は第1週以降2件から5件の報告で横ばい状況のままで夏場もめだった流行はみられず,第31週は1件に減少,第32週は5件にやや増加しています。
手足口病は、2000年に大流行しました。例年は3大夏風邪のひとつとして夏場に流行するのですが、2004年は、夏をすぎて,涼しくなってから報告が増加しました。
2005年では、第26週は23件に増加したものの以後,めだった流行もなく,第32週は8件でほぼ横ばいです。しかし、今後急激に増加してくる可能性もありますので,注意しましょう。
第17・18週IDWRの病原体情報では「2004年は第22週以降、A群コクサッキーウイルス16型(CA16)とエンテロウイルス71型(EV71)の検出が増加したが、CA16が主流となり、年末近くまで検出が続いた。2005年に入ってからもCA16の検出が散発的に続いている。CA16は9府県から、EV71は北海道から報告されている。」とのことです。
「感染性胃腸炎」は年末年始に大流行し,秋は最も報告数は減少します。1年間で,もっとも報告の少ない時期にさしかかっています。
第32週は49件で,第25週以降50件前後で推移しています。
年齢別報告数では、幼児が中心です。1歳,2歳での報告が多くなっています。
2005年第1週から第3週まで横ばい状況で警報が継続発令されていましたが、第5週で29件に減少、以降漸減してきていました。第17週で22件とやや上昇、第18週で11件と減少し、その後も10件前後で横ばい状況です。
年齢別の報告数をみますと,殆どが就学前の年少乳幼児です。
和歌山市では2005年に入ってからまだ発生の報告はなく、県内でも第2週に新宮管内と高野口管内で各1件、第7週に田辺管内で2件、第11週に高野口管内で1件、第21週に高野口管内で1件、第24週に高野口管内で1件の報告があるのみとなっています。
なお、和歌山県・市では麻疹と風疹の全数把握事業を実施しています。5月2日〜6月5日で麻疹の報告は県内で1件、和歌山市で0件でした。また6月6日〜7月31日では麻疹の報告は県内で0件でした。
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和歌山市 |
和歌山県 |
麻疹 |
風疹 |
麻疹 |
風疹 |
5月2日〜6月5日 |
0 |
1 |
1 |
6 |
6月6日〜7月31日 |
0 |
0 |
0 |
2 |
第15週IDWRでは、「約4年ごとに増える傾向がみられている。2005年には報告数が増加する可能性が高い」とあり、第19週IDWRでは「定点当たりの報告数は大きく増加」となっています。
和歌山市でも、第19週には24件と、警報発令には至りませんでしたが,増加傾向を示しました。第20週は9件に減少し、以後横ばい状況。その後第30週に31件と増加し注意報が発令されましたが,第31週は18件に減少し注意報は解除され,第32週には13件と更に減少しました。
県内では、岩出管内で第31週,32週とも13件(定点当たり3.25)の報告があり注意報が発令されています。
第13週以降報告のなかったマイコプラズマ肺炎でしたが、第18週で1件(定点当たり0.33)報告されて以来、第19・20週と続けて4件(定点当たり1.33)、第22週で2件(定点当たり0.67)の報告があり、今後の動向が注目されました。第23〜28週の報告はありませんでしたが,第29週以降1件,1件,0件,2件の報告がありました。第32週の2件はいずれも6-12か月児でした。
第19週IDWRより、「マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してもかなり多い。」となっています。
風しんと先天性風しん症候群の予防について
小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。
また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年1年間で計7件の報告でした。
非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。
Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!
予防接種法施行令の一部が改正されました。
感染症対策で最も有効な予防法は予防接種ですが、時期が一部改正されました。 麻しんや風しんの予防接種は,現行ではいずれも満1歳〜満7歳6か月になるまでの間の1回接種でしたが、改正後、平成18年4月1日より、麻しん、風しんでは次のようになります。
第1期の予防接種 満1歳〜満2歳になるまでの間
第2期の予防接種 満5歳〜7歳未満で、小学校入学日の1年前の日から小学校入学
前日までの間
いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を2回施行します。
現在,満1歳以上7歳6か月未満のお子さんで,麻しんまたは風しんの予防接種のいずれか,もしくは両方を未接種の場合は,平成18年3月31日までに早めに接種を済ませましょう。
麻疹の予防接種の標準接種月齢(=最も適切な接種時期)は,「生後12月から15月(満1歳3か月)」です。麻しんは1歳ごろがもっとも罹患しやすく,かつ重症になるため、満1歳になったら,できるだけ早い時期に予防接種を受けましょう。
また,7歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人では,任意接種(有料)になりますが,大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。